9月15日から18日にかけて千葉・幕張メッセで開催された東京ゲームショウ2016。その中でも最も注目を集めたのが、DG Labの研究分野の一つでもある「VR」だった。東京ゲームショウとして初めてVRコーナーが設置され、大手企業からベンチャー企業まで、6つの国・地域から35社が出展し、“VR元年”と称される2016年を象徴する展示となった。
会場ではエンタメ系の出展が目立ったが、エンタメ以外の事業でのVRの活用について、出展者に話を聞いた。
<PDトウキョウ>
VRの体験者以外の楽しみ方を考える
最初に取材したのはPDトウキョウ 企画営業部 部長 大畠和人氏。展示していたのは、「MR BOX」と呼ばれるグリーンバックによるVR映像とプレイヤーの合成表示システムである。「リアルタイム複合現実(MR=Mixed Reality)」技術によって、VR体験しているプレイヤー以外も、仮想空間内でのゲームの様子を見ることができる。展示に使用していたゲームコンテンツは、一面がグリーンシートで囲まれた空間の中で、プレイヤーが「HTC Vive」を装着し、コントローラーで武器を駆使しながら敵を倒していく内容。その様子をリアルタイムで撮影・合成することで、観客はプレイヤーがゲーム内の仮想空間で戦っている様子をモニターで視聴できる。
PDトウキョウは、不動産や文化遺産用にVRコンテンツを制作している会社だが、「ゲームをプレイしている人間しかゲーム内容が分からない」という現状のVRの課題を改善するために、コンテンツを体験している人も、待っている人も楽しめるこのシステムの開発に取り組んだという。今後は、カラオケボックスやゲームセンターへの導入を検討しているようだ。ゲームショウ当日も、観客向けにプレイ内容をディスプレイで多数表示していたため、多くの人が足を止めて観戦していた。VRの体験者以外の裾野を広げる取り組みとして、イベントなど主にパブリックスペースでの活用が期待できそうだ。
<積木製作>
ビジネスからエンタメへ、VR業界での変身
続いて取材したのは、積木製作 セールスディビジョン シニアディレクター 関根健太氏。
積木製作は、「BLAST×BLAST」というシューティングゲームを展示していた。これは、HTC Viveを装着し、両手に持ったコントローラーで、迫り来る敵を倒していくというアトラクション型のシューティングゲームである。ゲームの内容に合わせて「SIMVR」という可動型シートも連動して動くため、より高い没入感が体験できる。
元々は不動産設計のCG制作を行っていたという積木製作。ここ5年で一気にVRに対する気運が高まったことからVR部門を立ち上げたという。エンターテイメントや建築関係のVRの他に、教育や研修の領域に注力しているという。関根氏は今後はコンシューマー向けのコンテンツを拡充していきたいと語る。展示していた「BLAST×BLAST」は、これまでBtoBの事業ばかりを手がけてきた会社が作ったとは思えないほど一般のエンドユーザーの好みに合わせたクオリティだった。BtoBのコンテンツ開発で培った経験を、今後どのように活かしていくのか注目だ。
<オリハルコンテクノロジーズ>
気軽にVR体験を味わうことができるディスプレイ
続いて、攻殻機動隊のコンテンツで多くの人を集めていたオリハルコンテクノロジーズを訪れた。特に目に留まったのは、ブースの中心にあった「Panoworks」という独自開発の半球形のディスプレイだ。代表取締役 高幣俊之氏は、「VR HMDを装着しなくても多人数でVRコンテンツを楽しむために開発した」という。HMDは、体験できる人数に限りがあったり、装着や清掃など運用のコストがかかったりするため、HMDを装着しなくても簡易的にVR体験が可能なディスプレイの提案がしたかったという。通りがかりの人にもコンテンツを訴求できるという点も、ブースが盛況だった理由の一つだろう。
「Panoworks」の活用先は、ネットカフェやゲームセンターなどのエンターテイメント施設、美術館や学校などの教育・研修現場、病院・高齢者施設など多岐にわたるという。
■株式会社 PDトウキョウ
http://pdtokyo.co.jp/
■株式会社 積木製作
http://tsumikiseisaku.com/
■VR RIDE SIMULATOR SIMVR
http://simvr01.com/
■株式会社 オリハルコンテクノロジーズ
http://orihalcon.co.jp/
■Panoworks
http://www.panoworks.jp/
【お問い合わせ】
DG Lab
TEL:03-6367-1001
E-MAIL:info@dglab.com