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太陽光は新型コロナウイルスを急速に不活性化させるのか? 論文の公開求める声も

ドイツ北部の小麦畑に降り注ぐ太陽の光(2018年7月6日撮影、資料写真)。(c)Hauke-Christian Dittrich / dpa / AFP

ドイツ北部の小麦畑に降り注ぐ太陽の光(2018年7月6日撮影、資料写真)。(c)Hauke-Christian Dittrich / dpa / AFP

【AFP=時事】太陽光は新型コロナウイルスを急速に不活性化させるのか? 米ホワイトハウス(White House)は、政府機関による謎めいた研究結果を明らかにしてそう主張したものの、一部の科学者は、さらなる証拠が示されるのを待っている状態だとして注意を呼びかけている。

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 米国土安全保障省長官の科学技術顧問を務めるウィリアム・ブライアン(William Bryan)氏は23日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のコロナ流行に関する定例会見で、太陽光によって新型コロナウイルスが急速に不活性化することが分かったと発表。この発表には多くの注目が集まった。

 実験は、米メリーランド州にある国立生物兵器分析対策センター(NBACC)で実施。ブライアン氏が記者団に対して示した実験結果をまとめたスライドによると、ステンレス製品などの無孔質の表面上にあるウイルス量の半減期は、気温21~24度、湿度80%の暗所で6時間だったが、太陽光が当たると半減期は2分にまで縮まった。

 また新型ウイルスが空気中に漂う状態になった場合の半減期は、温度21~24度、湿度20%の暗所で1時間だったが、太陽光が当たると1分半にまで減少した。

 太陽光に含まれているが目には見えない紫外線は、ある種の病原体の消毒に非常に効果があることが知られている。世界保健機関(WHO)が発展途上国の人々に、水道水をプラスチックのボトルに入れて太陽の下に5時間置くよう推奨しているのもこのためだ。しかし、すべての病原菌が太陽光で死滅するとは限らない。

 太陽光には波長が違うさまざまな紫外線が含まれている。大まかに見ると、日焼けや肌の老化の原因となる紫外線A波(UVA)、紫外線A波よりエネルギーが強く、肌がやけどのように赤くなったり、がんを引き起こしたりすることもある紫外線B波(UVB)、そして最も危険な紫外線C波(UVC)に分けられる。

■紫外線A波、SARSウイルスの活性には影響なし

 地球の大気を透過して地上に到達する紫外線は主にUVA。UVCは大気に吸収されて地上には届かない。UVCは動物細胞やウイルスの遺伝物質を傷つける程度が特に強いため、これが地上に届かないのはわれわれにとって朗報だ。

 新型コロナウイルスと遺伝子学的に近い重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスを調べた2004年の研究で、UVAは照射時間の長短にかかわらず、SARSのウイルスの活性にまったく影響を与えないことが示された。通常は実験室や病院の消毒に用いられ、今では中国のバスの消毒にも使われているUVCは、SARSのウイルスを15分以内に完全に不活性化させた。

 新型コロナウイルス「SARS-CoV-2」が、SARSのウイルスよりUVCだけでなく普通の太陽光にも弱い可能性はある。問題は、国土安全保障省が、科学界の規範を無視してデータを公開していないことだ。

 ウイルス疫学者のクリス・ボンシファルバ(Chris von Csefalvay)氏は、「どのように実験が行われたのかを知るために、研究について理解することが非常に重要となるだろう。実際の研究論文、または最低でも査読前の原稿がすぐに共有されることを強く期待している」 「科学界は彼らの発見を検討したがっているのは確かだ」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件