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新型コロナ対策で日本でも注目の紫外線 その根拠と行方は

紫外線は有効?(イメージ図)

紫外線は有効?(イメージ図)

「紫外線はコロナウイルス不活性化に有効か?」米国ホワイトハウスが、政府機関による研究結果を明らかにして以来、にわかに注目を集める事になった「紫外線」。実は日本でも少し前から紫外線がコロナウイルス不活性化に有効だということが企業のリリースなどにも現れている。

紫外線とは(スタンレー電気特設サイトより)
紫外線とは(スタンレー電気特設サイトより)

 紫外線(ultraviolet ray=UV)というのはその名の通り、可視光線の紫色の外側(400nm以下の波長が短い側)に位置し、目には見えない電磁波で太陽光にも含まれている。さらに紫外線は波長によってUV-A(A波)、UV-B(B波)、UV-C(C波)に分けられる。強い殺菌作用があり消毒などに利用されるのは280nm以下のUV-Cだが、通常このUV-C(C波)は大気中のオゾン層などに遮られ地表には届かない。よって日光浴が新型コロナウイルス不活性化に有効かどうかは現時点では議論のあるところだが、UV-C(C波)はLED殺菌灯として利用されており、重症急性呼吸器症候群(SARS)を不活性化することが判明している。

従来型コロナウイルス(229E)での不活性化テスト結果(ナイトライト・セミコンダクター社のリリースより)
従来型コロナウイルス(229E)での不活性化テスト結果(ナイトライド・セミコンダクター社のリリースより)

 LED製品などを製造するナイトライド・セミコンダクター株式会社(徳島県鳴門市)と独立行政法人国立病院機構仙台医療センターウイルスセンターが共同で行ったテストの結果から、同社の製品「UV殺菌器LEDPURE SM1」を使った場合、従来型のコロナウィルス(229E)では10分間の照射で99.6%が不活性化されたことが報告されている。また自動車ライトなどの部品大手スタンレー電気株式会社からも、自社のLED電灯製品が殺菌に有効である旨のリリースがなされている。同社が設けた深紫外線(UV-C)技術に関する特設サイトには、深紫外光による殺菌の原理が解説されている。それによるとウイルスが紫外線により不活性化するのは、照射によってDNA・RNAの螺旋構造に変化が起こり、損傷を受けたウイルス細胞の分裂が阻害されるためだという。

 どちらも、新型コロナウイルスそのものの殺菌にも有効かという結論にまで至っていない点はもどかしいが、テストを行った仙台医療センター ウイルスセンター長の西村秀一氏の個人的見解によれば、「同様の効果が期待できる」とのこと。新型コロナウイルスそのものによる実験は、バイオセーフティーレベルが高い施設でしか実施できないため、民間の製造業が実証できる範囲には限度があるが、ホワイトハウスの言及により、今後実証のための研究が加速されるだろう。

 新型コロナウィルス対策としてにわかに注目が集まった“紫の光”。中国ではバスまるごと紫外線殺菌する施設なども登場しているようだが、一方で紫外線、特にUV-C(C波)は皮膚がん発生の原因にもなることで知られている。薬の注意喚起ではないが、今後、さらに明らかになるであろう科学的根拠に基づき用法・用量を正しく利用することが必要だ。

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朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。