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CES2019レポート:その先を見据えた日本のスタートアップの取り組み

J-Startupの展示エリア。22社が出展している

J-Startupの展示エリア。22社が出展している

 米国ラスベガスで開催されたCES 2019では、世界各国から参加したスタートアップばかりを集めた会場「Eureka Park」があった。その中に日本から参加したベンチャー22社が集まるエリアが「J-Startup」だ。ロボット、ウェアラブルなど参加企業の業種はさまざまだが、その中から何社かを紹介したい。

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 和室の鴨居のような木製バーが、IoT機器のインターフェイスとなる、見た目にも優しげなユーザーインターフェイス(UI)を展示していたのは京都に本社を置くmui Lab株式会社(京都市中京区)だ。

mui Lab, Inc.の「mui」。バーに触れると操作部分などが現れる

mui Lab, Inc.の「mui」。バーに触れると操作部分などが現れる

 スマートホーム部門でCES 2019 Innovation Awardsを受賞したこの商品「mui」は、スマートな外観や、触れると木肌の表面に現れる数字やタッチボタンが美しため、CESの開催期間中からすでにいくつかのメディアでも紹介されている。会場で説明にあたっていたmui Lab, Inc. 代表の大木和典氏は、勤務先のNISSHA株式会社からスピンアウトして同社を設立した。

 同氏によると、この先ますます多機能化する自宅や車の空間がスイッチやリモコン、液晶画面にあふれる空間にならないよう、かつ操作や表示のためのUIそのものが快適性を演出してくれるような製品作りを心がけたという。

 「mui」は「無為自然」の「無為」に由来している。作為なく自然であるというのが、この商品のコンセプトだ。

 スマートホームで何が自動化され、どう便利になるかといった利便性や先進性も大切な要素だが、その製品が人と触れる部分、つまりUI設計やデザインの部分に積極的に目を向け、そこで価値を生み出そうというのが同社の方針だ。

三代目が考えるプランターの進化

同社のSmart Planter(プレスリリースより)と栽培中のパイナップルの様子(右下 CES会場にて)

同社のSmart Planter(プレスリリースより)と栽培中のパイナップルの様子(右下 CES会場にて)

 日本ではあらちこちらで見かける園芸用の「プランター」。この「プランター」という製品を作り、命名したのが、今回J-Startupに出展していたプランティオ株式会社のCEO芹澤孝悦氏の祖父だ。1949年に考案されたプランターは今年で70周年。その記念すべき年に孫の同氏が、CESに持ち込んだのがIoTとAIを備えたコネクティッドプランター。これは生育状態をカメラやセンサーで監視し、水やりや収穫のタイミングをAIで判断する。しかし、このプランターの真価はその機能ではない。

 芹澤氏は開口一番「これはエンターテインメントなんですよ」と説明を始めた。そこに植えられた植物は友人グループや職場仲間などのコミュニティーで管理する。プランターの機能で水のやりどきは判断するが、自動的に水やりはしない。水不足の情報は各人のスマホで知ることができるので、それに気がついた誰かが仲間と連絡を取り合い、手分けして管理をするのだ。みんなで育てることで、コミュニケーションが生まれ、コミュニティが活性化する仕掛け、これがこのサービスの本当の狙いだ。

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 両社の製品は先端技術を取り込んでおり、それ自体魅力的なものだ。しかしそこにとどまらず、そのイノベーションの先にある別の何かを見据え、そこにアプローし、その価値を高めることをビジネスにしようとしている。

北元均 Written by
朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。