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ブロックチェーンで検閲回避、中国「#MeToo」 北京大セクハラ問題

北京大学構内を歩く学生(2004年9月29日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ROBERT SAIGET

北京大学構内を歩く学生(2004年9月29日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / ROBERT SAIGET

【AFP=時事】大学教授のセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)行為について情報公開を求めた女子学生に対し、中国・北京大学(Peking University)が圧力をかけて黙らせようとした問題で、テクノロジーに精通した活動家らがブロックチェーン技術を使い大学側に対抗している──。中国で芽生えたばかりのセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」を、ブロックチェーンを用いて検閲回避・存続させているのだ。

 一連の出来事は、北京大学の女子学生、岳昕(Yue Xin)さんが、1998年に同大で起きた性的嫌がらせ事件についての情報を公開するよう求め、これに対し大学側から学生に圧力がかかったことをきっかけに始まった。

 岳さんは、大学からの対応について書簡を発表。書簡は同国のソーシャルメディアを通じて広がったが、その後、すぐに削除された。

 しかし、4月23日夜、この書簡は分散型アプリケーションプラットフォーム「イーサリアム(Ethereum)」上に再び現れた。これ動きに対して、「残忍な独裁政治に対抗するためのテクノロジーの正しい使い方」「歴史的瞬間」といった数多くのコメントが集まった。

 中国の大学でも「#MeToo」の運動は広がっており、当局もここしばらくは、ソーシャルメディア上のセクハラに関するコメントを容認してきた。だが、北京大学での騒動については一線を越えたと判断したとみられ、中国版ツイッター(Twitter)の「微博(ウェイボー)」上で、岳さんの名前を検索しても、それにあたるものは何も出てこない。

 北京大学側に情報公開を求める請願書を作成したのは、同大外国語学部の岳さんら約20人。請願書では、教授から性的な嫌がらせを受け、その後自殺した女子学生についての調査の詳細を公開するよう求めていた。

 問題の教授は現在、南京大学(Nanjing University)で教えているが、4月初めに北京大学でこの問題が持ち上がり、その後停職処分となっている。

■脅し

 岳さんの書簡によると、4月22日深夜1時、大学の生活指導員が岳さんの母親を引き連れて学生寮にやって来て、携帯とパソコンから関連情報をすべて削除するよう求めたとされる。その時の母親は「怯えた」様子だったという。また、大学の職員から、卒業できるかどうかわからないと遠回しに脅されたことも明らかにした。

 大学のこの対応によって、母親が「情緒不安定」となり「親子関係が壊れた」と岳さんは話している。「母が泣き、自らの顔を平手打ちし、ひざまずき、自殺すると言っているのを見て、私の心はひどく痛んだ」と打ち明けた。

■象徴的な動き

 当局の検閲を避けるため、中国のソーシャルメディアではさまざまな工夫が試みられている。今回のケースでも、画像認識技術で読み取られないよう、書簡を逆さまに撮影したものなどが投稿された。

 そして新たにとられた手法が、ブロックチェーン技術を使ったものだ。分散型で不可逆性の特性を持つブロックチェーン技術は、通常、仮想通貨に使われることが多い。ここでは基本的に暗号化された「台帳」が分散的に管理されているため、改ざんは事実上不可能となっている。

 岳さんの書簡は、この取引データに添付されたのだ。ただ、ブロックチェーンの取引データに添付された書簡を見つけるのは簡単ではない。

 香港ビットコイン協会のレオンハルト・ウィーズ(Leonhard Weese)会長は、書簡を読むためにはブロックチェーン全体をダウンロードし、特別なソフトウエアで検索しなければならないことを説明しながら、岳さんの書簡がブロックチェーンにひも付けされたことは「主に象徴的な」意味合いを持つと指摘する。

 ウィーズ会長は、「この書簡はブロックチェーン上では削除(または変更)できない。(そうするためには)ネットワーク上のすべてのユーザーが永久に保管する必要があるからだ。ただ、メッセージを拡散する手助けにはならないだろう」と話した。

 それでも、これまでに寄せられた数百件のコメントを削除するのに検閲官らは苦労するだろう。

■不公平な扱い

 岳さんに対する対応に、同級生たちも怒りを募らせている。  学生と教員が書いたと思われる4月25日付の公開書簡は、大学による岳さんへの「不当な扱い」を非難している。この書簡は中国のメッセージアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」で広まった。学生や卒業生は、5月に行われる大学設立120周年の記念式典をボイコットすると表明している。

「友達も私も嫌気がさしている。進行中の調査について情報を公表しない理由はどこにも見当たらない」と、北京大学の学部生の一人は匿名を条件にAFPの取材に語った。

 また「抗議をしている学生が、外部勢力に操られているという大学の説明も受け入れられない」と反発した。

 岳さんと北京大学に対してコメントを求めたが、回答は得られなかった。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件