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ファッション業界に技術革新の波 藻類のコートに見る「緑の未来」

藻類由来のレインコートを見せるデザイナーのシャーロット・マッカーディ氏。米ニューヨークで(2021年5月18日提供)。(c)AFP PHOTO:CHARLOTTE MCCURDY

藻類由来のレインコートを見せるデザイナーのシャーロット・マッカーディ氏。米ニューヨークで(2021年5月18日提供)。(c)AFP PHOTO:CHARLOTTE MCCURDY

【AFP=時事】藻類から作られたドレスやバクテリア由来の染料、追跡可能な顔料の繊維への埋め込みなど、技術革新の波が訪れているファッション業界は今、環境への負荷をめぐるこれまでの悪評を払拭(ふっしょく)する絶好の機会を迎えている。

 ファッション業界の改革は急務だ。英エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation)によると、同業界が消費する水は年間約930億立方メートルに上り、海洋に流出される合成繊維片(マイクロファイバー)は約50万トン。また、炭素排出量では世界の約10%を占めるという。

 変化を求める声が高まる中、独創的なアイデアが登場している。米ニューヨークのデザイナー、シャーロット・マッカーディ(Charlotte McCurdy)氏が手掛けた、藻類由来のレインコートもそのひとつだ。

 藻類から作られた光沢のあるプラスチックは、印象的な(そしてカーボンフリーの)衣服に用いられる。

 自らの仕事についてマッカーディ氏は、衣服の脱炭素化が可能であることを示す方法で、「これでもうけようとは思っていません。人々の心に種をまきたかっただけです」と語っている。

■協力者はバクテリア

 オランダでは、デザイナーのラウラ・ルヒトマン(Laura Luchtman)氏とイルファ・シーベンハー(Ilfa Siebenhaar)氏が、衣料の染色工程における有害な化学物質および水の大量消費の削減に取り組んでいる。

 2人は、化学染色の代替手段を模索するプロジェクト「リビングカラー(Living Colour)」を立ち上げ、そこで意外な協力者を見つけた──バクテリアだ。

 一部の微生物には増殖しながら色素を放出するという特性がある。これを利用することで、衣服に鮮やかな色や柄を施すことができるのだ。

 マッカーディ氏と同様に、2人も大量生産には興味がない。

 以前はファストファッション業界で働いていたというルヒトマン氏は、「労働力の搾取や環境問題など、業界の負の側面を目の当たりにした」とし、事業を小規模にとどめたいとの考えを示している。

 だが、専門家の中には、このような取り組みが本格的な改革につながることに懐疑的な見方を示す人もいる。

 英リーズ大学デザイン学科(University of Leeds School of Design)で持続可能性について教えるマーク・サムナー(Mark Sumner)氏は、「いくつかの取り組みはこの業界で需要を見いだせるかもしれないが、新たなアプローチが越えなければならないハードルは高い」と指摘する。

 サムナー氏は、既存のシステムを置き換えることよりも、改善することで最大の効果が期待できると考えている。「責任のあるブランドや小売業者らにとって持続可能性とは、もう一過性のブームではなく、ビジネスに必要不可欠なエレメントと考えられています」

■透明性の確保・素材の追跡

 透明性の確保を優先課題と見る向きは強い。

 ファッション産業のあり方を問い直す国際活動団体「ファッション・レボルーション(Fashion Revolution)」のデルフィーヌ・ウィリオット(Delphine Williot)氏は、サプライチェーンがあまりにも複雑化していることから、「多くの企業は自社の衣料がどこで作られているのか、生地がどこで生産されているのか、原材料の供給者が誰なのかを知りません」と指摘する。

 こうした状況を改善すべく、新しいアイデアを提示したのは衣料のトレーサビリティー(追跡可能性)を手掛ける「ファイバートレース(Fibretrace)」だ。同社は、ファッション小売業の業界誌「ドレーパーズ(Drapers)」で、今年のサステナビリティ賞に選ばれた。

 ファイバートレースの技術では、除去不可能な生物発光性の顔料を糸に付着させる。この糸が使われた衣料では、バーコードのスキャンと同じ要領で原産地などを知ることができるのだ

 ファイバートレースのアンドルー・オラー(Andrew Olah)氏は、「衣服がどこで作られたかが分からなければ、環境への影響を知ることはできません」と語る。

 また、「サプライチェーンを公開しないのは、何かを隠しているか、愚かであるかのどちらかです」としながら、「やらなければならないことは多いですが(中略)私はとても楽観しています」と続けた。【翻訳編集】|使用条件