Open Innovation Platform

アンケート結果から見えたVRの今 多様化する要望と高まる期待

 2017年3月9日から3月31日の間、ITmediaニュースと共同でVR(Virtual Reality : 仮想現実)」に関するアンケートを実施した。VRに対する注目は年々高まり、実際にVRが体験できる施設や市販の端末も増えた。

 「VR元年」とも言われる本年、改めてVRを取り巻く環境はどういった状況なのか。さらに、このアンケート結果を元にVRに何が求められているのかも考えてみたい。

* * *

調査概要

内容:VRに関する読者アンケート
調査方法:Webによるアンケート
調査対象:ITmediaメールマガジン会員を中心に告知
調査期間:2017年3月9日~3月31日
有効回答数:1,006件

VRの体験率は約4割、その多くは専用デバイスで体験

 まずVRの体験者はどの程度いるのだろうか。「VRを体験したことはありますか?」の問いに対し「はい」と回答したのは386人、全体の38%となった。

 体験者の多くは、専用のヘッドマウントディスプレイやスマートフォンと組み合わせて利用するゴーグルデバイスを使ったVRを体験している。専用機器での利用に多くの回答が集まっているが、PlayStation VRなどのデバイスが出揃ってきていることも後押ししていると考えられる。徐々にVRを体験する環境が整ってきていることがうかがえる。

現状はゲーム等が中心。今後は旅行や360度撮影が牽引?

 体験した内容で一番多かったのは「ゲーム」、そして「エンタメ体験」が続いた。おそらく現在「VR」と言えば多くの人がイメージするジャンルと近い結果になっているのではないだろうか。

 少し差はあるがその後に続く「旅行体験」や「360度カメラなどを用いた個人でのVRコンテンツ」は、今後広がりが期待される領域だ。地方×VRの事例が増えてきていることやリコーをはじめ360度撮影カメラのラインナップ増加がこれらの体験を今後も牽引していくだろう。

許容価格帯は1万円まで。3万円までの回答も多く投資意欲は高い?

 ではVR関連への出費だが、許容価格はどのくらいなのか。
「VR専用機器の購入において許容価格帯に一番近いものを選んでください」への回答では、1万円までと答える回答が多く、ついで3万円までが回答を多く集めた。5000円未満とする回答は3番手となっており、VRへの投資意欲は決して低くないことがうかがえる。この価格帯での体験デバイスはスマートフォン用ゴーグルなどでは多く存在しているため今後各デバイスのアウェアネス向上に伴いVR市場は活性化する見込みもあるだろう。しかし同時に5万円付近の価格帯は回答が少なく、高額な専用機器にはまだまだ手を出しにくいという傾向も同時に確認できる。

多様化するVRへの期待とVRならではの改善ポイント

 本格的な利用に向けての環境が徐々に醸成されていることが感じられるVRだが、今後期待されるのはどんな領域なのだろうか。「今後のVRに期待することはなんですか?」の問いに対しては多様な回答が得られた。

 まず上位には「VR機器の低価格化」と「より高度な体験」が並んだ。これはこれから自分でもVR機器を購入したい層と、VR経験層の今後への期待が反映されているのだろう。

注目したいのはそれらに次いで回答の多い「教育や医療などでの利用」と「VRでのリアルタイムコンテンツの発展(スポーツ中継やライブ)」だ。

 VRの有効利用のひとつに学習利用や研究利用がある。例えば交通安全講習用のVRコンテンツや医療研修を目的にしたVR開発などが挙げられる。今回のアンケートからは娯楽以外での発展への期待値も高いことがうかがえる。

 また、リアルタイムコンテンツに関して言えば大型スポーツイベントや音楽イベントなどでの利用が期待される。リアルタイムコンテンツと言えばこれまでは動画配信が中心となっていたがこれからは360°撮影や中継カメラの対応などでVRでの発展も予想される。

 また、VRならではの改善ポイントが「VR酔いの軽減」と「VR機器の操作性改善」だろう。専門の研究も活発な「VR酔い」対策は普及に向けての課題となっている。VR機器の操作性に関してはデバイスごとに使い方が違うことによる煩雑さや、デバイスの認知が進んでいないことによる「VRは難しそう」というイメージもあるはずだ。逆にこういった課題が解決することでVR利用時間の長時間化などVR普及に向けた見通しは明るくなるともいえる。

 「VR元年」を迎えたといわれる今、VRの体験者が約4割という数字はまだまだ物足りないかもしれない。しかし今回のアンケート結果からVRへの期待値は確かに高まっていることがうかがえる。これから真の意味での元年を迎えるためにはデバイスとコンテンツそれぞれが、今回の回答で見えた期待値のレベルにまで発展することが必要だろう。

丸山幸太朗 Written by
2008年、サイバーコミュニケションズ入社。メディアプランナーとしての業務に従事し、2010年にCGMマーケティング(現BI.Garage)にてTwitter広告の立ち上げに参画。その後ITmediaを経て、2017年からDGLabにてAR・VRの分野を担当。BI.Garageと兼務にて同領域のビジネス開発、リサーチ、プロジェクト推進に従事。
Follow