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中国、デジタル通貨導入へ 国民の消費動向の監視強化か

中国・北京で、中国人民銀行の前を歩く人民武装警察部隊の隊員(2015年7月8日撮影、資料写真)。(c)GREG BAKER / AFP

中国・北京で、中国人民銀行の前を歩く人民武装警察部隊の隊員(2015年7月8日撮影、資料写真)。(c)GREG BAKER / AFP

【AFP=時事】米フェイスブック(Facebook)の暗号資産(仮想通貨)「リブラ(Libra)」が物議を醸す中、中国政府は独自のデジタル通貨を導入する計画を進めている。アナリストらによると、この通貨は、政府や中央銀行が国民の消費の動きを監視できるものになるとみられている。

 暗号資産はリバタリアン(自由至上主義者)にとっては理想的なコインとされ、匿名性が高く、デジタルの足跡を残さずに取引することが可能だが、中国政府の考えるデジタル通貨は、そうしたものとは懸け離れている。実際に検討されているデジタル通貨は、厳しい規制を受け、中央銀行である人民銀行(People’s Bank of China)によって管理されると、専門家らは指摘する。

 北京を拠点とする調査会社トリビアム・チャイナ(Trivium China)のアナリストらは、政府が検討しているデジタル通貨によって「人民銀行による全国の取引の監視は強化されることになる」と説明している。

 今年9月、人民銀行の昜鋼(Yi Gang)総裁は、新しいデジタル通貨は中国のソーシャルメディア「微信(ウィーチャット、WeChat)」や電子商取引(EC)大手、アリババグループ(Alibaba Group)の決済サービス「アリペイ(Alipay)」のような既存の電子決済システムでも使えるものになる可能性を示唆した。これらのアプリは国内で普及しており、銀行口座を通じた人民元での決済が行われている。

 昜総裁は導入の時期は明らかにしなかったが、国内メディアは例年、中国最大規模のネットセールが行われる11月11日の「独身の日」に合わせるのではないかと報じている。

 昜総裁は、「技術面の方向性は定めていない」「ブロックチェーン技術か、既存の他の電子決済方法から派生した別の技術を使うことも考えている」と述べた。

 中国が考えているデジタル通貨は、コンピューターネットワーク上に分散されて保存されるビットコインのような暗号資産というよりも、物理媒体に保存される電子マネーに近い。現時点で一つ確かなことは、昜総裁の言葉を借りれば、「中央集権的に管理される」ことだ。

■「プライバシーの最後のとりで」である現金に取って代わる

 中国はかつて、ビットコインの拠点となっていた。ウェブサイト「bitcoinity.org」によると、たった2年前には仮想通貨の中国三大取引所であるBTCC、オーケーコイン(OKCoin)、フォビ(Huobi)で行われる取引がビットコインの世界取引の98%以上を占めていた。

 だが、規制対象外の上、当局には見えない暗号資産の取引が政府に受け入れられるはずもなく、2017年に仮想通貨取引所は閉鎖に追い込まれた。

 専門ウェブサイト「Cryptonaute.fr」の編集長スタニスラス・ポゴジェルスキ(Stanislas Pogorzelski)氏は、中国では社会信用制度や顔認証カメラが普及しており、これから導入されるデジタル通貨によって、政府は「これまで以上に国民の行動を綿密に監視できるようになる」と主張。目的は、「プライバシーの最後のとりで」である現金に取って代わらせることだと述べた。

 中国経済を専門とするシンクタンク「マクロポーロ(MacroPolo)」の研究員ソン・ホウズ(Song Houze)氏は、政府が人民元の安定化に躍起になっている中、リブラはビットコイン同様、人民元の「競争相手であり脅威でもある」と指摘する。

 中国にとって、中央銀行が管理する自国のデジタル通貨のシステムは、消費者が望む利便性と、当局が必要とする管理とを兼ね備えたものだ。人民銀行は、現金の使用が減少している時代に合わせて変化していなければならないのだと、ソン氏は語った。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件