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紫外線ランプ、新型コロナとの闘いに光明か 米コロンビア大が実験

コロンビア大の研究チームによる遠紫外線C波の実験。同大提供(2020年3月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Columbia University / Manuela Buonanno

コロンビア大の研究チームによる遠紫外線C波の実験。同大提供(2020年3月26日撮影)。(c)AFP PHOTO / Columbia University / Manuela Buonanno

【AFP=時事】危険なウイルスを死滅させる最新型の紫外線(UV)ランプを駅や空港、学校などで利用することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いを有利に進めることができるようになるのだろうか。

 米コロンビア大学(Columbia University)の研究者らは長年、紫外線のこのような利用法に関する研究に取り組んでおり(※)、現在のパンデミック(世界的な大流行)によってその取り組みの重要性が裏付けられる可能性がある。

 紫外線C波(UVC)ランプは細菌やウイルス、カビ対策といった目的で、特に病院や食品加工業などでは以前から利用されている。

 だが、UVC線は危険性が高く、皮膚がんや眼疾患を引き起こすため、人がいない状況でしか使用できない。

 そこで、コロンビア大放射線研究センター(Center for Radiological Research)が研究対象としているのは、「遠紫外線C波」と呼ばれる紫外線だ。遠紫外線C波の波長は222ナノメートルで、人には無害だが、ウイルスにとっては有害だと同センターのデービッド・ブレナー(David Brenner)所長はAFPの取材で説明した。この周波数では、人の皮膚や目の表面を貫通できないというのだ。

 このような特徴から、遠紫外線C波は人が密集する場所、密閉空間、感染リスクが高くなる場所でも使用可能となるため、現在のパンデミックへの対応でもその活用が広く期待されている。

 コロンビア大の研究チームは2013年、薬剤耐性菌に対する遠紫外線C波の有効性の調査を開始した。次に、インフルエンザを含むウイルスへの遠紫外線C波の利用についても調べ始め、新型コロナウイルスを研究対象としたのはつい最近のことだ。

 感染性が非常に高い新型コロナウイルスを調べるためには、厳重な安全対策がとられた大学内の別の実験室に研究機材を持ち込む必要があった。ブレナー所長によると、「3~4週間前」に始めた実験により、表面に付着した新型コロナウイルスをUVC線が数分以内に死滅させることがすでに明らかになっているという。

(※)編集部補記:222nm紫外線殺菌についてコロンビア大学は2015年から日本のウシオ電機と 独占ライセンス契約及び研究委託契約をコロンビア大学と締結している。222nm紫外線の効果などについてはこちら

■人体への影響を確認

 遠紫外線C波が人体に無害であることを確認するための実験も並行して実施されている。マウスを使った実験は、遠紫外線C波に「人への使用を想定した強度の20倍の強さで1日に8時間、週に5日間」暴露させるもので、現時点で開始から40週が経過した。

 現状を確認するためにマウスの目や皮膚を検査したところ、「何一つ異常はなかった。マウスは非常に調子が良さそうで、しかも非常にかわいらしい」と、結果についてブレナー所長は話した。この実験は今後さらに20週間続く予定だという。

 研究の次段階では、感染者がせきやくしゃみをした時を想定し、空中を漂うウイルスにUVCランプを放射する実験を行う計画だ。

 チームは、予備段階の研究結果を英科学誌ネイチャー(Nature)にすでに投稿している。ただ、残りの検証段階をすべて通過して初めてその正当性が科学界でも認められることになる。

■危機回避の可能性はあった

 ブレナー所長は、「この遠紫外線C波の研究プロジェクトをもう1年か2年早く始めていたら、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機を回避できたかもしれない。毎晩、そのようなことを考えている」と話す。そして、研究が進むなかで、夜眠ることができなくなってしまったことを明らかにした。 「完全に(防げた)ということではないが、おそらくパンデミックは回避できただろう」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件