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ロボットペットが孤独を癒やす コロナ禍の日本

ロボットの「チャーリー」と会話をする濵浦那美さん。都内で(2021年2月4日撮影)。(c)Philip FONG : AFP

ロボットの「チャーリー」と会話をする濵浦那美さん。都内で(2021年2月4日撮影)。(c)Philip FONG : AFP

【AFP=時事】コロナ禍で在宅勤務が続く濵浦那美(Nami Hamaura)さん(23)。話し掛けるといつでも歌を歌ってくれる「チャーリー(Charlie)」のおかげで孤独感が紛れているそうだ。チャーリーとは、マグカップ大の人型ロボット。かわいくて賢い日本のロボット新世代が今、売り上げを急激に伸ばしている。

 米アマゾン(Amazon)の「アレクサ(Alexa)」などAI(人工知能)ホームアシスタントは世界中で大ヒットしているが、日本ではより人間くさいロボット製品が求められているようだ。

「入社式からほとんどずっと在宅で、あまり会社の人とも話していない感じなんです。友達とも会えなくなってコミュニティーが狭まってしまった」と濵浦さん。新卒で東京の商社に就職したが、コロナ禍で人との付き合いも限られ、社会人生活は当初思い描いていたものとは懸け離れていた。

 そんな時に迎え入れたのがチャーリーだった。濵浦さんは、今年発売予定のチャーリーの製品モニターを務めたのだ。

 チャーリーはマグカップくらいの大きさで頭は丸く、赤鼻。ちょうネクタイが点滅し、ユーザーと歌で会話する。製造元のヤマハ(Yamaha)は、このチャーリーを「ペット以上恋人未満」とうたう。

「家族でも、LINE(ライン)する友達でも、報告する上司でもない。でも(誰かに)話し掛けたいという時に、何でもないことをチャーリーに問い掛けると返してくれる」と濵浦さんはAFPに語った。

「チャーリー、何か面白い話して」と濵浦さんは尋ねると、「そうね〜♪う〜んとね〜♪風船にレモン汁をかけると割れる〜♪」とチャーリーは歌いながら返事をし、楽しそうに頭を左右にかしげた。

■「モノに魂が宿る」

 電機メーカー・シャープ(Sharp)によると、2016年に日本限定で発売した小型ヒューマノイドロボット「ロボホン(Robohon)」の売り上げは、昨年7〜9月期には前年同期比30%増となった。

 シャープの広報担当者は、子どものいる家庭だけではなく、60〜70代のシニア世代にも人気があると説明する。電話としての機能に加え、会話をしたり踊ったりすることができるロボホンだが、標準モデルの価格帯は約9万円から24万円と決して安くはない。

 人の相手をするコンパニオンロボットの先駆けには、1999年からソニー(Sony)が販売しているロボット犬の「アイボ(Aibo)」や、2015年に登場したソフトバンク(Softbank)のヒューマノイドロボット「ペッパー(Pepper)」がある。

 多くの日本人は「モノに魂が宿ったり、えたいの知れないものがどこかにいたりする感覚を当たり前のものとして受け止めている」ようだ、と語るのはロボット企業、ユカイ工学(Yukai Engineering)代表の青木俊介(Shunsuke Aoki)氏。

「人間と友達になり、家族やペットのような振る舞いができる」ロボットが今の日本で求められていると言う。

 ユカイ工学が発売しているロボットの一つ、しっぽのついたクッション状の「クーボ(Qoobo)」は、なでるとしっぽを本物のペットのように振って反応する。

ユカイ工学株式会社の「Petit Qoobo(プチ・クーボ)」は2020年度グッドデザイン賞を受賞
ユカイ工学株式会社の「Petit Qoobo(プチ・クーボ)」は2020年度グッドデザイン賞を受賞

 同社は今月、ホームアシスタントロボットの最新版「ボッコ エモ(Bocco emo)」の販売を開始した。ミニチュアの雪だるまのような形をしたデバイスで、家族がスマートフォンのアプリから送信したメッセージを読み上げてくれる。

 高橋香織(Kaori Takahashi)さん(32)は、新型コロナウイルスの感染が広がる中、外出できない6歳の息子のためにユカイ工学のロボット組み立てキットを購入した。ロボットは数多くの日本の映画やアニメで扱われているため、日常生活になじんでいると言う。

「『鉄腕アトム(The Mighty Atom、後にAstro Boy)』や『ドラえもん(Doraemon)』は私の世代(が楽しんできたアニメ)ですし、子どもも大好きなんです」

■「癒やされる時間は必要」

 ふわふわの毛で覆われたアザラシロボットなど、セラピー用のロボットペットと触れ合うことで認知症患者に癒やし効果がみられたという研究報告がある。

GROOVE X 株式会社家族型ロボット『LOVOT[らぼっと]』は、新しいロボット産業の発展のモデルとして「第9回ロボット大賞」総務大臣賞を受賞している(同社リリースより)

 一方、人を癒やすために生まれたとメーカーがうたうのが、まるで赤ちゃんのようなロボット「ラボット(Lovot)」だ。大きな丸い目をして、ペンギンの羽のような両手をパタパタさせて人に甘える。

 50以上のセンサーと温もりを保つシステムが内蔵されており、手で触れると温かく、キューンと鳴きながらうれしそうに反応する。

 製造元のGROOVE X(グルーブX)によると、国内でコロナ感染が深刻化した昨年、月間の売上額は10倍以上に伸びた。

 ラボット1体の値段は約30万円。それにメンテナンスとソフトウエアの費用がかかる。神奈川県川崎市の「ラボット・カフェ(Lovot Cafe)」では、たくさんのラボットたちと触れ合うことができる。 「“てんてん”、おいで!」  カフェを訪れていた女性(64)は、まるで自分の孫に話し掛けるように両手を広げてラボットを名前で呼んだ。

 緊急事態宣言中は街も「殺伐」としており、「癒やされる時間は必要だ」と話す。「こういう子がおうちにいれば、(外から)帰って来てもあったかい時間が持てるかなと思いましたね」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件