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パンクな街にグーグルは要らない、再開発に反対運動 独ベルリン

独ベルリンのクロイツベルク地区で、「密告者!グーグル」と書かれた落書きの横に座る女性(2018年5月4日撮影)。(c)AFP PHOTO / Tobias SCHWARZ

独ベルリンのクロイツベルク地区で、「密告者!グーグル」と書かれた落書きの横に座る女性(2018年5月4日撮影)。(c)AFP PHOTO / Tobias SCHWARZ

【AFP=時事】韓国のソウルやイスラエルのテルアビブ(Tel Aviv)など、各地のグローバル都市は両手を広げてグーグル(Google)を受け入れてきた。だが、自由な気風にあふれる独ベルリンのクロイツベルク(Kreuzberg)地区は、米シリコンバレー(Silicon Valley)の大企業によるジェントリフィケーション(再開発による地区の高級化)計画に反旗を翻した。

 グーグルは現在、かつての工業用建物を、欧州最新拠点となるベルリン事務所にすべく改築している。広さは3000平方メートルで、自社オフィスの他、企業、カフェ、コワーキングスペースが入居する予定だ。

 だが、今年末にオープン予定のこの「キャンパス」の建設現場で、「失せろ、グーグル」と銘打った反対運動が、毎月のデモを始めた。あらゆる公共の場の壁には他のポスターや落書きを覆うように、このストレートなスローガンが書かれている。

「グーグルは非常に暴力的で尊大な超巨大企業で、監視社会を基盤にしたビジネスモデルを構築している。ここに拠点を設置することはクレージーで危険なことだ」。反対運動のリーダーを務めるハッカーは、ラリー・ページブランク(Larry Pageblank)という仮名を名乗り、怒りをあらわにしながらそう語った。

 ベルリンは流行に敏感な人々が集まり、アパートの価格は上昇する一方だ。クロイツベルクはかつては労働者階級の街だったのに「ジェントリフィケーションで高級化されて価格上昇が加速し、すでに多くの人が追い出されている」と、ページブランク氏は熱弁した。

■アイデアを生むための「詰め込み式養鶏場」

 ベルリンはこれまでもIT企業文化と無縁だったわけではない。多くのIT企業が流入し、オフィスで無料のビールやスナック、マッサージまでを提供し、上下関係のない組織をアピールして、プログラマーたちを引き付けてきた。

 ベルリンの「シリコン・アリー(ドイツ語で「シリコン・アベニュー」の意味)」の企業は、スタートアップに対する投資において今や欧州で1、2を争う対象となっている。グーグルもすでに流行地区プレンツラウアー・ベルク(Prenzlauer Berg)近くで、「ファクトリー」と呼ぶコワーキングスペースを運営している。

 ベルリンは戦後数十年、東西に分裂したドイツのうち共産主義国だった東ドイツに組み込まれて停滞し、産業基盤の大部分が失われた。今でもその影響が残っている。

 ケルン経済研究所(Cologne Institute for Economic Research)が昨年発表した研究結果によると、もしもベルリンが突如消えれば、ドイツの国内総生産(GDP)は0.2%上昇するという。ベルリンのミヒャエル・ミュラー(Michael Mueller)市長がグーグルによる開発に賛成している一因は、これかもしれない。

 グーグルの新拠点で働くことになる正社員は5人にすぎず、建物の中2階には大勢の「住民」がアイデアを育むためのスペース、IT「インキュベーター」が設置される。

 だが、ラリー・ページブランク氏のような反対派は納得がいかない。「彼らはバタリー式(狭いケージにニワトリを詰め込む方法)養鶏場でさまざまなアイデアや、才能ある人々、プロジェクトを飼育してグーグル帝国に取り込み、アイルランドやオランダ経由で納税を逃れようとするんだ」と同氏は予言した。

■ジェントリフィケーション戦争

 スタートアップ企業は資金と裕福なIT労働者をベルリンに引き寄せたが、彼らの流入によって、アーティストやアナーキスト、無断居住者たちにとって「貧しいが魅力的な」安息の地だったこの街は、高級でクールな都市に変貌してしまった。

 コンサルタント会社ナイト・フォックス(Knight Fox)の調査によると、2016~17年のベルリンの不動産価格上昇率は世界で最も高く、市内全体で20.5%、クロイツベルク地区では71%だった。  だが、ジェントリフィケーションはベルリン全体に広がる現象だとグーグル上層部は考えており、自分たちがその責任を負わされるつもりはない。

 グーグル・ドイツの広報担当、ラルフ・ブレマー(Ralf Bremer)氏は「私たちはベルリンっ子で、ここに住んでいる」と述べ、2000年代初めから「賃貸料が上昇しているのは分かっている」と語る。そして「ジェントリフィケーションを止めるのは私たちの仕事ではないし、修正することもできない。だが、私たちは誰でも無料で参加できるワークショップやイベントなど有益なものを人々に提供することはできる」と言い添えた。

 だが、ラリー・ページブランク氏の見方は異なる。「グーグルで無料のものなど何もない。コーヒー代を払う代わりに個人情報を提供することになる」。クロイツベルクは「シリコンバレーのコピペのようなライフスタイルを受け入れない」と同氏は息巻いた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件