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監視業界、狙う新市場はアフリカ大陸 広がるファーウェイ利用

路上に設置された監視カメラ(2016年12月21日撮影、資料写真)。(c) Roland Weihrauch / dpa / AFP

路上に設置された監視カメラ(2016年12月21日撮影、資料写真)。(c) Roland Weihrauch / dpa / AFP

【AFP=時事】先月モロッコの首都ラバトで開かれた安全保障関連の見本市「ASEC Expo」では、各国のIT関連の出展企業がアフリカ諸国の当局者らに対し、自社の最先端の監視機器によって安定と発展がもたらされると盛んにアピールした。

 主催者によれば、この種の見本市はアフリカ大陸初だという。世界中から集まったIT企業がもくろんでいるのは、急速な都市化と経済成長が著しいアフリカ大陸の新興市場征服だ。監視機器関連業界は、欧州から市民の自由を侵犯するとの疑いの目を向けられ、規制されているが、そんな業界にとって今、法整備の進んでいないアフリカ諸国は魅力的なパートナーに映っている。

 この見本市で大きな存在感を放っていたのが中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)だ。すでにケニアやカメルーン、マリやコートジボワールの首都に導入されている監視ネットワークの成功を大々的にアピールしていた。ガーナのアルバート・カンダパー(Albert Kan-Dapaah)国家安全保障相は同社の宣伝映像に登場。「犯罪が起きても、監視カメラのおかげで、われわれは魔法を起こせる」と効果をうたった。

 中国国営新華社(Xinhua)通信によると、ファーウェイの機器はすでに100か国、700を超える都市に導入されており、うち25か国以上がアフリカだという。一方、米国やオーストラリアは、中国当局のサイバースパイ活動とファーウェイのつながりを疑い、国内の第5世代(5G)通信網への参入から同社を締め出している。

 市場調査会社ストラティスティクスMRC(Stratistics MRC)によると、世界のビデオ監視機器市場は2017年時点で300億ドル(約3兆3300億円)規模に成長し、今後数年間で2桁成長を達成すると同社は予測している。

■独裁政権が多いアフリカでは規制受けずに監視技術の開発が可能

 ビッグデータと人工知能(AI)の手にかかれば、群衆はもはや匿名ではない。オンラインで容易に入手できる膨大なデータと顔認証アルゴリズムを組み合わせれば、監視装置の前を通過したあらゆる人物の特定が可能になる。

 ファーウェイ幹部は、「その人物の情報をつかんでいなかったとしても、身元を特定することはできる。氏名、学歴、家族関係、好み、渡航歴などもだ」と語る。

 監視技術を支持する人々は、こうしたデータは警察が犯罪者を追跡するにも、企業が潜在顧客を掘り起こするのにも役に立つと主張する。しかし、市民の自由や人権を擁護する立場の人々からは、大衆監視の危険性に懸念の声が上がっている。

 アフリカでは、さまざまな国の独裁主義的な政権が反対派を排除するために人権侵害を行っているとしてしばしば糾弾されている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は今年の年次報告でエジプトを取り上げ、政府が対テロ対策と安全保障上の懸念を「口実に、あらゆる種類の反対意見を弾圧している」と指摘した。

 欧州連合(EU)は昨年、監視活動に関する懸念から「EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation)」を導入した。だが、ブラジルのソフトウエア企業デジフォート(Digifort)のフランソワ・レビー(Francois Levy)氏によると、欧州では現在、規制されている技術が「中東やアフリカならば開発可能」な状態にある。

■「個人情報がいつ、どのように収集利用されているか大半の人は気付いていない」

 ファーウェイがあからさまに宣伝しているのが中国の例だ。同国では、「全警察署に独自のビデオ監視システムが備えられている」。同社の製品によって中国当局は、タクシーから空港、スタジアム、果ては一般市民が個人の携帯電話で撮影した写真まで、膨大な量の映像データを利用する機会を手に入れた。

 HRWの今年の報告書は、中国政府が国内で大衆監視を拡充し、DNA情報や音声サンプルなどの詳細な生体認証データを広範囲に収集して「社会統制を強化している」ことも詳しく指摘。「こうしたシステムが、法律面でも実際面でも、個人情報を保護することなく配備されており、多くの場合、人々は自分の個人情報が収集されていることも、どのように利用・保管されているかも気付いていない」と警鐘を鳴らしている。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件