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VR利用したセクハラ対処法を開発 シンガポール

シンガポールで、バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)のシミュレーションを体験する学生(2020年3月10日撮影)。(c)Catherine Lai / AFP

シンガポールで、バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)のシミュレーションを体験する学生(2020年3月10日撮影)。(c)Catherine Lai / AFP

【AFP=時事】「うわあ、君のシャツすごく透けてるね。下着もそれとおそろいなの?」と男性が言った。

 これはバーチャルリアリティー(仮想現実、VR)のシミュレーションだ。だがヘッドセットを装着しているエリザベス・リー(Elizabeth Lee)さん(23)は、場面が展開するにつれ、ショックを受けて言葉を失った。

 このVR技術は、シンガポールでセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)に反撃する女性らを助けることを目的とした「ガール、トーク(Girl, Talk)」プロジェクトの一環だ。

「自分は、もっと相手に対決する反応を示すかと思っていた」とリーさんは認める。

「体がとても近くに感じられて…あんな露骨なことを言われて、むかむかした」

 シンガポールでは、シンガポール国立大学(NUS)の学生が寮のシャワー室で盗撮の被害を受けた話をインスタグラム(Instagram)に投稿して以来、大学で性的いやがらせが重大な問題となっている。

 被害者のモニカ・バエイ(Monica Baey)さんは、加害者はあまりにも軽いとがめ立てで免れたと思い、これを公にする決心をした。彼女の行動は、シンガポールにおけるセクシュアルハラスメントの告発運動「#MeToo(私も)」と呼ばれている。

 王乙康(Ong Ye Kung)教育相が昨年5月に議会に提出した情報によると、シンガポールの6大学では2015年から2017年の間に学生に関係した性的不品行が56件起きている。

 だが多くの学生はAFPの取材に対し、実際の発生件数はこれよりはるかに多く、その多数は報告されていないと語る。

「ガール、トーク」を立ち上げたのは4人の女性。シンガポール南洋理工大学(Nanyang Technological University)のダネリア・チム(Danelia Chim)さん、シオウ・ユンロン(Seow Yun Rong)さん、ヘザー・シート(Heather Seet)さん、ドーン・クワン(Dawn Kwan)さんだ。4人は「#MeToo」運動は意識啓発にはなったが、さまざまな状況でどのような最善な対処ができるのか、「セクハラ被害者に必要な備えをさせる」動きにはほとんどつながっていないと感じていた。

■VRで備えておけばエンパワーされる

「身体的被害を受けやすい事態に陥っても、自分が置かれた状況を判断して、どのように振る舞って対処すればいいのか選択肢があれば、とてもエンパワーされる」と4人はウェブサイトで述べている。

 VRのシミュレーションでは、実際の経験に基づいた5通りのシナリオを取り上げている。4人は、男性の友人たちに台本通りに演じてもらって撮影した。

 着想の基となった研究を行った米国の大学の心理学者らは、若い女性らが従来の模擬演習よりも仮想シナリオに強い反応を示したことを知り、性的嫌がらせに取り組むVRプログラムを作成した。

 リーさんは、「このようにさまざまな問題が起こり得るが、前より心構えができるようになったと思う。感情的に備えができ、次に取るべき手段が分かった。友人に話をして自分の周りのコミュニティーから支援を得て、必要ならさらに行動を起こすことを知ることができた」と話す。

「#MeToo」運動は2017年に米ハリウッドの元大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)受刑者による性的暴行などが発覚したのをきっかけに世界中に広がった。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件