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在宅だけどウエーター勤務 重度障害者が「分身ロボット」で接客するカフェ、東京にオープン

来客の注文を取るロボット「オリヒメディ―」(2018年11月26日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

来客の注文を取るロボット「オリヒメディ―」(2018年11月26日撮影)。(c)AFPBB News/Yoko Akiyoshi

【AFP=時事】筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊椎損傷を患い、「寝たきり」で通勤がかなわなくても、社会と接点を保ちながら働きたい──。障害者雇用の可能性を広げようと、障害者らが在宅でロボットを操作し接客するカフェ「分身ロボットカフェDAWN ver. β(ドーン・バージョン・ベータ)」が東京・港区にオープンした。7日までの期間限定の公開実験イベントにもかかわらず、会場は予約客で連日にぎわいを見せている。

 就労が困難とみなされてきた重度の障害者が、高さ120センチの分身ロボット「オリヒメディー(OriHime-D)」を自宅から遠隔操作し、トレーに載せてカップを運ぶなどの接客業務を担う。ロボットを遠隔操作する人は「パイロット」と呼ばれ、都内のほか、島根県、岐阜県など5県に住む男女各5人が時給1000円で雇用されている。求人に対し、全国から30人が応募したという。

「なぜ体が一つなんだろう。二つあれば、入院中でも思い出を作り、孤独を感じることもないのに」。ロボットを開発したオリィ研究所(Ory)最高経営責任者(CEO)の吉藤健太朗(Kentaro Yoshifuji)さんは、体が弱く3年半もの間登校できなかった小中校時代から分身ロボットの構想を抱いていたという。2012年に同研究所を設立し、カメラ、マイク、スピーカーを搭載したインターネットを通して操作できるロボットの開発を手がけるともに、障害がある同僚も情報通信技術(ICT)で出社できるテレワーク環境をつくってきた。

 報道陣が詰めかけた初日の11月26日は、難病の自己貪食空胞性ミオパチーを患う村田望さんが、世田谷区の自宅から「分身」のロボットを操作。セレモニーではロボットが村田さんの操作でテープにハサミを入れた。村田さんは、「お客様との交流が楽しみ」と話した。また、ALSの藤田美佳子さんは「私は愛知から勤務しています」と、快活にあいさつを交わしながら、「分身」がテーブル席の間を移動していた。

「マサと申します。ごゆっくりおくつろぎを」と港区の自宅から接客する永廣柾人さん(25)は、脊髄性筋委縮症で、2歳のころに気管切開し常に介助者が必要な状態だ。得意のパソコン操作を生かし、データ入力など在宅でできる仕事を探していたところにカフェの求人を知り、「チャンスだ」と飛びついた。

 ロボットを触ろうとする客には「おさわりはNGなもので」、ロボットが行先を間違えると「あらららら、ちょっとトラブル」。出勤2週目を迎えて、接客も板についた様子。

 パイロットのいる場所には、店内の様子がモニターに映し出されるが、客からはパイロットの声しか聞こえない。操作に没頭して無口にならないよう心がける永廣さんの様子からは、「口下手」を自称し、「初日は脂汗をかいていた」という緊張はもはや感じられない。「自信がついたし、働く大変さも身に染みた。体は言うことをきかないけど、オリヒメを借りて自由に動き、楽器演奏などもできるようになって、もっとお客さんを楽しませたい」

 大阪市から来店した看護師の田中知世子さん(59)は、「(操作する人が)そこにいるかのように話せておもしろい。初めて働くという、少し内気な人もいて、従来のロボットにはない生身の温かさを感じる」と話した。今後は、来客の要望を反映させながらロボットの機能を高め、2020年には常設カフェの開店を目指す。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件