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高校生にも起業家精神を浸透させる〜STARTUP CITY SAPPOROプロジェクト

STRTUP CITY SAPPOROの概要を説明する秋元札幌市長

STRTUP CITY SAPPOROの概要を説明する秋元札幌市長

 スタートアップのムーブメントを北海道の地にも根付かせたい。

 ここ数年、道内各自治体や地元企業が中心となり、起業家発掘・育成のプログラムが立ち上がり、道内にもスタートアップのエコシステムが徐々に形作られてきている。その動きを産学官民で支援しようというのが、9月19日に発表されたSTARTUP CITY SAPPOROプロジェクトだ。このプロジェクトは札幌市、一般財団法人さっぽろ産業振興財団、株式会社D2Garageが主催し、JR北海道、北海道新聞社、デジタルガレージがパートナーとして協力する。

左から林郁(株式会社デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO)、秋元克広(札幌市長)、広瀬兼三(北海道新聞社 代表取締役社長)の各氏

 高齢化や人口減少、産業構造の変化による経済の衰退。地方都市が抱える課題は多い。北海道の中心都市で197万の人口を抱える札幌とて例外ではない。ここのところ北海道の景況は、急増したインバウンド需要で息を吹き返したが、これとて一層の工夫がなければいずれは観光地としての魅力も減退することだろう。

 この日の発表会で、秋元克広札幌市長は「かつて札幌市はIT産業の集積地であることから“札幌バレー”と呼ばれ数々のイノベーションを生み出した。先人の偉業を礎にSTARTUP CITY SAPPOROでさらなる発展につなげたい」と話したようにIT産業に続き、基幹産業である観光や食・農業の分野でイノベーションを起こす企業や、全く新しい分野において、北海道発でグローバルに展開する新たな企業の登場が待ち望まれている。そんな企業をスタートアップの中から育てることがこのプロジェクトの目的だ。具体的にはファイナンスや事業計画についての相談窓口を定期的に開設し、人材育成にも力を入れていく。

キャリアとして起業を選択できる環境

 札幌に限ったことではないが、東京に比べると地方都市には手本となる先輩起業家が少ない。親類縁者や大学の先輩など身近に起業家がいれば、キャリアとして起業を選択するハードルが下がるのだが、いなければ、未知なるキャリアを選択をするのは不安が大きい。

 そんな不安を払拭するため、人材育成については、起業家や起業家予備軍の支援・育成だけでなく、大学生やさらにその下の世代である高校生にまでターゲットを拡大し、その時が来れば躊躇なく起業を志すことができるよう「キャリアとしてのスタートアップ」の認知を浸透させていく。アントレプレナーシップ(起業家精神)は突然湧き上がるものではない。時間をかけてその精神を浸透させ、環境を作る必要がある。

 なお、この日は発表会に続いて、連携プロジェクトであるシードアクセラレータープログラム「Open Network Lab HOKKAIDO」の第2期生である5つのスタートアップが自らの事業発表を行った。こうして生まれる先輩起業家が、次世代への手本となり、STARTUP CITY SAPPOROを作ることになるのだろう。

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