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火星ヘリ「インジェニュイティ」 6か月間で予想以上の成果

予想以上の成果を挙げ、米航空宇宙局(NASA)が無期限に延長した火星ヘリ「インジェニュイティ」のミッションの概要(2021年9月5日作成)。(c)SOPHIE RAMIS, GAL ROMA : AFP

予想以上の成果を挙げ、米航空宇宙局(NASA)が無期限に延長した火星ヘリ「インジェニュイティ」のミッションの概要(2021年9月5日作成)。(c)SOPHIE RAMIS, GAL ROMA : AFP

【AFP=時事】米航空宇宙局(NASA)の火星ヘリコプター「インジェニュイティ(Ingenuity)」の当初の飛行予定は5回で終わりだった。しかし、結局12回の飛行に成功し、予想以上の成果を挙げたことから、NASAはインジェニュイティのミッションを無期限に延長した。

 この超軽量小型ヘリを火星に運んだ無人探査車「パーシビアランス(Perseverance)」は、火星の古代生命の痕跡を探すことが主な任務だ。NASAは6日、パーシビアランスによる岩石サンプル採取の成功を確認したと発表した。

「すべてが非常に順調に進んでいる」と、インジェニュイティの機械工学チームを率いるジョシュ・ラビッチ(Josh Ravich)氏は話す。「火星表面での成果は予想以上だ」

 プロジェクトには大勢の人が関与したが、現在は十数人だけが日常業務を続けている。ラビッチ氏は5年前にチームに加わった。「自分がこのヘリコプタープロジェクトに参加する機会を得た時に考えたことは、みんなと同じだったと思う。そんなことが果たして可能なのだろうか……」とラビッチ氏は振り返る。

 ラビッチ氏がそう思ったのも無理はない。火星の大気密度は地球の約100分の1しかないからだ。例えるなら、火星でヘリコプターを飛ばすのは、地球の上空30キロ近くの薄い大気中でヘリを飛ばすようなものだろう。しかも、インジェニュイティの飛行は数々のセンサーで誘導される。地球からの通信に15分の遅延が発生するため、リアルタイムに誘導することができない。

 4月19日、インジェニュイティは初飛行に成功し、地球以外の惑星で飛行した初の動力飛行機として歴史的な偉業を成し遂げた。 

 あらゆる予想を覆し、飛行回数は12回となった。これまでの最高飛行高度は約12メートルに達し、12回目の飛行では航続時間が2分49秒に及んだ。総飛行距離は約2.6キロとなっている。

■間もなく訪れる火星の冬が試練に

 現在は、搭載する高解像度カラーカメラを用いてパーシビアランスの進路を偵察するために出動している。 目的は二つ。パーシビアランスに安全な経路を示し、さらに、特に地質学的な観点から科学的に興味深い探査先を提示することにある。

 インジェニュイティが火星に到着して6か月以上が経過した。これほど長く活動を続けられている理由は何だろうか。火星の気温や風、日光、大気中のちりを含め、「これまでのところ、非常に申し分ない環境だ」とラビッチ氏は説明した。「今でもまだ非常に寒冷だが、これくらいで済んでよかった」

 理論上、インジェニュイティはしばらくの間、活動を続けることが可能なはずだ。だが、間もなく訪れる火星の冬が試練となるだろう。NASAの技術者らはインジェニュイティの飛行で得られたデータを基に、次世代の後継機の開発にすでに取り組んでいる。「おそらく、総重量20キロから30キロ程度までの科学的ペイロード(積載物)を運搬できる」とラビッチ氏は話す。

 将来のペイロードには、パーシビアランスが収集した岩石サンプルも含まれるかもしれない。 NASAは、2030年代に実施される今後のミッションで、このサンプルを回収する計画を進めている。【翻訳編集】 AFPBB News