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温室効果ガス発生源、3分の1は「食」に関係 EU研究

農場で飼育されている乳牛。仏ルーアンで(2019年10月15日撮影)。(c) LOU BENOIST : AFP

農場で飼育されている乳牛。仏ルーアンで(2019年10月15日撮影)。(c) LOU BENOIST : AFP

【AFP=時事】世界中で人為的に排出される温室効果ガスの3分の1は、「食」に関係しているとの論文が発表された。欧州連合(EU)の共同研究センター(Joint Research Centre)が主導したこの調査では、食料生産者から消費者、廃棄に至るまでの食料の流れを追跡している。

 土地開墾や森林伐採、肥料の使用、家畜、さらに食品廃棄物。このいずれもが要因となり、地球上の77億人の需要を満たすための食料システムから温室効果ガスが発生している。

 これまでにも数多くの報告で、食料の気候フットプリント(原材料調達から廃棄・リサイクルまでに出る温室効果ガス排出量を二酸化炭素<CO2>に換算した「カーボンフットプリント」に類する表現で、CO2以外の温室効果ガスも含む)を数値化する試みが行われてきた。3月8日付の英科学誌「ネイチャー(Nature)」の食科学関連誌「ネイチャー・フード(Nature Food)に掲載されたこの論文は、全ての国と部門を包括し、食料の生産から梱包(こんぽう)、流通、食品廃棄物の処理までの過程を網羅した初めての試みだと執筆者らは述べている。

「食料システムには改革が必要だ」と、論文を発表した研究者らはAFPに語り、自分たちのデータベースが、温室効果ガス排出量の低減対策がどの段階で最も効果を上げるかを見極める一助になればと期待を寄せている。

 研究チームが今回の論文で利用したのが、1990年から2015年までの食料システムからの温室効果ガス排出量を推定して構築した世界的なデータベースだ。

 論文によれば、排出量の増加は人口の伸びより遅れて起こるため、同期間に「人口増加と食料関連の温室効果ガス排出量との関係に乖離(かいり)」が生じていた。しかし、世界各地で幅広い差異が見られ、複数の国や地域では、内需と輸出両方にけん引されて排出量が大きく上昇していた。

「私たちの得た結果は、食料システムからの温室効果ガス排出量がかなりの割合を占めるという従来の所見を裏付けている」と研究チームは指摘している。

 推定値は25~42%で、これは国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が示した21~37%を上回る。これは、世界の食料システムをより幅広い視野から捉えているのが一因だ。

 論文は、全体として、2015年の温室効果ガス排出量のうち、食料システムによるものが34%を占めていると結論付けている。

■食料システムは、さらにエネルギー大量消費型に

 食料システムからの温室効果ガス排出量のおよそ半分はCO2だ。主に土地利用や、梱包、輸送、加工段階で排出される。土地利用に関して主な原因は、森林伐採による炭素放出や有機質土壌の分解だ。

 排出量の3分の1を占めるのがメタン。牛、羊、ヤギなどの家畜が放出し、コメの生産や生物系廃棄物の処理からの発生もある。100年単位でみると、メタンの温室効果はCO2の28倍だとされている。

 残りは主に肥料から発生する窒素酸化物だが、今回発表された論文によれば、冷凍装置でよく使われるフッ素化ガスも少量ながら増加している。

 食料システム由来の温室効果ガスの2015年における6大排出国・地域は、中国(世界合計の13.5%)、インドネシア(8.8%)、米国(8.2%)、ブラジル(7.4%)、EU諸国(6.7%)、インド(6.3%)となっている。

 世界の食料システムは、エネルギー大量消費型に移行しつつあり、その温室効果ガス排出量の3分の1近くはエネルギー消費から来ていると研究者チームは指摘している。

 流通段階での排出量も上昇しているが、論文によると、食料の輸送によって排出される温室効果ガスは梱包によるものほどではない。2015年の食料システム全体で見ると、食料輸送によるガス排出量が全体の4.8%だったのに対し、梱包は5.4%だった。

 研究チームは、サプライチェーンの効率性を高め、排出量を削減し、かつ、消費者がより健康的な食生活を送れるような施策を呼び掛けている。

 昨年11月の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された研究論文は、次のような予測をしている。食料システムからの温室効果ガス排出について何も対策を取らずに放置しておけば、それだけで、気温の上昇幅を1.5度に抑えるという気候危機防止の上限を2050年までに超えてしまうと。

 国連の最近の発表によると、世界で2019年に消費者向けに提供された食品のうち、家庭や小売り業界、飲食・宿泊業界などで廃棄された量は17%(ほぼ10億トン)に上った。

 今年開催予定の第1回国連食料システムサミット(World Food Systems Summit)では、こうした問題が取り上げられる見込みだ。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件