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Maker Faire Tokyo 2020「好きだから作ってみた」モノたちを楽しむ

AIの将棋記録係、将棋盤認識サービス『将棋盤 pic to kif』

AIの将棋記録係、将棋盤認識サービス『将棋盤 pic to kif』

 コロナ禍のためさまざまなイベント、見本市が中止あるいはオンライン開催となったが、そんな状況にも少しずつ変化が。「Maker Faire Tokyo 2020」は10月3日、4日に東京ビックサイトにて来場者を迎えての開催にこぎつけた。オンラインも併催されるが、やはりメイカーフェアのようなイベントは、参加者と直に顔を合わせて話せるのが楽しい。

Maker Faire Tokyo 2020

 初日の開場時には、このイベントを楽しみにしていた客がずらりと並んだ。親子連れも多い。密にならぬよう入場者数を調整し、検温・消毒を行うなど主催者は大忙しであった。

 メイカーフェアとは、娯楽としてのものづくりであり、企業での出展もあるが、基本的に作り手が作りたいものを持ち寄り、展示し、客とのやり取りを楽しんでいる。同人誌の即売会などをイメージしてもらえればいい。なので、電子音が鳴り響く雑然とした会場には「好きな人は見ていってね!」といったようなゆるい雰囲気がただよう。ただし、面白そうだと声をかけると、どの出展者も嬉しそうな表情で熱心に語ってくれる。

人の指し手を手軽に記録

 そんな会場の一角に、何の変哲もないアナログな将棋盤が置かれ、上部から盤面を撮影するカメラが設置されていた。これは、Nkkuma(えぬっくま)という東京農工大大学院の学生主体のチームが開発した「将棋盤認識サービス『将棋盤 pic to kif』」だ。

『将棋盤 pic to kif』開発Nkkumaのメンバー

 このサービスは、昨年その原型アプリが開発されたその後も、着々と「AI記録係システム」としてブラッシュアップされてきた。今回のメイカーフェアではその開発経過を披露していた。

 将棋ファンは、テレビなどでプロ棋士の対局の折、差し手を読み上げ、記録していく「記録係」の存在をご存じだろう。それを人間でなく、AIに代行させようという試みだ。対局記録のデータは、将棋の棋力向上に欠かせないものであるし、データ化しておくニーズも高い。しかし、すべての対局に人の記録係を配置するのは大変だ。これはAIにそれを代行させようということだ。

 プロの対局では、株式会社リコーが日本将棋連盟と共同で、棋譜を自動的に生成する「リコー将棋AI棋譜記録システム」を開発している。2020年5月に行われた第10期リコー杯女流王座戦一次予選では本稼働し、対局の無人化記録を実施しているが、これに比肩するものを自分たちで作ってしまおうというメイカーらしい試みだ。

 実際に試させてもらう。対局前のアナログな将棋盤面を固定化したカメラで記録するところから始まる。まず、こちらが先手として、将棋盤(アナログ)の7七歩を7六歩と動かす。すると、動かし終わった盤面を画像認識され、AIを用いた独自技術でそれをテキスト化し、「7六歩」と読み上げる。指し手はそのまま記録される。ちゃんと「記録係」を勤めてくれた。

 アマチュアの将棋対戦においてもこの仕組みを使えば、対戦者2人だけで記録を残すことができるし、それを仲間にシェアして、みんなから最善手の提案を受けることも可能だ。

 実際試させてもらい、認識精度や使い勝手にはもう少しの改善が必要なのではないかと感じたが、現在の将棋ブームの中で、新しい楽しみ方、勉強の仕方を創出できるソリューションになり得るかも知れない。

トランクが変身してバイクに

「タタメルバイク」のプロトタイプ。組み上げたイメージ

 さらに会場を見て回ると、占いを筆で書き出してくれるロボットの占い師や、お米を判定機に入れると「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」と自動判定してくれる「お米の品種判定装置」など、「好きで作られたもの」がたくさん展示されていた。そんな中で作品が充実していたのがモビリティコーナーだ。その中のひとつに電動折りたたみバイク「タタメルバイク(仮称)」のプロトタイプが展示されていた。

 これはプロダクトデザイナー生駒崇光氏が個人で開発中のもので、出先で机の下にも“駐車”できるような小型の電動原付きバイクだ。「タタメルバイク」は、約65cmx62cmx25cmのトランク型の形状から、小型の電動原付きバイクに変形することができる。まるで「トランスフォーマー」のようだ。

 モーターの出力、灯火類やナンバープレートなど、日本の原付一種クラスの保安基準に適合する形でデザイン、設計をしているので、公道を走ることを想定している。

「タタメルバイク」開発者のプロダクトデザイナー生駒氏

 生駒氏に話を聞くと、タタメルバイクは、50kmぐらいの距離は走行可能だという。都市部の往来には問題なさそうだ。また、このタタメルバイク自体が災害時のバッテリーになり得ると話す。どこかメーカーとのタイアップは進んでいるのかと聞くと、いくつか話が来ているとのことだ。現在は、他社の作業場を間借りして開発している。生駒氏は「個人でハードウェアを開発するのは大変です」と笑った。

 ものづくりが好きな人たちが、制約なく自分の好きなものを作り、持ち寄ったMaker Faire Tokyo 2020。緩くカオスな雰囲気に包まれたリアルのイベントを楽しんだ1日となった。

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