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韓国の世界ドローンレース覇者、18歳で「今年が最後かも」

ドローンレースに出場する準備をするカン・チャンヒョン選手。韓国・河東郡で(左、2021年2月28日撮影)。(c)Jung Yeon-je : AFP

ドローンレースに出場する準備をするカン・チャンヒョン選手。韓国・河東郡で(左、2021年2月28日撮影)。(c)Jung Yeon-je : AFP

【AFP=時事】地球上で最速かつ最もハイテクなスポーツの一つは、ドローン(小型無人機)のレース。その頂点に立つのが韓国のカン・チャンヒョン(Kang Chang-hyeon)選手だ。だが、わずか18歳にしてすでに引き際を考えている。

「この才能は10代前半か10代半ばでピークが来る」と2019年世界チャンピオンのカン選手は語る。反射神経も年々衰え、小学生を含む年下のライバルを相手に「成人してから競うのはとても難しい」と言う。

「今年が最後かもしれない」

 新型コロナウイルスの世界的大流行で、国際航空連盟(FAI)は2020年のドローンレース世界選手権を中止した。おそらくカン選手のピークの年であり、タイトル防衛の絶好のタイミングだった。「去年なら最高の戦いができたのに」

 カン選手と3人のチームメートは、韓国の首都ソウルの南にある華城(Hwaseong)市で訓練する。

 スタートの合図とともに、ドローンを障害物コースで思う存分飛ばす。せわしなく小刻みな指の動きでリモコンを操作、その間、VR(仮想現実)ゴーグルを通してドローン視点の映像を見る。

 およそ1分、3周でレースは終わる。その後、パイロットやコーチ、メカニック、さらに親たちがテントに集まり、飛行データを分析する。

 自動車のF1同様、ドローンの飛行も精密工学とパイロットの技量によるところが大きい。競技者やチームが作る特別仕様のドローンは最高時速170キロに達するが、レースは接近戦となり、タイムは1000分の1秒単位で計測される。

 まさに若いパイロットの世界だ。カン選手によると、素早い反射神経、高い識別能力、そして長時間の訓練が成功の秘訣(ひけつ)だ。

 12歳の少女チョン・リョウォン(Jeong Ryeo-won)選手がすでに背後に迫っている。「私のお手本となる人です。世界選手権で対戦して勝ちたい」と地方の大会後に語った。

 おもちゃのドローンを初めて飛ばしてからわずか3年後の2019年、カン選手は16歳にして中国で世界タイトルを取った。その大会では韓国勢が上位を占めた。 「とっさの判断が決め手になる」と語るカン選手。「誰が先行していようとも、ミスを抑え冷静さを保つのが重要だ」

 韓国中西部の洪城(Hongseong)郡にあるカン選手が通う高校は、多くの生徒を集めようと、操縦技術を教えるクラスを設けている。

■軍の任務に貢献

 KポップグループBTS(防弾少年団)からトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)所属のストライカー、孫興民(Heung-Min Son、ソン・フンミン)選手まで、韓国の世界的スターに徴兵制度は重くのしかかる。

 厳密にはいまだに北朝鮮と戦争状態にある韓国では健康な全男性に対し、30歳を迎える前に約18か月の兵役が義務付けられている。ただし、五輪のメダリストやアジア競技大会の王者、および国際的なクラシック音楽コンテストの優勝者だけは兵役を免れている。

 カン選手の技量は韓国軍にとって「多大な価値」があると、コーチのキム・ジェホン(Kim Jae-hong)氏は主張する。

 韓国の兵力は北朝鮮のおよそ半分の約56万人だが、国防省によると、テクノロジー面で優位を保ち、訓練や戦闘実験の目的でおよそ800のドローンを所有している。

「ドローン部隊の監視活動は、基本的にはカメラからの生映像に基づく。これはドローンレースと同じだ」とキムコーチは話す。「カンや他のレーサーはドローンの操縦技能を維持しながら任務に貢献できる」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件