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アクセス制限も何のその、共産主義国キューバのユーチューバーたち

キューバの首都ハバナの海岸沿いのマレコン通りで自分撮りをするユーチューバ―ら(2018年2月27日撮影)。(c) AFP PHOTO / YAMIL LAGE

キューバの首都ハバナの海岸沿いのマレコン通りで自分撮りをするユーチューバ―ら(2018年2月27日撮影)。(c) AFP PHOTO / YAMIL LAGE

 共産主義国キューバではインターネットへのアクセスが制限されているが、首都ハバナで自撮り棒を持って海沿いのマレコン(Malecon)通りを歩くフランク・カマレリス(Frank Camallerys)さん(19)は、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿した映像で数千人のネットユーザーを魅了している。

 キューバの他の人気ユーチューバーやほぼ全てのキューバ国民と同様にカマレリスさんも自宅からインターネットにアクセスすることはできない。

 だから動画を投稿するにはハバナの街を歩いて、1時間1ドル(約107円)でWi-Fiにアクセスできる広場に行かなければならない。最新作をユーチューブにアップロードするのにも30分以上かかる。

 キューバには若き人気ユーチューバーがカマレリスさんを含め約50人いる。カマレリスさんが1年前に作成したチャンネル「Camallerys Vlogs」のチャンネル登録者は9000人を超えた。

 カマレリスさんは「動画をつくって、オンラインに上げるために2、3キロ歩いて、それからアップロードが終わるまで40分待つ。どれだけこれ(ユーチューブ)にはまっているか分かるだろ」と述べた。

 世界の大半では携帯電話や自宅のWi-Fiを使って簡単にソーシャルメディアにアクセスできるが、キューバ国民はカマレリスさんと同様の障害に直面している。

 キューバでネットコンテンツは「パッケージ」で拡散する。「パッケージ」とはコンテンツを保存したUSBメモリーのことで、これを手渡ししている。

 配布者は普通のインターネットからコンテンツを入手し、1ドル相当の料金を取って各家庭に提供する。購入者は小説やサッカーのFCバルセロナ(FC Barcelona)や米プロバスケットボール(NBA)の最新の試合などをダウンロードする。

 1日に1ドルはキューバ政府職員の平均月給に相当する金額だが、民間企業の給料ははるかに高い。パッケージのラインアップは毎週更新される。

 エマ・ロペス(Emma Lopez)さん(18)はパッケージの利点を熟知している。「最初、私の動画を見た人は3人しかいなかった。でもパッケージが広まったおかげで視聴回数が増えて、最終的には全国で有名になった」

■USBメモリーを手渡し

 ロペスさんのチャンネル「Emma Style(エマ・スタイル)」はキューバの若者向けにメーキャップの指南をしているが、今も米国の対キューバ経済制裁が続き、キューバ経済の85%を国営企業が占めている中、紹介した商品は必ずしも入手できるとは限らない。

 そんな現実に配慮してロペスさんは動画の中で、アイシャドーの塗り方について「ブラシがないなら指を使って」とアドバイスしている。

 チャンネル「Pedrito el Paketero」のペドロ・ベイティア(Pedro Veitia)さん(24)は「ユーチューバーがチャンネルを立ち上げるとき、普通は自国民の支持を得たいと思うものだけど、私のフォロワーでキューバに住んでいる人はごく一部だ」「ハバナに住んでいるのは50人くらいじゃないかな」と話し、キューバのユーチューバーコミュニティーの規模は小さいと話した。

 キューバ政府が発表した統計によると、同国でインターネットにアクセスできるのは約450万人。ハバナ大学(University of Havana)のマックス・バルボサ(Max Barbosa)教授(コミュニケーション学)によると、非公式な統計だがキューバ国民約1100万人のうち約900万人がパッケージを利用しているという。

 キューバ当局は国民のコンテンツへのアクセスのコントロール権を握っているがパッケージに対しては寛容で、「バックパック(Backpack)」という類似の文化的コンテンツの配布さえ始めている。

 バルボサ教授は「インターネットへの常時接続ができない、あるいはインターネットを使ってコンテンツを制作することができないとしても、USBメモリーなどの代替手段でもいいから『ユーチューバーになりたい』と言う。これだけでも称賛に値する」と話し、今後はもっとキューバの現実に即したコンテンツを制作し、キューバ人フォロワーと直接対話することが大切だと指摘した。

「Emma Style」のロペスさんは「私たちは単に動画を公開しているから、共産主義の国にいるからという理由で『キューバのユーチューバー』と呼ばれたいわけではありません。自分たちのコンテンツで認められたいんです」 【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件