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脱サンフランシスコ…新型コロナ時代の米IT企業、在宅勤務を推進

飼い犬と共に台所に立つコンサルタントの女性。在宅勤務のため、米サンフランシスコから約25キロ離れた別の町に転居した(2020年9月11日撮影)。(c)Brittany Hosea-Small / AFP

飼い犬と共に台所に立つコンサルタントの女性。在宅勤務のため、米サンフランシスコから約25キロ離れた別の町に転居した(2020年9月11日撮影)。(c)Brittany Hosea-Small / AFP

【AFP=時事】米サンフランシスコではこれまで、建設車両やテクノロジー企業で働く流行に敏感な人たちを目にすることが多かったが、最近は引っ越し業者の車両が増えたと不動産業者のキルビー・ステンカンプ(Kilby Stenkamp)さんは話す──。

 米IT大手グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)、画像収集管理サイトのピンタレスト(Pinterest)やツイッター(Twitter)、そして他のIT系企業の近くにいようと、技術系の人材はこれまでサンフランシスコ周辺に集まっていた。しかし、ここにきてより広々とし、生活費も安い米国の他の土地へと多くが移動し始めている。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)によって在宅勤務する人の割合が一気に増え、技術系の人材にとって長らく憧れの地だったこの場所にも異変が生じているのだ。

 雇用をめぐっては、フェイスブックが新たな動きを見せており、従業員に会社周辺に住むことを求めることはせず、より広い範囲を対象に遠方の人材も確保する方針に切り替えている。

 サンフランシスコは今年3月、通勤や通学、その他の活動について移動制限を課した米国で最初の都市の一つだった。それから約半年が経過し、パンデミック以前の暮らしに戻る兆しがほとんど見られない中、一部の住民はここにとどまるべきなのか疑問を抱き始めているのだ。

■無期限での在宅勤務

 ツイッターならびに企業向けのメッセージサービスを提供するスラック(Slack)は、無期限での在宅勤務が可能だとそれぞれの従業員に伝えた。

 ピンタレストも先ごろ、サンフランシスコに所有する現在の事務所を今後も利用すると述べ、シリコンバレー(Silicon Valley)の新事務所のリース契約の解除に9000万ドル(約94億円)を費やしたと発表した。

「われわれはコロナ後の世界で労働環境がどのように変わっていくかを分析しており、特に未来の従業員がどこに拠点を置くことができるかについて再考している」と同社のトッド・モーゲンフェルド(Todd Morgenfeld)最高財務責任者(CFO)はこの動きについて説明した。

■原子よりもバイトを移動せよ

 グーグルとフェイスブックは最短でも来年半ばまで、従業員がかつての就業場所に戻ることを期待していない。それどころか、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)最高経営責任者(CEO)は、同社の従業員の半数は5~10年以内に恒久的な在宅勤務が可能となる見込みだとの考えを示している。

 同氏は、「(物質の最小単位である)原子を動かすよりも、バイト(コンピューター上で情報量を表す単位)を動かす方がよほど簡単だ」と冗談を飛ばし、「だから、渋滞で座っているよりも仮想現実やビデオチャットを用いて自分たちを転送させる方がよほどいい」とも述べている。

 これまで、無線インターネット付きの快適な専用バスを利用していた従業員らの多くも、シリコンバレーへの通勤で無駄になっていた時間を取り戻すことができると、こうした動きを歓迎している。

 金融アナリストでフランス人のロマン・デベック(Romain Daubec)氏とフェイスブックの従業員である米国人の妻は、パンデミックによる家賃の引き下げにもかかわらずサンフランシスコのミッション地区(Mission District)を離れることを決めた。

 それを後押ししたのは、依然として高い生活費と活気を失った社交の場、そしてすでに離れてしまった友人らの存在だ。

 夫婦は、シリコンバレーからは約2000キロ離れてはいるが、時間帯の近い米コロラド州の州都デンバー(Denver)を転居先とする意向だという。そこでは山々の美しさと、今よりも約30%安い家賃に喜びを得ることができる。

 フェイスブックや他のテクノロジー企業は、最終的には現地の生活費に合うよう給与の支払いを調整する。しかし、コロラドやテキサスなどの州では、サンフランシスコよりもはるかに低い税率で給料に課税される。

■「カードをシャッフルするようなもの」

 人々の流出により、ダウンタウンの高層ビルでは空き室が増え、その影響から商業施設も再開をためらうようになっている。そして、市街地ではホームレスの人を目にする機会が増えた。

 また現在、カリフォルニアと西海岸の広域で山火事が猛威を振るっているが、サンフランシスコを離れ、米西部の別の地域からリモート勤務しようとする人の流れが弱まる様子は見られない。

 サンフランシスコの不動産業者らによると、市内の家賃は平均で約10%下がった。ただ、その一方でゴールデンゲートブリッジ(Golden Gate Bridge)周辺の住宅価格は値上がりしているという。

 市内の住宅価格がそれほど下落していないことから、事業主らも同都市の長期的見通しを落ち着いた様子でうかがっているようだ。こうした現状について、不動産業者のステンカンプさんは、「カードをシャッフルするようなもの」「地震やITバブルの後も人は戻ってきた。今は投資の時だ」と強気の姿勢で語った。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件