Open Innovation Platform
FOLLOW US

テニスのライン判定技術、独占状態に風穴? 新興テック企業の挑戦

大型画面に映し出された新ラインコール技術「フォックステン」による判定の場面(2017年9月24日撮影)。(c)JEAN-CHRISTOPHE VERHAEGEN / AFP

大型画面に映し出された新ラインコール技術「フォックステン」による判定の場面(2017年9月24日撮影)。(c)JEAN-CHRISTOPHE VERHAEGEN / AFP

【AFP=時事】コート上での激しいせめぎ合いが魅力のテニスだが、実は舞台裏でも、新進気鋭のニューカマーと名声を確立したスターとの争いが繰り広げられている。

 テニスのラインコールの分野は近年、革新的なボール追跡技術を開発した英国のホークアイ(Hawk-Eye)社が牛耳ってきた。コンピューターと接続したカメラでボールを追跡し、軌道と接地点を計算・推定した後、シミュレーション映像を生成してインとアウトを判定するシステムは、世界中のテニスファンにおなじみのものとなっている。

 ところが、スペインに拠点を置く新興のフォックステン(FoxTenn)社は、自分たちのシステムはライン判定をめぐるグレーゾーンをなくすものであり、ホークアイよりも優れていると信じている。

 ホークアイはコートの周囲に10台以上のカメラを設置し、ボールの実際の接地点とシミュレーションとの誤差は、公式には3ミリ程度とされている。

 しかし、それでも大きすぎると考えるフォックステンは、自分たちのリアルタイムテクノロジーなら議論の余地をゼロにできると主張する。フォックステンのハビエル・シモン(Javier Simon)社長は「われわれが提供するのは真実と透明性のテクノロジーであり、ボールが実際にコートに触れた瞬間を扱うものです」と話した。

 実際、フォックステンのシステムでは40台ほどのカメラを設置し、スキャナーとレーザーの補助も得ながら実際に接地した瞬間を捕捉するから、シミュレーションを行う必要はない。シモン氏によれば、男子プロテニス協会(ATP)と国際テニス連盟(ITF)、女子テニス協会(WTA)の主要3団体が認可した調査で、測定ミスの割合はゼロだったという。

■目標は「全大会への導入」

 フォックステンのシステムは、現時点で男女の約30大会、つまりプロレベルのおよそ2割の大会で採用されているという。シモン氏は「全大会への導入」、特に最高レベルにあたるATPのマスターズ1000(ATP World Tour Masters 1000)や四大大会(グランドスラム)での導入を目指している。

 マスターズ1000の9大会では、ライン判定技術の契約があと数か月で満了となる。そのためフォックステン社は積極的なロビー活動を行い、自社のテクノロジーの価値をアピールする機会を探っている。

 すでにフォックステンを導入している大会の一つ、オープン13(Open 13 Provence)のジャン・フランソワ・コージョル(Jean-Francois Caujolle)大会ディレクターによれば、導入当初はトラブルもあったが、採用から2年を経て問題は解決したという。 「最初に聞いたときから、ホークアイに挑戦するという考え方が気に入りました。ちょっとした独占状態でしたからね」「フォックステンはより設置が手軽な上に少し安めに思えますし、リアルタイムの画像が手に入るのは利点です」「最初は判定に時間がかかりましたが、改善されて非常に良くなっています。もしかしたら、彼らの存在がホークアイにシステムの刷新を促すかもしれません」

 もっとも、選手たちは別のことに集中しており、舞台裏のテクノロジー企業の争いに直接関心が向くことはほとんどない。

 男子のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、自分がフォックステンのシステムの目にさらされてきたかどうかも分からないと明かし、「どうだろう。私としては、それが何なのかも知らない」「私が出場した大会はみんな知っていると思うが、そこでは使われていなかった気がする。ずっとホークアイじゃなかったかな?」と語っている。

 一方でガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)は、ホークアイに慣れ親しんではいるものの、「実際にボールが落ちた場所を確認できる」点はフォックステンの武器になるかもしれないと話している。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件