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【CEATEC 2016レポート③】視覚、触覚、集中力、VR/ARを身近にする技術が目を引く!

 10月4日から10月7日に千葉・幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN 2016では、VR/AR関連展示やVR機器に活用できそうな新技術・新製品が多数展示されていた。その中から注目度が高かった展示を紹介する。

<視覚VR>

網膜走査型レーザアイウェアを装着

 CEATEC 2016 Japan会場の社会エリアでひときわ長蛇の列が目立つブースがあった。そこには、富士通とQDレーザが開発する網膜走査型レーザアイウェア技術が展示されていた。この技術は、超小型レーザープロジェクタから網膜に直接映像を投影するもの。スマートフォンやタブレット等のデジタル機器と接続することで、フルカラーで映像やテキストの鑑賞が可能となる。利用者の視力によらず精細な画像を投影でき、視力が低い人や視覚障害者の視覚支援にも応用可能という。2015年にCEATECで展示したモデルに比べ画質や中央に付いているカメラの性能を大幅に向上させたという。同技術は、ヘッドマウンティングディスプレイなど、VR/ARの分野で多彩なアプリケーション展開を目指していく。

 実際に体験してみると、映像は思った以上に鮮明なカラーでピントもしっかり合っていて見やすかった。ただし目に見える映像自体は小さいので、画像によっては見にくいと感じた。メガネ自体は軽くて装着しやすく、目も疲れなかった。レーザーを網膜にあてるのは少し抵抗を感じたが、「まったく目に影響は無い」と聞いて安心できた。

株式会社QDレーザ 社長付レーザデバイス事業開発マネジャー 石本学氏

TE VRハンググライダーで本格的空の旅を体験

 続いて、CPS/IoTを支えるテクノロジ、ソフトウェアエリアに移動すると、ハンググライダーに乗って宙に浮かぶデモを体験している人を発見した。固定されたハンググライダーにぶら下がりながら、実際に空を飛んでいるような体験ができるため、会場で注目を集めていた。これはタイコエレクトロニクスジャパン(TE Connectivity)が自社が製造するコネクターやセンサといった電子部品のアピール向けに作成したもの。
 体験者に感想を聞いたところ「まるで空を飛んでるように感じた。特に、体を支えるロープがビデオに合わせて上がったり、下がったりしたのでリアリティがあった。VRの動画自体の質は低かった。4KやHDくらいの画質があったらさらに現実的に感じたかもしれない」とのことだった。

TE VR ハンググライダーは上下左右に動き、リアルなVR飛行体験ができる

TE Hang Glider VR Experience: CEATEC 2016

<触感/触覚VR>

3D触力覚テクノロジー

3D触力覚テクノロジーを体験 指に様々なタイプの振動を感じる

 CEATECの会場では、視覚だけでなく触覚を利用したVRに関する展示も幾つか見られた。例えばミライセンスは、「3D触力覚(しょくりきかく)テクノロジー」と呼ぶ技術を実演した。人の触った感覚や手応えを振動で再現するところに特徴がある。指先に小型で軽量の触力覚デバイスを装着するだけで、何もない空間で、あたかも画面の中の物体に触っているかのように、触感・感触を体感できる。

 同社が「三原触」と呼ぶ「力覚」(ひっぱる・おされる)「圧覚」(コツコツ・グニャ)「触覚」(ざらざら・つるつる)の3つの感覚を組み合わせることで、デバイスから伝わる振動だけで脳内に錯覚を起こさせ、腕が浮くような感覚や、様々なテクスチャを備える物体に色々な触った感覚を呼び起こすことができる。「人間の感じるほぼすべての触覚を表現可能」(同社)という。将来はこの技術を利用してVR/AR、ゲーム、IoT、ウェラブル、ロボット、医療と幅広くコンテンツを拡張し、人の生活をより豊かで未来的なものにすることを目指す。
 ミライセンスの代表取締役香田夏雄氏は「VRはこれまで視覚的や音のものに話題が集まっていた。我々は、仮想空間で見えているのに触れないというVRのもどかしさを解決するため、3D触力覚技術を発明した。こうした触力覚技術は5年後には当たり前の世界になっているだろう」と語る。

 体験者からは「触感が予想以上にリアルだった。滑らかさやザラザラしたテクスチャがちゃんと感じられた。仮想空間でバズーカ砲を使った際の衝撃も強く感じた。一方、コントローラーの反応が遅かった」というコメントがあった。

ボールを動かす

株式会社ミライセンス 代表取締役 香田夏雄氏

腕に巻くだけのゲームコントローラー


触覚VRでは、H2L株式会社の「UnlimitedHand」も目を引いた。触感型ゲームコントローラーとしてVR開発者向けに販売している製品である。腕に巻くだけで直感的にVRゲームを操作でき、触感を得られる。
 UnlimitedHandは腕に巻いた装置に内蔵したモーションセンサと筋変位センサアレイによりユーザの手の動きを検出しVRゲームに入力する。また、筋肉に機能的電気刺激を与える機能も内蔵しており、この機能を使ってユーザの手の筋肉を収縮させることで、ユーザに触感を与える。これまでのゲームコントローラーはボタンを指で押すタイプが多かったが、UnlimitedHandは腕に巻き手を動かすだけで、ゲーム内で銃を撃ったりその銃の反動を感じたりできる。

 体験者からは「ゲーム内で撃った銃の、反動のショックが体感できた。ショックの強度は調節できるが、強くしすぎるとゲーム中に腕が疲れてしまうかもしれない。今回は腕に巻くタイプだったが、例えば脚に付けるバージョンを作ってスポーツゲームと連動させるなど、様々な可能性がありそうだと思った。」という声が聞かれた。

Unlimited Handを体験

H2L株式会社 代表取締役 岩崎健一郎氏

<集中力測定VR>

脈拍から集中力をリアルタイムに測定

 ローム株式会社のブースでは、シューティングゲームの様なVRゲームのデモが一際目立っていた。このデモは、TECMACが開発した集中力即時解析システム「Z.O.N.E.(β)」とロームの光学式脈派センサと、ジャイロセンサと加速度センサを搭載した10軸モーションモジュールを組み合わせた「PLU(Pulse Launcher Unit)」と呼ぶ装置の試作機を使ったもの。デモでは、個人の集中状態をリアルタイムで判定し、瞬間的な集中レベルを算出するソフトウエアとシューティングゲームを連動させていた。プレイヤーの集中力が低下すると障害物が増えて、集中力を高める仕組みになっている。実際に利用してしてみたが、自分の集中力をリアルタイムで測り意識するという体験は新鮮だった。

[ROHM] CEATEC 2016 センサ 新感覚ゲームデモ「Pulse Launcher Unit」紹介動画

株式会社TECHMAC CEO 北口真氏

 「この技術を今後VR系の疑似体験コンテンツ、スポーツ選手のメンタル・バイタル面からくるパフォーマンス力、ヘルスケアなど幅広い分野に応用していきたい」(TECMACのCEO北口真氏)。

 現実世界と仮想世界の境界線が今後ますます曖昧になっていくと考えられる。今回のCEATECでの展示を通じて、こうした動きを加速する要素技術が増えてきたことを実感した。

関連リンク

■「網膜走査型レーザアイウェア技術」が、CEATEC JAPAN 2016で「経済産業大臣賞」を受賞(Fujitsuサイト内)
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2016/10/4.html

■株式会社QDLASER
http://www.qdlaser.com/index_j.html

■TE Connectivity
http://www.te.com/jpn-ja/home.html

■TE Connectivity CEATEC JAPAN 2016
http://www.te.com/jpn-ja/about-te/events/ceatec-2016.html

■株式会社ミライセンス
http://www.miraisens.com/ja/

■UnlimitedHand
http://unlimitedhand.com/ja/

■Pulse Launcher Unitオフィシャルサイト
http://p-lu.jp/

■ロームCEATEC JAPAN 2016 特設サイト
http://www.rohm.co.jp/web/japan/ceatec/playground#sensor

【お問い合わせ】
DG Lab
TEL:03-6367-1001
E-MAIL:info@dglab.com

編集部 Written by
現在、世界各地で起こっているイノベーションを発信し、現場の声をお届けします。
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