Open Innovation Platform
FOLLOW US

AI作曲ソフトは、音楽制作の主流になり得るか?

インドで開催されたAI関連会議で、ポスターの前に立つ参加者(2017年4月4日撮影、資料写真)。(c)MANJUNATH KIRAN / AFP

インドで開催されたAI関連会議で、ポスターの前に立つ参加者(2017年4月4日撮影、資料写真)。(c)MANJUNATH KIRAN / AFP

【AFP=時事】米テキサス州で今月開催された音楽や映画の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」では、人工知能(AI)がすでに音楽業界に入り込み、楽曲作りに活用されている現状が浮き彫りにされた。

 世界で初めて全曲をAIで作曲した画期的な音楽アルバムは、すでに昨秋リリースされている。動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」で人気を集めるポップアーティスト、タリン・サザン(Taryn Southern)さんのアルバム「I Am AI」だ。

 サザンさんは楽器の演奏はまったくできないが、2年前にAI作曲ソフト「アンパー・ミュージック(Amper Music)」を使った楽曲作りを始め、アルバムに収録されている全8曲をAIで作曲した。  SXSWのパネルディスカッションに登壇したサザンさんは「元々詩を書いたり、メロディを考えたりはできたけれど、曲として録音することができなかった」が、AI作曲ソフトを使い出して「2日後には、1曲出来上がっていた。自分の曲だって満足できた」「つまり、他のミュージシャンに演奏を頼らずに済むということ」だと語った。

 このAI作曲ソフトを提供している米企業「アンパー・ミュージック」は、エンジニアやミュージシャンらのグループによって2014年にニューヨークで設立された。AIを使って従来の作曲法を変革しようとするスタートアップ企業の一つだ。

 同社の共同創設者で最高経営責任者(CEO)のドリュー・シルバースタイン(Drew Silverstein)氏はソフトを開発した狙いについて、人間の作曲家に置き換わることではなく、むしろ彼らの目標達成のためにソフトを使ってもらうことだと話す。

「『アンパー』のアイデアは、経歴や技能に関係なく、誰もが音楽を通じて自分自身を表現できるようにすることだ」とシルバースタイン氏。

■チャート入りは難しいが、聞き心地は十分

 このソフトではユーザーが、ラップやフォーク、ロックといった音楽ジャンルや、悲しいとか楽しいといった感情、またドライブ中といったシチュエーションを選択すると楽曲が出来上がる。後からテンポを変えたり、楽器を変えたり加えたりして満足が行くまでアレンジすることも可能だ。

 今回のSXSWで同ソフトが実際に制作した2曲は明らかに音楽チャートの上位には入りそうになかったが、聞き心地という点では申し分なく、ビデオやコンピューターゲームのバックミュージックとしては完全に通用しそうだった。

■AIはどこまで人に迫るか

 コンピューター・テクノロジーの第一人者でストラテジストのジェイ・ボワソー(Jay Boisseau)氏は、今後はますますコンピューターによる楽曲制作が盛んになるが、機械が完全に人に置き換わることはないと予想する。

「機械はパターンを見つけることはできるが、人間のように訓練されたこと以上の領域にまで足を踏み入れることは、あまり得意ではない。つまりは道具でしかない」とボワソー氏。

 またシルバースタイン氏も、AIは「答えがイエスかノーか」という場合に客観的な結果を得ようとする際には役立つが、アーティスティックな試みとなると完璧さからは程遠いと強調している。

 ボワソー氏は、AIは「まだアルゴリズムのまま」で、「人々が(出来た楽曲を)楽しめないというわけではないが、画期的というわけでもない」「現代の最先端技術の割には、『クリエーティブ』とは言い難い」と述べた。ただし、同氏は急いで「現段階では、だ」と付け足した。【翻訳編集】 AFPBB News |使用条件