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動画共有サイトが中国で大人気! 退屈な現実世界からの逃避手段に

中国・上海で開催されたファン向けイベント「ビリビリ・マクロリンク2017」にコスプレ姿で訪れたファン(2017年7月21日撮影)。(c)AFP

中国・上海で開催されたファン向けイベント「ビリビリ・マクロリンク2017」にコスプレ姿で訪れたファン(2017年7月21日撮影)。(c)AFP

 【AFP=時事】現代中国の労働力の一員として「退屈」な毎日に捕われていると感じていた20代の女性「咬人猫(ヤオレンマオ)」さんは、自由になれる「もう一つの世界」をインターネット上に見つけた──。上海を拠点とする動画共有サイト「ビリビリ(嗶哩嗶哩、bilibili.com)」だ。彼女が投稿するコスプレと元気なダンスの動画は、100万人を超えるファンを獲得している。  

 ビリビリを利用する中国人は1億5000万人を超える。多くは日本の「ACG」(アニメ、コミック、ゲーム)に影響を受けたユーザーの動画やアニメ作品をアップしている。メディアやエンターテインメントが厳しく検閲される中国では、フェイスブック(Facebook)やユーチューブ(YouTube)といったサービスがブロックされており、若者向けのコンテンツ不足が以前から指摘されている。  

 アナリストらによると、こうした現状を背景にACG市場は数十億ドル規模に成長し、ネットサービス大手テンセント(Tencent)や電子商取引大手のアリババ(阿里巴巴、Alibaba)といったIT企業が出資に乗り出すほどまでになった。  

 スマートフォン大国とも言われる中国では、ネットへの動画投稿が大人気だ。カメラ一つで一般人がインターネットセレブになれる可能性があるとして、ビリビリのようなサイトに注目が集まっているのだ。  

 咬人猫さんが、中国南西部・四川省の成都にある自宅で短い動画を撮影し、ネットにアップし始めたのは数年前。その後ファンは順調に増え、ファンからのプレゼントや現金も届くようになった。集まったお金は、より凝ったコスチュームや撮影セットに充てるのだという。これまでに、1万元(約17万円)を投じて日本を訪れ、満開の桜を背景に動画を撮影したこともある。  

 AFPの取材に咬人猫さんは「普通の人と同じように(大学を)卒業し、働き始めた。けれど普通の生活と仕事はとにかくつまらない」と話した。ただ、実生活とネット上でのアイデンティティーを区別するためとの理由から実名と職業を明かさなかった。  

 日本の「ニコニコ(Niconico)動画」と同様に、ビリビリでも視聴者のコメントを動画上に表示する機能がある。コメントが多すぎて画面が埋め尽くされることもある。  

 ビリビリの陳睿(Chen Rui)会長は「皆、孤独を恐れている。それと同時に、自分の考えを普通に表明できて、嫌いな人と会わずに済む、より良い世界を求めている。ビリビリの世界を一度見てしまったら、そこから抜け出すことは不可能だ」と述べ、インターネット時代に生まれた中国のミレニアル世代はますますバーチャルワールドにのめり込んでいると続けた。

■独自コンテンツのためのインキュベーター  

 アナリストらによると、中国のACG市場は過去4年間で約2倍の規模に成長し、現在の利用者数は約3億人とまで言われている。これらの人々は、年間平均1700元(約2万9000円)をACG関連に費やしているとされ、今後、日本の市場規模に匹敵するとの見方もある。  

 ビリビリでは、咬人猫さんのような動画以外にも、IT/技術、ファッション、エンタメ、ゲームの他、日本のアニメ関連の動画など、さまざまな種類のコンテンツが見られる。中には、中国共産党傘下の青年組織でエリート養成機関の「中国共産主義青年団(共青団、Communist Youth League of China)」による共産党をたたえる内容のものもある。70%はユーザーのオリジナルコンテンツだ。  

 コンサルティング会社アイリサーチ(IResearch)のあるアナリストは、中国のオンラインACG産業について、現在は初期のごちゃごちゃとした段階にあるが、今後は中国独自のコンテンツを生み出すインキュベーターの役割を果たすようになるだろうと話す。  

 テンセントは2012年、アニメや漫画を配信する「テンセント動漫(Tencent Comics)」を立ち上げた。現在はビリビリと組んでしてアニメ動画を制作している。他方でアリババも2015年、傘下の動画共有サイト「優酷土豆(Youku Tudou)」を通じ、ビリビリのライバルサイト「Acfun」に5000万ドル(約56億円)を出資した。  

 市場分析会社CIコンサルティング(CI Consulting)は、中国のACG市場が数十億ドル規模へと急成長していると指摘する。  

 ビリビリはユーザー向けのイベントを年次開催しているが、2013年にはわずか800人だった来場者が、今年夏のイベントでは10万人以上に膨れ上がった。多くは、ヤオレンマオさんのような10代から20代前半の投稿者やファンで、コスプレヤーも少なくなかった。  

 ミリタリー関連の情報をアニメーション動画を使って紹介するオンラインプログラム「軍武次位面」のゼン・ハン(Zeng Hang)氏は、国の経済的、技術的、社会的な急激な変化に直面している中国のミレニアル世代の間では、急速にバーチャル世界が現実世界に置き換わっていると話し、「上海の高層ビルに住む若者らは隣人の顔も知らない」と指摘する。  

 また現代中国では多大なプレッシャーにさらされるため、ビリビリの軽めのコンテンツが救いになると説明し、「彼らはバーチャル世界での自らの存在が大切になり、そして好きなことにより多くを投じたいのだ」と続けた。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件