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3D印刷の義肢、負傷兵や障害児の希望に ヨルダン

ヨルダン・イルビドに設置された国際医療支援団体「国境なき医師団」の3Dプリンター義肢クリニックで専門家の話を聴く患者(左、2018年2月6日撮影)。(c)AFP PHOTO / KHALIL MAZRAAWI

ヨルダン・イルビドに設置された国際医療支援団体「国境なき医師団」の3Dプリンター義肢クリニックで専門家の話を聴く患者(左、2018年2月6日撮影)。(c)AFP PHOTO / KHALIL MAZRAAWI

【AFP=時事】イラク兵士のアブドラさん(仮名、22)はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との戦闘中に左手を失った。だが、ヨルダンの3Dプリンターラボのおかげで、今や義手を持っている。

 アブドラさんは昨年、イラク第2の都市モスル(Mosul)からIS戦闘員を追放する軍事作戦に参加した際に地雷が爆発し、両手を負傷。失いこそしなかったが、右手にも重傷を負った。

 彼は、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が運営するヨルダン・アンマン(Amman)の病院に設けられた3Dプリンター義肢クリニックを受診した数多くのイラクやシリア、イエメンの切断患者のひとりだ。

 今回、匿名を条件に取材に応じ、「完全に手の代わりとはならないが、ある程度の自律性は与えてくれる。食事の際に兄弟に頼ってばかりということはなくなった」とAFPに語った。

 モスルで負傷した後、クルド自治区中心都市アルビル(Arbil)にある病院に移送され、その後にヨルダンに到着したと説明し、「今は気分が良くなった」と少し笑顔を見せた。「右手も治せると良いのだけど…」と、ジーンズと濃緑のシャツに身を包んだアブドラさんはつぶやいた。  MSFによると、3Dプリント技術を使用すれば、稼動部分のない単純な義手の製作ができ、最新型義手を特注する際にかかる費用を大幅に削減できるという。

 研究開発専門の慈善事業MSF財団は昨年6月、ヨルダンのイルビド(Irbid)に義肢生産に特化した施設を設立。先天性の身体的障害のある人や戦場で負傷した人を広くサポートしている。

 医師らは患部の写真を撮り、サイズを測って、アンマンの北100キロに位置するイルビドの施設に送る。これらのデータをシステムに入力し、設計担当者が義肢のコンピューターモデルを作成。最終的に3Dプリンターで出力され、アンマンにあるMSFの病院へと送られる。

 近年、複数の団体が切断患者のための3D印刷を開発しているが、MSFによると、中東地域ではここが最初の施設だという。「最大級で最新の病院があるヨルダンを選んだ。紛争地域にあっても比較的安定した場所となっており、シリアやイラク、イエメンからの患者にも対応できるから」と説明した。

■数千円で義肢をプリント

 アンマン北西にはガザ・キャンプ(Gaza Camp)がある。ここで暮らす7歳のパレスチナ難民アシル・アブ・アヤダちゃんのように、先天性の身体障害のある子どもにとってもこの施設は救いとなる。生まれつき右手の不自由なアシルちゃんは、新しい義手を手に入れ、今は普通に学校に通い、絵を描くこともできるようになったという。恥ずかしがり屋のため直接取材に応じることはなかったが、この小さな少女は、姉イネスさんに手伝ってもらいながら義手の指にマニキュアを施していた。

 3Dプリンターで出力された義肢の費用は20ユーロ(約2600円)から50ユーロ(約6600円)。数千ドルする既存のものと比べると、ほんのわずかな額で済む。プログムコーディネーターのピエール・モロー(Pierre Moreau)氏は「患者に適合し、患者の活動に特化した設計ができる」とその利点を説明した。

 この新たな技術はMSFとヨルダンのデジタル製造所「ファブ・ラブ(Fab Lab)」による共同開発となっている。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件