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顔認識技術の利用拡大、プライバシー保護への懸念が米国でも増大

米半導体メーカーNVIDIAが主催する「GPUテクノロジー・コンファレンス」で披露された、警察用に開発された顔認証システム。米首都ワシントンで(2017年11月1日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB

米半導体メーカーNVIDIAが主催する「GPUテクノロジー・コンファレンス」で披露された、警察用に開発された顔認証システム。米首都ワシントンで(2017年11月1日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / SAUL LOEB

【AFP=時事】顔認証システムを使えば、新しく買った「iPhone(アイフォーン)」のロックを解除したり、銀行口座にアクセスしたりすることもできる。何か買ったりサービスを利用したりした時に笑顔を向ければ決済される支払いサービス、「スマイル・トゥ・ペイ(Smile to Pay)」も登場した。

 警察は顔認証のアルゴリズムを使って群衆の中から指名手配犯を探し出したり、警察が管理する犯罪者データベースの顔写真と拘束した人物を照合したりすることもできる。

 先月、米メリーランド州の州都アナポリス(Annapolis)で発生した銃撃事件の容疑者特定にも、顔認証システムは活用された。容疑者は捜査への協力を拒み、指紋からもすぐには身元を割り出せなかったためだ。「顔認証システムがなければ容疑者特定にもっと時間がかかり、捜査を先に進めることもできなかっただろう」と、同州アナランデル(Anne Arundel)郡の警察幹部は述べた。

 顔認証システムは米国を含む世界各地で、警察の捜査、国境警備などさまざまな目的で利用されており、その役割は増大している。多くの人はこの生体認証に利点があると考えているが、一方で「ビッグ・ブラザー」による監視社会になる不安も引き起こしている。顔認証技術は、特に有色人種の識別ではエラーを起こす可能性があるとの研究結果も発表され、こうした懸念が増大している。

 米ジョージタウン大学(Georgetown University)が2016年に発表した研究で、米成人の2人に1人に当たる1億1700万人が顔認証データベースに登録されているが、データへのアクセス権についての規則がほとんどないことが明らかになった。

 人権擁護活動家は、警察がドローンやボディーカメラ、ドライブレコーダーを使って、「リアルタイム」で顔認証を行えるようにするのではないかと恐れている。

「本当に心配なのは、パトロール警官が法律を守っている米国人を好き勝手にボディーカメラで特定するのではないかということだ」と、米シンクタンク、ケイトー研究所(Cato Institute)の新技術の専門家、マシュー・フィーニー(Matthew Feeney)氏は指摘する。「もちろん技術は向上しているが、SF映画で見かけるほど正確ではない」

 ジョージタウン大の研究では、顔認証アルゴリズムで黒人の顔を識別した際の正解率は、白人の顔に比べ5~10%低いことが分かっている。

■積極的な導入

 中国は顔認証の最先端を行っている。交通違反をした人や信号無視や無理な横断をする「恥ずべき」歩行者に罰金を科すのに使われているほか、少なくとも1人の犯罪容疑者の逮捕にも活用された。

 ジョージタウン大の2016年の論文主著者であるクレア・ガービー(Clare Garvie)氏は、米国内では過去2年の間に国境警備や少なくとも1カ所の国際空港など、「顔認証がさらに広く積極的に利用されている」と指摘した。

 米アマゾン(Amazon)が顔認証ソフトウエア「レコグニション(Rekognition)」を警察に提供し始めたというニュースが伝えられると、従業員や活動家から、アマゾンは警察活動とは距離を置くべきだと非難の声が上がった。

 アマゾンの他にも多数のIT企業が顔認証に関わっている。例えば、マイクロソフト(Microsoft)の顔認証は、米国の国境警備に利用されている。また、メリーランド州の顔認証システムには、日本のNECとドイツのコグニテック(Cognitec)が開発したシステムが採用された。

 アマゾンは監視を行ったり、警察にデータを渡したりはしていないと主張している。また、同社の顔認証システムは行方不明の子どもの捜査や人身売買の防止に役立つとも主張している。

■安全対策の必要性

 マイクロソフトは先月、肌の色や性別の識別について、顔認証技術を大幅に改善したと発表した。一方、米IMBは、顔認証に対する偏見を取り除く目的で大規模な研究を開始したと明らかにした。

 人権擁護団体は、顔認証システムの精度が改善されることは歓迎するが、政府は安全対策を整備すべきだと訴えている。

 電子フロンティア財団(Electronic Frontier Foundation)の弁護士、ジェニファー・リンチ(Jennifer Lynch)氏は、警察による監視活動は影響が大きいと指摘する。「認証が正確ではない場合、罪を犯していないのに巻き込まれる人が出てくる可能性がある。顔認証システムによって犯人だとされた人自身が、自分はその人物ではないと証明しなければいけなくなる」と、リンチ氏は今年初めに出した報告書で述べた。

 リンチ氏は顔認証システム特有のデータの乱用や誤使用のリスクも存在すると指摘する。なぜなら「私たちは自分の顔を変えられない」からだ。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件