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【スペシャル対談・前編】林郁 × 伊藤穰一 2人のリーダーが考える2020年 ブロックチェーン&AI

デジタルガレージを共に創業した林郁(デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO、以下、林)と伊藤穰一(MITメディアラボ所長、以下、Joi)が、対談を行った。

テーマは、DG Labが重点領域とする5分野、「ブロックチェーン」、「AI」、「VR/AR」、「セキュリティ」、「バイオ」が2020年に向けてどのような進化をしていくか。

今回は前編として、ブロックチェーンとAIについてお届けする。

ブロックチェーンについて

Joi:ブロックチェーンはベンチャーの投資が増えてフィンテックバブルになっていると思う。数字的に見るとインターネットの1997年とかネットスケープ以降のインターネットの伸びになっていて、ただインフラとしてはまだインターネットの規格が決まってない、プロバイダーがない、シスコがいないぐらいの足回りなの。キャプテンとかニフティーとかができてた頃で似たようなパターンなんだよ、だからマルチメディアとかCD-ROMが流行ってみんな投資してちゃんとインターネットに乗り換えられるようなビジネスモデルは生き残ったけどどっちかっていうとみんながプロバイダーを作っていた時代がこれから来るぐらいのタイミングだと思う。2020年までにはなんとなくこのブロックチェーンとビットコインが、何が標準?僕は多分ビットコインそのものが標準になると思うんだけど、どれが標準になってやっと本格的に組み立てられる時期になっているんじゃないかっていうのがブロックチェーン。

日本のピンチについて

林:金融庁のアドバイザーとかやってるじゃない?日本としてのピンチとチャンスというか、日本人的なメンタリティとか組織論とかあるじゃない?

Joi:多分一番の日本のピンチは技術者がいない。ビットコインのコアってビットコインが最後残るかどうかはともかくとして一番優秀な人間が集まっているコミュニティなのね。そこに日本人は一人もコアにはいなくて、日本のメーカーの中には暗号学者とかいるんだけど全然こういうのに出せないし、だから結局上物をやってる。インターネットの時は村井先生がいたから彼と何人かいるんだけど何人かはインターネットに本気で入ったから日本語をちゃんとUNIXにフォントを入れようとか日本から結構参加してるのね。だから日本がインターネットに乗り換えた時に技術者いたのよ、ある程度はね。でも今回はいない。だからそこが一番今回のビットコインは心配で、DGは一生懸命やっているんでそこはとても重要で、でも他もみんなやらなきゃいけないと思うんだよね。メーカーがもっとそういう人たちを出すとか。

AIについて

林:アプリケーション側にちょっとみんな気を取られすぎて足が細い状態だっていう。

Joi:アプリケーションも新しいものをやるというのもあるんだけど、コストを下げて儲けようっていうビジネスが結構あって、ITもコスト削減の為のITと抜本的に変えるITがあってどっちかっていうとコスト削減系が比較的に多いんじゃないかな。そこに繋がっているのがスマートコントラクトといって自動的に動く契約、これが結構難しくてこの間Ethereumというビットコインに似ているやつの上にThe DAOっていうのがあってこれは自動コントラクト、これが爆発して何十億も損したんだけど、それのちゃんとした版って多分くるのね。そこと実は人工知能って繋がってくると思うんだよね。だから人工知能がマネージメントをする、デジタルカレンシーを使ったファンドとか会社ができてくるはずなのね。それが法的にどうなのかとか世の中をどう変えるかっていうのは結構関係してきて、人工知能そのものも多分二つあって機械学習とか自動運転とかファンドの決済とかに使うようなものは着々と伸びて、これはこれでちゃんとマネージメントしないと危ない。シリコンバレーはみんな人間より頭がいい新しい人類が生まれるような恐怖のような夢のような話をしているんだけど、確率はゼロではないけど今あんまり意識していてもしょうがなくて、僕はどちらかというと人工知能とセキュリティを合わせるとどうなるか、人工知能とビットコインを合わせるとどうなるかとか。

普通に使っていても結構危なくて医者だとか裁判官だとか、今人間がやっていることを機械がやりだすと機械をトレーニングした人間のバイアスがそのまま入っているから人工知能ってルールじゃなくて人間みたいな直感みたいなものだから気をつけてやらないと倫理的な社会じゃない変な社会になる可能性があると思うんだよね。そこを結構今メディアラボでやってるんだけど。

林:倫理の話はすごい興味があるんだけどあまり話すと深くなってしまうんでこの対談の中でさわれるぐらいの。

Joi:単純に言うと例えば自動運転の車で普通に運転している時って法律とか、自分の命とか他の人の命とか調整するのよね。例えば車を運転してますと。左にヘルメットをしているバイクがあって右がヘルメットをしていないバイク、ヘルメットの法律があると。どちらかにスワーブ(逸れる)しなければいけないと。そうすると日本の会社でやったら半分ぐらいの人はヘルメットをしてない方にスワーブするのね。なぜかっていうと法律破ってるやつが悪いんじゃんって、アメリカは大体ヘルメット被ってる方にスワーブするの。死なない可能性があるから。でもこれって結構重要で人の命よりも法律の方が大切だと思っている人たちが何パーセントかいるということだよね。そうすると自動運転の車が走っている時に常に死にそうな子供を運んで病院に行っている時にどれくらいとばしていいのかとか、人が赤信号を無視している時にどうするべきなのかっていう判断があってそれってある種倫理なんだよね。

日本で学習した車をインドへ持っていったって多分走れないんだよね。それぞれの国の運転の美学ってあってそれをどうやって教えて、しかもそれによって人間の運転の仕方も変わるじゃない。そうすると両方が進化していくと思うんだよね。どこまで車に任せてどこまで人間がコントロールするかっていうのも今の僕らの思っていることもあると思うけどこれも多分進化していって、日本人の方がアメリカ人よりも機械とか好きなんだよね。アメリカ人って宗教的に違和感があるから僕はこの人工知能って世界の中でも比較的に早く倫理的に取り込んで行くような気がするの。ただ問題がもう一つはデータ。

人工知能は人間の延長になってしまうから変な人間が変な人工知能をコントロールするともっと変な世界になってしまうかな。

林:人間のミラーリングがAIだな。

編集部 Written by
デジタルガレージ、カカクコム、クレディセゾンにて設立した研究開発組織DG Labが運営するメディア。注力する5分野「ブロックチェーン」「VR/AR」「AI」「セキュリティ」「バイオテクノロジー」を中心とした各種イベントの紹介や著名人へのインタビューなどを通し、今世界で起こっているイノベーションを発信していくと共にDG Labで行なわれている研究開発情報を届ける。
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