2016年10月7日から10日の間、米国マサチューセッツ州ケンブリッジにある、MITメディアラボにて、”Reality, Virtually, Hackathon”というハッカソンが行われました。DG LabのVR/AR担当として参加し、体験してきました。
今回のハッカソンでは、ARまたはVRの技術を用いて、(建築 / 工学 / 建設)(ヘルスケア/ 製薬)(ゲーム / エンターテイメント)(広告)(教育)分野などにおける新しい可能性を探る新しいアプリケーションをつくることがテーマとなりました。
ハッカソンには、住んでいる場所や経験によらず誰でも参加可能で、今回は世界中から1,000人以上が応募し、その中から選ばれた約350人が参加しました。主催者によると、VR/ARハッカソンとしては史上最大規模とのこと。参加者のバックグラウンドは、開発者、エンジニア、デザイナー、グラフィックアーティストといった具合に多岐に及びます。2日間の開発期間を経て、最終的には75の成果物が提出されました。
私のチーム、”VR Story Tellers” は「モバイル賞」と「新進気鋭賞」の2つを受賞。
最終日には展覧会があり、成果物が一般公開され、審査委員によるジャッジも同時に行われました。同時に一般のお客さんからも投票が行われ、オーディエンス賞を争い表彰式が開催されました。
次世代のコミュニケーションを予感させる優勝作品
優勝は、VR分野、AR分野からそれぞれ1つずつ選出されました。
■VR分野の優勝: KidCity VR 「子供と親がVR空間の中で遊ぶ教育アプリ」
KidCity VRは、実世界で行われているように、VR空間を他人と共有することがポイントでした。子供と親が、お互い離れた場所にいても、VR空間上で一緒におもちゃで遊んだり、親がプレゼントをあげ、子供が自分の空間に飾ったりするデモを行いました。KidCity VRのデモは、VRでしかできない次世代のコミュニケーションを予感させるものとなりました。
■AR分野の優勝: Waypoint Rx 「誤り無く、処方箋通りに薬をピックアップするためのサポートツール」
Waypiont Rxは、MicrosoftのHoloLensを使用したARコンテンツです。
処方箋の通りに薬をピックアップする作業を補助するアプリで、次にピックアップする薬がどこにあるかなどの情報が、実世界に重なって表示されます。このプロジェクトは、実際に薬のピックアップには誤りが多い、という実問題の解決を目指して進められました。
デモ会場には、コップにカラフルなキャンディーやチョコレートが入っていて、その前には薬の情報が表示されたラベルが貼られていました。体験者は、処方箋の紙を渡されて、まずARなしで薬(実際にはお菓子)をピックアップすることを求められます。そこで、薬についてのラベルが他の薬のものと似ていて間違えやすいこと、目的の薬を探し出す作業が困難なことを体験します。続いて、Waypiont RxがつくったARシステムを利用してピックアップする作業を体験し、誤り無く、また素早くピックアップできることを体験しました。
今回のイベントにはスポンサー企業が多数ありましたが、その中で感情分析をビジネス化している会社もスポンサーとして参加していました。イベント中には、企業ブースを設け、技術やビジネスの説明をしていたり、ワークショップを開いてデモを交えた解説がありました。
1. iMotions:
様々な生体データから、感情分析を行う。
iMotionsの特徴は、目的に応じて、刺激(映像コンテンツなど)、表情、皮膚電気などのデータを複数組み合わせて分析するのが特徴です。
iMotioinsを使用していたチーム: MindFlow VR
MindFlow VRは瞑想の支援VRアプリを開発。体験者は、VR空間上で、瞑想の指導者と共に瞑想します。BIOPAC社のセンサーを使用して、呼吸の状態をセンシングし、体験者の呼吸状態をビジュアライズします。これはバイオフィードバックによって瞑想の効果向上を狙ったものです。
2. Affectiva
affectivaは顔の画像から、感情分析を行う技術です。
iPhoneなどの端末にインストールして、affectivaのデモを体験することができます。
iPhone用アプリ AffdexMe
センサー不要で、カメラからの画像だけを使うので、ユーザーがセンサーを付ける手間なく手軽に使用することができ、しかもリアルタイムに感情分析ができます。一方、参加者からは、データの精度(人種、分野の違いなど)や、カメラ映像の精度(カメラに対し正面を向くことが求められる)などについての質問が多く挙がりました。
なお、affectivaは、iMotionsと協業しており、iMotioinsの表情センシングツールの1つの選択肢となっており、affectivaとiMotionsを組み合わせて使用することができます。
今後のAR/VRテーマのイベントが紹介されました。
これらのイベントについては、今回のハッカソンの表彰式終了後にアナウンスされ、審査員の方も多くスピーカーとして参加予定です。最後に、またこれらのイベントで再会しましょうと、呼びかけてハッカソンは締めくくられました。