Open Innovation Platform
FOLLOW US

ビットコインの電力消費量はグーグルの10倍 環境への影響は?

カナダ・ケベック州サンティアサントにあるビットコインのマイニング(採掘)企業、ビットファームズの施設で設備を点検する作業員ら(2018年3月19日撮影)。(c)Lars Hagberg / AFP

カナダ・ケベック州サンティアサントにあるビットコインのマイニング(採掘)企業、ビットファームズの施設で設備を点検する作業員ら(2018年3月19日撮影)。(c)Lars Hagberg / AFP

【AFP=時事】暗号資産ビットコイン(Bitcoin)市場の時価総額が1兆ドル(約110兆円)を超え、価格が1年で10倍に上昇する中、このオンライン通貨を持続させるためには膨大な電力が必要とされることに関心が移ってきている。

 ビットコインに関するいくつかのQ&Aをまとめた。

■消費するエネルギー量は?

 英ケンブリッジ大学(Cambridge University)の研究者らがまとめたビットコイン電力消費指数(Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index、CBECI)によれば、ビットコインの「採掘(マイニング)」という取引の過程で消費される総エネルギー量は今年、128テラワット時に達する可能性がある。

 これは世界の電力生産量の0.6%を占め、ノルウェー一国の全電力消費量を超える。

 この数字について、国際エネルギー機関(IEA)のアナリスト、ジョージ・カミヤ(George Kamiya)氏は、中規模の国や電気自動車(2019年で80テラワット時)など新興技術の電力消費量と比較すると多いと思えるかもしれないが、エアコンやファンなどの電力消費量に比較すると少ないと主張する。

 米IT大手グーグル(Google)が2019年に運営全体で消費したエネルギー量は、12.2テラワット時。ビットコイン採掘以外の用途で使用されている世界中のデータセンターは、合計で年間200テラワット時の電力を消費している。

 ビットコインのエネルギー消費に関する初めての指数の一つを2016年に考案したエコノミスト、アレックス・デブリース(Alex de Vries)氏の予測は、さらに悲観的だ。

 同氏によると、ビットコインは最近の価格上昇に伴って利用が増大し、エネルギー消費量は、ビットコインの採掘を扱っていない全データセンターの消費合計をいずれ超えるという。

■なぜビットコインはエネルギー大量消費型なのか?

 高い見返りが期待できることから、ビットコイン専門の巨大データセンターが続々と開設されてきた。

 ビットコインで稼いでいるのは、ビットコインのネットワークで「採掘者(マイナー)」と呼ばれる人々だ。作為的に複雑化された計算作業を、とてつもない速さで処理していく。その際に使用される「プルーフ・オブ・ワーク(proof of work、仕事の証明)」と呼ばれるプロトコルは、ビットコインのネットワークを不正がないように保つよう設計されている。多くの人間が「採掘」している時は計算を難しくし、少ない時は容易にして、同通貨の供給を安定させる。

 このシステムは、約10分ごとに暗号解読の成功者にビットコインが新規発行されるよう設計されている。

 ビットコインは、非中央管理的なデジタル通貨を求める匿名の人物あるいはグループによって2008年に創出され、今では代表的な暗号資産だが、その基本原則の一つがプルーフ・オブ・ワークというわけだ。

「より効率的な新しい機械があれば、機械を多用して」自分の採掘のシェアを増やそうとするはずだと、CBECIを創出したチームのリーダー、ミシェル・ラウクス(Michel Rauchs)氏は述べた。

 ビットコインの価格が5万5000ドル(約600万円)を上回る現在、採掘者はフル稼働中だ。投資家の需要が過熱し、3月13日には初めて6万ドル(約660万円)を突破した。

■1ドル分の価値につき推定49セント分の健康・環境被害

 ビットコインを支持する人々は、発電に関しては再生可能エネルギーの開発が急速に進んでいることから、同通貨の環境への影響は穏やかだと主張する。

 しかし、ビットコイン価格が急騰する前の2019年に米ニューメキシコ大学(University of New Mexico)の研究者らが行った見積もりによれば、米国ではビットコインが創出した価値1ドル(約110円)につき、49セント(約54円)分の健康・環境被害がもたらされたという。

 ビットコインを批判する人々からは、利用がイランなどの国に集中していることを指摘する声もある。国際社会からの制裁措置で原油の輸出が止められる一方で、安価で豊富な電力の恩恵を受けることのできるイランでは、米政府の目を逃れるビットコイン採掘者が急増している。

 ラウクス氏によれば、「採掘活動の元をたどると、約5〜10%がイランに行き着く」。

 一方で同氏は、ビットコインの採掘の大部分は中国で行われているとの見方を示した。中国の採掘者は、一年のある時期になると、同国南部の膨大な水力発電エネルギーを利用しているという。乾期には褐炭による火力発電が行われている北部へ移るが、褐炭は環境汚染度が高い。

■ビットコインのシステム改革は可能?

 ビットコイン人気が上昇している中、批判も高まっている。

 暗号資産として2番目に利用者が多いイーサリアム(Ethereum)は、プルーフ・オブ・ワークのプロトコルからエネルギー大量消費への依存が低いシステムへの移行を検討している。

 しかしビットコインの場合は、こうした変化を受け入れるのは非常に難しい。ネットワークの非中央管理性や安全性が低下するリスクがあるからだ。

 プルーフ・オブ・ワークはビットコインの「価値体系や文化に深く根付いているため」、このプロトコルを放棄するのは「冒瀆(ぼうとく)に等しい」とラウクス氏は指摘する。

 同氏によれば、ビットコインのコミュニティーでこれまでに何度も改革が試みられてきたが、大改革には至っていない。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件