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ジャック・マー氏がアリババトップを退く理由

ジャック・マー氏は1年後のアリババ会長退任を表明した(2018年8月23日撮影。資料写真)。(c)CNS/陳超

ジャック・マー氏は1年後のアリババ会長退任を表明した(2018年8月23日撮影。資料写真)。(c)CNS/陳超

【AFP=時事】中国の「教師の日」の9月10日、阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング、Alibaba Group Holding)の創業者、ジャック・マー(Jack Ma)会長は文書を公開し、アリババが創業20周年を迎える1年後の2019年9月10日に会長を退任し、後任に張勇(ダニエル・チャン、Daniel Zhang)CEOが就任すると表明した。

 なぜ、マー会長は1年後に退任するのか。退任後は何をするのか。そしてマー会長の退任はアリババにどんな影響をもたらすのか。インターネットに出ている疑問の声を、記者はアリババ関係者にぶつけてみた。

■「102年」継続させたい

 マー会長は退任を急に思い立ったわけではない。公開した文書には「10年前から準備を始めていた」と書かれていた。この決定を下した主な理由は、以下の3点だ。

 一つ目は、本人の関心と人生の理念だろう。教師出身のマー会長はこれまで何度か、教師時代の日々を懐かしく振り返り、「CEOより教師の方がうまくやれる」と語っていた。つい数日前のイベントでも、彼は「最後は教師に戻りたい」と述べたばかりだった。

 第二に、アリババは1999年に設立されたが、マー会長は企業を102年、つまり三つの世紀にまたがって継続させたいと繰り返し語っていた。自身が「102年企業」をずっと指揮することは不可能であり、マー会長は自分に力があるうちに、さらに多くの自分の「分身」を育てる必要があった。

 かつて、「子どもを愛するなら独立させなさい。自分の会社を愛するなら、その会社をもっとよく知っている人にハンドルを譲りなさい」と語ったことがある。

 三つ目は、チャンCEOを代表とする次世代リーダーが既にアリババの中核となっていたからだろう。マー会長は文書の中で、チャンCEOを「傑出したビジネスリーダー」と称えた。

 同社は既に、管理職の若返りを進めている。アリババのパートナーの中に、「80後(1980年代生まれ)」は二人いる。上級管理職に占める「80後」の比率は14%で、90年代生まれの「90後」の管理職も1400人を超えた。また、36人いるパートナーのうち、3分の1は女性だ。

 アリババ関係者は、「マー会長は組織カルチャーが浸透していることを信じ、今回の決定に至った」と指摘した。

■退任の時期は熟していたのか

 アリババの売上高は、6四半期連続で55%を超える成長を維持し、アナリストの予想を上回ることが多かった。

 また、同社はECにとどまらず、小売りやスマート物流、インターネット決済、ビッグデータ、クラウドに事業を延伸させている。

 マー会長は2年前、「新小売、新製造、新金融、新技術、新エネルギーの『5新』をアリババのコア戦略とする。特に新小売は大事だ」と述べた。

 アリババの幹部人材やパートナー制度も、おおむねうまく行っている。内部関係者は「この2年、アリババは最も良い状態にある。競争のプレッシャーはあるが、2017年からアリババの戦略はよりクリアになった」と語った。

■今後は?

 マー会長は完全に引退するのか。たぶん違う。

 おそらく彼はより忙しくなる。マー会長自身、自分のことを「じっとしていられない人」と言っている。今後は、事業の重心を教育に戻すのだろう。

 この数年、マー会長は教育に投じるエネルギーを増やしている。微博(ウェイボー、Weibo)での自分のアカウント名も「田舎教師のスポークスマン」と変えた。

 超多忙にもかかわらず、毎年の教育イベントには欠かさず出席している。

 さらに、この2年ほど、マー会長は従業員からも「マー先生」と呼ばれるようになっていた。なぜなら本人が、その呼ばれ方を好んでいたからだ。

 マー会長はこの10年、自身の引き際について考え続けてきた。しかしそれは、「人生を楽しむため」というより、「もっと多くのことをするため」だったようだ。

 マー会長が去った後のアリババはどうなるのだろうか。

 マー会長は2009年、「パートナー制度」をつくり、来るべき日に備え、人事制度を整えてきた。  アリババ関係者は、「アリババに限らず、螞蟻金融服務(アントフィナンシャル、Ant Financial%)、菜鳥網絡(Cainiao Network)、阿里雲(アリクラウド、Alibaba Cloud)などはいずれも、1度はトップが交代している。それでも企業の成長は鈍化するどころか、さらに成長している。この事実がマー会長をかなり安心させただろう」と語る。

 パートナー制度には、大株主や創業メンバーだけでなく、企業文化を深く理解し、業務上大きな貢献をした従業員も含まれている。19年は、パートナー制度が始まって10年の節目でもある。

■「私はずっとアリババのものだ」

 マー会長は今後も、アリババの「1号社員」でありパートナーだ。彼は自らの文章でも「アリババのパートナー組織のために努力と貢献を続ける」と明記している。これからもアリババの精神的支柱であり、エコシステムの中心だろう。

 マー会長は「私は皆に誓う。アリババは私のものではないが、私はずっとアリババのものだ」と書いた。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件