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ロボットと監視カメラ、SFのディストピア思わせる中国のコロナ隔離生活

中国・北京で、湖北省武漢から訪れた人々を隔離しているホテルの部屋に食事を運ぶロボット(2020年4月28日撮影)。(c)Jing Xuan TENG / AFP

中国・北京で、湖北省武漢から訪れた人々を隔離しているホテルの部屋に食事を運ぶロボット(2020年4月28日撮影)。(c)Jing Xuan TENG / AFP

【AFP=時事】食事を運んで来るロボット、防護服に身を包んだ幽霊のような人影、正面玄関に向けられた監視カメラ──中国で新型コロナウイルスの感染対策として人々を隔離するために取られている方法は、多くの人の目にはまるでSFに登場するディストピアのように映っている。

 中国・北京中心部にある隔離用ホテルでは、宿泊者のあらゆる行動を監視するために各階に備え付けられたデスクに警備員が座っている。

 隔離による孤独を乱すのは、居室への接近を許可されている数少ない訪問者の一人、高さ約90センチの円筒形ロボットだ。ロボットはペットボトルの水や食事、宿泊者宛ての荷物などを運んで来る。

 宿泊者と人間のスタッフとの接触を最小限にとどめるために、ロボットは自力でエレベーターに乗り、廊下を移動。目的の場所に着くと、居室の固定電話に電話をかけ、薄気味悪い子どものような声で宿泊者に通知する。「もしもし、サービスロボットです。ご注文の品が部屋の外に届いています」

 ロボットの胴体が開き、宿泊者が届け物を受け取ると、ロボットは向きを変えて立ち去って行く。

 医師らは防護服を着て、毎日、居室を一部屋ずつ訪れ、新型コロナウイルス発生地の湖北省(Hubei)武漢(Wuhan)に滞在していたAFP記者を含む宿泊者らに、受付で渡された水銀体温計で忘れずに検温するよう声を掛け、症状が表れている人がいないか尋ねて回る。

 一方、北京市内の住宅地では、自宅隔離中の人々の家の玄関に無音の電子警報器が設置されている。

 自宅隔離中の人が住む各家庭の玄関口には当局による通知が張られ、その居住者の監視を近隣住民に求める指示が書かれている。AFPの取材に応じた当局者の話によれば、市内のある住宅地区では、自宅隔離中の住民は玄関の扉を開ける際には必ず地域のボランティアに通知しなければならない。

■ドイツ人記者「ぞっとする」

 ドイツ人記者のフリーデリケ・ベーゲ(Friederike Boege)氏は、武漢から北京に戻った日に今年2回目となる隔離生活に入った。住宅の管理会社は、ベーゲ氏の活動を監視するカメラを玄関前に設置した。

 ベーゲ氏は、AFPの取材に「本当にぞっとする。このような状況にどうやって慣れればいいのか」と語った。「監視カメラだけでなく、住まいから外に出たら、集合住宅の警備員や清掃員に絶対通報されると思う」

 前回は、3月にタイから戻った後の隔離生活中、ごみを出すために階下に下りると清掃員から管理会社に通報されたという。

 厳重な隔離下に置かれる人々には、完全な孤立が一時的な規則として課される。スーパーへの買い物や退屈を紛らわす散歩すら一度もできない。

 報道機関記者のジョイ・ゾン(Joy Zhong)氏(25)は、武漢への出張から北京に戻った後、市内にあるホテルで窮屈な部屋から一歩も出ずに3週間過ごした。

 ホテルでは、宿泊者が自分で食べ物を注文することは禁止され、全員同じ食事を提供された。友人が差し入れをフロントに届けることは許可されたが、スタッフはその差し入れを部屋の外に置いて行き、宿泊者と直接的な接触することはなかった。

 ゾン氏は、AFPの取材にこう語った。「21日間連続で誰とも会わずに過ごしていると、時間が過ぎるのが非常に遅く感じた」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件