2005年から始まり今回で13回目となる、THE NEW CONTEXT CONFERENCE*が7月5日と6日の2日間にわたり開催された。今年からはDG Labが主催になり、今までに増して技術的に濃い内容のカンファレンスとなった。
DAY1は「ブロックチェーンの真実」と題し、昨今メディアにも頻繁に取り上げられているFinTechの大本命のブロックチェーンに関して、国内外の有識者を招き様々な観点からディスカッションが行われた。カンファレンス2週間前にイーサリアムのThe DAOの脆弱性が露呈した事件もあり、健全なブロックチェーン技術の発展には、テクノロジーの側面だけではなく、法律家や経済学者なども巻き込んでプラットフォームを作る必然性があることなどが議論された。
本記事では、各セッションで議論された内容の概要を紹介する。
THE NEW CONTEXT CONFERENCE全コンテンツのアーカイブ映像はDG Lab協賛企業(法人)のみの限定配信です。DG Lab 協賛企業の詳細は こちら をご確認ください。
*THE NEW CONTEXT CONFERENCE:伊藤穰一がホストとなり、最先端のインターネット技術やその周辺で生まれるビジネスについて、国内外における各分野の有識者と議論を深める場。ウェブサイト:http://ncc.garage.co.jp/
また、次回のTHE NEW CONTEXT CONFERENCEは下記にて開催予定です。
日時:2016年11月4日-5日
場所:サンフランシスコ DG717(717 Market Street, Suite 100, San Francisco, CA)
DG LabのFacebookページ にてスピーカー情報、チケット情報などアップデート予定ですので、ご興味ある方は フォロー お願いします。
<Keynote> ブロックチェーンが可能にする未来 ”自動監査による金融ネットワークの再構築”
Speech:Adam Back氏(Blockstream)
《概要》ブロックチェーンと既存の銀行システムの比較を行い、ブロックチェーンの特徴・可能性に関して講演した。ブロックチェーンが広まることで金融業界の競争が激しくなること、今まで以上にセキュリティの管理が大事になること、その結果将来は非常にコンパクトで信頼性の高い台帳が広まることを示した。
<Session1> アプリケーションの最新動向
Speech:Thaddeus Dryja氏(Lightning Labs)
《概要》現状ブロックチェーンが抱える「すべての取引をすべてのコンピューターが保存している」というスケーラビリティの問題を解決するための手段に関して講演した。さらに、スケーラビリティの問題が解決された先のブロックチェーンの活用方法を示唆した。
Speech:Ryan Shea氏(Blockstack)
《概要》情報分散化のメリットを詳しく説明した後(セキュリティ、プライバシー、信頼性 等)、分散化されたアプリケーション構築可能性に関して3つのアイデアをあげた。1つ目は検証された書類の公開、2つ目はグループファンド、3つ目は分散化されたコンテンツプラットフォームである。
Panel Discussion:伊藤 穰一/Adam Back氏/Thaddeus Dryja氏/Ryan Shea氏/Jonathan Hope氏(Keychain)
《概要》ブロックチェーンを用いて、現時点でできること、未来にできるであろうことに関してディスカッションを行った。また、キーマネジメントとハードウェアのセキュリティ、スピードとスケーラビリティなどの問題に関しても意見が交わされた。
<Session2> ブロックチェーンの歴史的位置付け
Speech:村井 純氏(慶應義塾大学)
《概要》IoT: Internet of “Trust”をキーワードにして、ブロックチェーンが実現するイノベーションに関して講演した。インターネットの誕生により、様々なサービス/コラボレーションが生まれたが、そのインターネットの基盤に今後ブロックチェーン技術が使われることで信頼のある(Trust)世界が実現できることを示唆した。
Panel Discussion:伊藤 穰一/村井 純氏/Adam Back氏
《概要》インターネットが誕生し普及した時代に直面した困難を振り返り、ブロックチェーンの現状と比較し議論を行った。また、セッションの最後はブロックチェーンの通貨以外の応用に関して、広告業界やWiFiネットワーク管理などへの展開可能性を探った。
<Session3> 金融へのインパクト
Speech:Michael Casey氏(MITメディアラボ)
《概要》技術的な側面ではなく、ビジネスとしてのブロックチェーンについて講演した。銀行がパブリックブロックチェーンを取り入れない背景、ブロックチェーンが貿易金融・エネルギーの個人売買・個人間の銀行送金に活用される可能性など多角的な視点からスピーチした。
Speech:岩下 直行氏(日本銀行)
《概要》分散化の逆(中央集権化)を行っていた日本銀行の視点でブロックチェーンの可能性を講演した。日本の金融システムの歴史を振り返り、なぜ現在多くの日本の金融機関がブロックチェーンに恐怖を抱いているか、さらに今後金融機関はどう行動すればいいかを例を出しながら講演した。
Panel Discussion:伊藤 穰一/Michael Casey氏/岩下 直行氏/松本 大氏(マネックスグループ)/市橋 立氏(弁護士ドットコム)
《概要》日米の銀行構造を比較し、イノベーションのスピードがアメリカで速い理由、中央銀行/商業銀行のありかた、お金の価値を通貨の枠にとらわれずに管理する世界に関して議論した。また、ブロックチェーンを活用し情報を管理し、AIの機械学習を用いて犯罪のフラグを立てることでマネーロンダリングを防止する等ビジネス側面での応用例を議論した。
<Session4> エンジニアコミュニティの醸成
Speech:Nicolas Dorier氏(Metaco SA)
《概要》ブロックチェーンエンジニアのレイヤーがNode Developer(Bitcoin Core)、Infrastructure Developer(Block Explorers)、Application Developer(Service)の3層に分かれていることを説明し、その中でNode Developerが世界中を探してもごく少数しかいない現状等について講演した。
Panel Discussion:伊藤 穰一/Adam Back氏/Nicolas Dorier氏/Thaddeus Dryja氏
《概要》ブロックチェーンコアデベロッパーは世界に何人くらいいるか、コアデベロッパーになるにはどういうスキルが必要かなどを議論した。また、コンセンサス形成のためのコミュニティの重要性も説いた。
<Session5> アカデミアの役割
Speech:Neha Naura氏(MITメディアラボ)
《概要》ブロックチェーンの相互運用性の問題点、アカデミアとしての独自のアプローチ、MIT内にあるThe Digital Currency Initiativeに関して、アカデミアならではのアプローチの仕方を具体例を交えながら講演した。
Speech:Shin’ichiro Matsuo氏(MITメディアラボ)
《概要》学術界によるブロックチェーンの健全な発展に向けて、主にセキュリティーの側面から講演した。アカデミックの研究において最も大事な中立性を保ちながら、コンピュータサイエンス、経済学、法律学を組み合わせてブロックチェーンの実用化にアプローチすることが必要と説いた。
Panel Discussion:伊藤 穰一/村井 純氏/Neha Naura氏/Shin’ichiro Matsuo氏/Pindar Wong氏(VeriFi (Hong Kong) Ltd)
《概要》大学、当局、スタートアップ、大企業がグローバルにそれぞれの役割を果たしてブロックチェーンの実用化を進めていくことの必要性を議論した。また、教育の仕組みも作り、ブラックボックスと思われている技術をクリアにしていくことも重要だとの意見も出た。
THE NEW CONTEXT CONFERENCE DAY2人工知能との共生 の記事はこちら
【次回のTHE NEW CONTEXT CONFERENCE情報】
日時:2016年11月4日-5日
場所:サンフランシスコ DG717(717 Market Street, Suite 100, San Francisco, CA)
DG LabのFacebookページ にてスピーカー情報、チケット情報などアップデート予定ですので、ご興味ある方は フォロー お願いします。
- Forbes Japan 「カネの概念を根本から変える「ブロックチェーン」の衝撃 専門家らが議論」
- DIGIDAY「インターネットの次、ブロックチェーンの基盤を固めるとき:伊藤穰一氏、村井純氏らが指摘」
- クリプトカレンシー「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2016:『ビットコインコミュニティーにおけるアイデアの広がりとその実行について』」
- IT Pro by 日経コンピュータ「MITメディアラボ伊藤所長、ブロックチェーンの今を斬る」