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デジタル音声技術、新型ウイルス流行が成長の追い風に

インド・ベンガルールの病院で、病院スタッフの体温を計測する熱探知カメラ搭載ロボット「ミトラ」(2020年5月2日撮影)。(c)Manjunath Kiran / AFP

インド・ベンガルールの病院で、病院スタッフの体温を計測する熱探知カメラ搭載ロボット「ミトラ」(2020年5月2日撮影)。(c)Manjunath Kiran / AFP

【AFP=時事】人との接触を急に恐れるようになった世界で今、音声技術に新たな目が向けられている。

 グーグル(Google)の「グーグル・アシスタント(Google Assistant)」やアマゾン(Amazon)の「アレクサ(Alexa)」、アップル(Apple)の「シリ(Siri)」などの音声作動式システムは近年安定した成長傾向にあるが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がその成長を加速させるかもしれないとアナリストらは指摘する。

 音声アシスタントは質問に答えたり買い物をしたりするだけではない。新型ウイルスの予防策として個人間の接触が制限されるなか、関心の高まりが予想される医療分野やその他さまざまなビジネスでも応用されている。

 その一つがスマート住宅の制御だ。米調査会社ABIリサーチ(ABI Research)のアナリスト、ジョナサン・コリンズ(Jonathan Collins)氏は「音声はスマート住宅の空間にすでにかなり浸透している。音声で制御することで、スマートフォンからテレビのリモコン、照明スイッチ、温度調節器、ドアノブに至るまで、住宅の中で人がよく触れる表面を触らずに済む」と述べる。

 コリンズ氏は今回のパンデミックによって、「住宅に音声制御を導入する動機とインセンティブが強まり、さらにさまざまなスマート住宅用の機器やアプリに関する認識や採用が促進される」可能性が高いと分析している。

 ABIの推計によると、スマート住宅向け音声制御機器の昨年の出荷台数は1億4100万台に達し、今年は世界全体で30%近い増加が見込まれている。

 コリンズ氏によると、パンデミックの結果として個人間の接触や対面でのやりとりを不要にするために、遠隔操作が可能なスマート錠やスマートインターホン、その他のスマート住宅システムへの関心が高まることが予想されるという。

■医療への応用

 英調査会社フューチャーソース・コンサルティング(Futuresource Consulting)のアナリスト、クリス・ペネル(Chris Pennell)氏は、デジタルアシスタント機器の導入が「特に医療、小売り業、エンターテインメント産業など、顧客に直接対応する分野で」加速しそうだと予想している。

 一例が、すでに米総合病院メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)で実用化されているツールだ。このツールはアマゾンのアレクサを用いて、患者が自身の症状を評価したりウイルスに関する情報を入手したりすることができる。

 他にも、音声技術の医学的応用が進められている。

 米フロリダ工科大学(Florida Tech)コンピューター工学部教授で音声認識技術を専門とするベトン・ケプスカ(Veton Kepuska)氏は、身体的接触とそれによる感染を抑えるための音声作動式医療ロボットの開発に取り組んでいる。

 新型ウイルスの流行によってこの研究の資金集めに駆り立てられたケプスカ氏は、「このロボットを適所に配置していれば、状況は違っていただろう」と話す。さらにこの研究から、音声対話によって医師や看護師から多くの業務を引き継ぐことが可能な医療用人型ロボットの開発にもつながる可能性があるという。

「新型コロナウイルスのパンデミックは、助けを必要としている人々の元に危険を冒さずにサービスを届ける方法について、検討すべき状況を作り出している」とケプスカ氏は述べた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件