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「くそっ、死んだ!」 学校でゲーム eスポーツ急成長の中国

中国の済南藍翔高級技工学校のeスポーツの授業でビデオゲームの練習をする生徒ら(2018年1月29日撮影)。(c)AFP PHOTO / GREG BAKER

中国の済南藍翔高級技工学校のeスポーツの授業でビデオゲームの練習をする生徒ら(2018年1月29日撮影)。(c)AFP PHOTO / GREG BAKER

【AFP=時事】「くそっ、死んだ!」と一人の生徒が叫んだ──。数十人のほかの生徒たちは猛烈な勢いでキーボードをたたいてビデオゲームを続けている。

 授業中にビデオゲームをしている生徒を見つけたら大半の教師は良い印象を受けないだろう。だが中国東部・済南(Jinan)にあるこの学校、藍翔高級技工学校(Lanxiang Technical School)ではビデオゲームが必修科目になっている。eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)の優秀な競技者を養成して成長著しいこの産業の波に乗ろうという試みの一環だ。

 かつてゲームといえば寝室にこもったティーンエージャーがしているイメージがあったが、複数のプレーヤーが高額の賞金を目指して競い合う対戦型のゲーム競技「eスポーツ」はいまや急速に成長している。

 中国のインターネット調査会社iResearchの推計によると、中国でeスポーツの競技人口と観戦人口を合わせた数はすでに2億6000万人に上っている。多くの試合はオンラインで行われているが、スタジアムで数千人の観客を集めて行われる規模の大きな大会もある。

 成長に減速の兆しは見えない。オランダに本拠を置くゲーム分野の市場調査会社Newzooは、eスポーツ産業の2018年の全世界の売上額は前年比38.2%増の9億600万ドル(約950億円)になると予想。中国だけでその18%を占めると見込んでいる。

 ゲームは中国の大学910校ですでに団体競技とされている。藍翔高級技工学校のようにeスポーツでの勝利に必要な技術を積極的に教える教育機関も増えている。昨年9月に始まった同校のeスポーツコースは約50人の生徒が履修している。

 栄蘭祥(Rong Lanxiang)校長はAFPの取材に対し、「最初は多くの保護者がビデオゲームで遊んでいるだけだと思っていた」、「しかし実際はそうではなく、eスポーツは非常に高度なレベルにまで発展し、経済成長をけん引するまでになっている」と語った。

■さまざまな進路

 生徒のテン・シンさん(22)は、「ビデオゲームは趣味だったし、心底はまっていた。これは新たな産業だ。将来性があると思う」と語った。週に少なくとも20時間はゲームをしているというシンさんは、プロのeスポーツ選手になるには年を取り過ぎているかもしれないと不安を抱いているが、コーチにはなれる可能性があると感じている。

 シンさんが通うeスポーツコースは3年間で修了する。1年目の授業はゲームが半分で残りの半分は業界で成功するための理論を学ぶ。

 1年目が終わるときに生徒は2グループに分けられる。優秀なゲームプレーヤーはプロの競技者になるための訓練に進み、その他の生徒たちはイベント企画や競技の振興、コーチなどeスポーツ関連の技能を身に付ける。

 年間授業料は約1万3000元(約22万円)と中国ではかなり割安だ。学校代表チームのメンバーになった優秀なプレーヤーは授業料の支払いを免除される。同校はeスポーツの生徒を1000人にまで増やしたい意向だ。

■五輪正式種目にも?

 この10年足らずの間にeスポーツをめぐる状況は様変わりした。当時、若者たちのインターネット利用時間があまりにも長いことを懸念した政府はネット中毒を臨床的障害に指定し、利用を制限する法案まで作成した。

 今日では、中国は世界の主要なeスポーツ市場の一つとなっている。昨年11月に2008年の北京五輪で使用された「鳥の巣(Bird’s Nest)」こと北京国家体育場(Beijing National Stadium)で開催されたオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends)」世界選手権の決勝には4万人を超えるファンが詰めかけた。

 2022年に浙江(Zhejiang)省杭州(Hangzhou)市で開催されるアジア競技大会(Asian Games)ではeスポーツが初めて正式種目になる予定となっており、推進派は五輪競技にも採用してもらおうと売り込みを図っている。

 中国の調査会社CNGによると、同国のeスポーツ産業従事者はすでに約5万人に達し、今後さらに26万人の雇用が見込まれるとしている。

 藍翔高級技工学校の他にも、eスポーツ講座を開設している大学は少なくとも2校ある。海外では、英国のスタフォードシャー大学(Staffordshire University)が、9月に3年制講座を開設する予定となっている。フィンランドとロシアのモスクワにもこうした講座を開設した大学があり、仏ナント(Nantes)にはeSport Academyという専門教育機関も存在する。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件