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23歳で引退も…eスポーツの短いキャリア、不安覚えるプロ選手たち

中国・上海で開催された「ドータ2」の世界大会(2019年8月20日撮影)。(c) AFP

中国・上海で開催された「ドータ2」の世界大会(2019年8月20日撮影)。(c) AFP

【AFP=時事】ゲームの世界でライバルを倒し続けてきたeスポーツの第一世代が引退し始めるなか、ある難しい問題が浮上している──引退後、プロ選手は一体何をすればいいのか、という問題だ。

 eスポーツの世界では他の多くのスポーツに比べ、この問題に直面する時期が早い。激しいゲームで戦う選手たちにとっては、ミリ秒単位の遅れが致命的になり得るため、「反応の鈍り」が現れるとされる23歳でその選手生命が終わることすらあるという。

 急成長するeスポーツの世界では、その賞金も高騰している。8月に中国・上海で開催されたマルチプレーヤーゲーム「ドータ2(Dota 2)」世界大会の賞金は過去最高となる3370万ドル(約36億4000万円)に達した。この数字は今後、さらに上昇するとみられている。

 ドータ2では、選手の引退年齢は30歳と言われており、そのタイミングは比較的遅めだ。プロゲームチーム「ニュービー(Newbee)」の「スニーキング」ことジンジュン・ウー(Jingjun Wu)さん(24)はAFPの取材に、「その年(30歳)になると動きが鈍り、(選手としての活動が)難しくなると考えられている。ただ、これは根拠のない数字だと思う」と述べた。

 ライバルチーム「ミネスキ(Mineski)」に所属する「ニンジャブギー」ことマイケル・ロス(Michael Ross)さん(27)も、この年齢の壁を乗り越えたいと考えているようだ。ロスさんは人生の半分以上をゲームに費やしてきたが、引退の年齢がすぐそこに近づいてきている。引退後の計画について質問すると、「それはまったく考えたことがない」と答えた。

■燃え尽き症候群

 プロゲーム業界に詳しい人々によると、選手らの間では「引退後、どうするか」という話題がよく会話に上るという。引退後の主な選択肢としては、eスポーツチームのコーチやコメンテーター、アナリストなどがある。

 だが、1日12時間におよぶ練習によって目や手首を痛めてしまう選手もいる。そういったケースでは、引退を心待ちにしているとの声も聞こえてくる。

 eスポーツ専門家を自認する「トリン」ことダンカン・シールズ(Duncan Shields)さんは、選手が若いうちに引退するのは燃え尽き症候群が主な理由だと話す。

■社会的スキル

 だが、状況は変わりつつあり、引退年齢も徐々に上がっているという。  元プロ選手の「Aui_2000」ことカーティス・リン(Kurtis Ling)さん(26)は、eスポーツ界で高所得者が増えていることがきっかけとなり、より長くプレーを続ける選手が多くなっていると指摘する。優秀な選手は億万長者なのだ。

 eスポーツ専門サイト「esportsearnings.com」によると、リンさんも現役時代、200万ドル(約2億2000円)近くを稼いだとされる。しかし、けがが原因で引退し、その後はニュービーのコーチとして活動を続けている。引退についてリンさんは、「スポーツ選手は40代半ばまでプレーしている。eスポーツでそれができない理由はない」と話した。

 eスポーツ界が成熟し、その市場規模が大きくなるにつれ、引退した選手はeスポーツ関連のビジネスやマネジメント、メディアに携わる機会が増えてくるだろう──。そう話すのは、プロゲームチーム「ビルトゥス・プロ(Virtus.pro)」のジェネラルマネジャー、ロマン・ドゥボリャンキン(Roman Dvoryankin)氏だ。

 eスポーツの選手をめぐっては、引退後の活動で必要となる社会的スキルに乏しいとの見方がある。しかし、ドゥボリャンキン氏はこの批判を一蹴する。 「他人とのコミュニケーションに問題はない」 「(eスポーツの選手は)コンピューターの前に座っているだけと考えられがちだが、実際にはたくさん会話している。ただそれがネット上のチャットであるというだけだ」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件