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帰らない日は返金も ホテル暮らしも手軽にできる 新しい住まいスタイル 

unitoで提供される部屋の例(提供ユニット)

unitoで提供される部屋の例(提供ユニット)

 コロナ禍で苦しんだ業界は多いが、特に厳しい状況に陥ったのがホテル業界だ。あれほど期待されていたインバウンドが突然途絶え、出張、国内観光も消えたことで、稼働率は大幅に低下した。コロナ以前から、インバウンドやオリンピックへの期待から、ホテルの供給過剰がささやかれていた。そこに予期せぬパンデミックに見舞われてしまった。窮地に陥ったホテル業界では、生き残りに向けて、これまでにはない新しい取り組みを始めている。

 長期滞在者を見込んだプランもそのひとつ。格式を誇る帝国ホテルもサービスアパートメント提供に踏み切った。オフィスに出勤しない勤務形態が広がると、高級ホテルだけでなく、ビジネスホテルやリゾートホテルも“働くために滞在する”ユーザー向けのプランを提供するところが増えた。

 ここ数年、宿泊需要には変化の兆しがあった。「二拠点居住」や「アドレスホッパー」など、移動しながら生活を送る人が現れたため、その需要に応える形式の宿泊サービスが求められるようになった。これまでは短期ならホテルなどの宿泊施設、長期ならウィークリーマンションなどと、その選択肢は限られていた。コロナ禍で、前述のように長期滞在プランを作るホテルも増え、通常料金と比較するとお得な価格設定にはなっているものの、賃貸物件の代わりに利用するには高すぎる。

 こうした暮らし方や、宿泊ニーズの変化を捉え、「必要な時に必要な日数だけ暮らせる家を提供するプラットフォーム」を標榜するunito(ユニット)が注目されている。どういったサービスなのか。unitoを運営する株式会社ユニット(東京都千代田区)代表取締役の近藤佑太朗氏に話を聞いた。

賃貸のイノベーションとして

ユニット代表取締役近藤佑太朗氏

「unitoは、賃貸のイノベーションです」と近藤氏は語った。unitoのプラットフォームに掲載された物件(ホテルなど)では、「部屋に帰らない日」は、その分の料金が返金される。

 同社のホームページに掲載された例によると、東京都内豊洲の物件では1ヶ月毎日滞在で¥120,000の物件の場合、「20日滞在¥90,000」「15日滞在¥75,000」となっている。

 unitoのシステムでは、留守にする場合はホテルに申請するだけ、1日単位で料金も減額されるので、入居者には都合のいい仕組みとなっている。

 このシステムはホテル側にも都合がいい。連泊利用となるため、フロントや清掃の負担も軽くなる。さらに入居者が帰らない日は空き部屋になるが、これを通常通り、ホテルの空室として販売できる。

 この先もホテル業界の厳しさは続くだろうと近藤氏は見ている。インバウンドが再開しても以前のレベルに戻るには時間が必要で、ビジネス客の出張需要も以前の水準に戻ることは難しい。そうなっても、ホテルとして建設した建物は、容易にマンションやオフィスなどに転用することができない。ホテル業界にとって、ユニットが生み出したこのシステムはひとつの解であり、ホテルやデベロッパーからの問い合わせが相次いでいると近藤氏は話した。

家賃を固定費から変動費にしたい

 「宿泊施設を自分の部屋のように使う」この事業アイデアは、近藤氏自らの体験から生まれている。もともとの発想は「自分の部屋を宿泊施設をとして」貸し出すことだった。

 近藤氏は当時、月額9万円のアパートに暮らしていたのだが、海外出張が多く、月の半分もそこに住んでいなかった。部屋を利用しない日があっても家賃は安くならない。この固定費をなんとか変動費に変えられないかと考えた。

「賃貸の支出って大きいじゃないですか。給与の3分の1を占めます。これって不合理だなと考えたのが原点です」(近藤氏)

 個人が賃貸した物件を、勝手に他人に貸すわけには行かないので、同社ではまず直営物件などでこの仕組を実現した。汐留、東神田などにある物件には大小さまざまなスタイルの部屋があり、1ヶ月単位で自分の住居として気軽に契約ができる。そこに帰らない日は、賃料が減額されるのは先に紹介したホテルの場合と同じ。空いた日にはそのスペースは他人に貸し出されることになる。この仕組みを「リレント」と呼んでいる。

新しい暮らしを始めたい人の「都心の拠点」

 ところで、どんな人たちが利用しているのだろうか。ひとつはミレニアム世代の独身の人たち。はじめての一人暮らしの場として利用している。実家との二拠点居住が多く、これが約4割とのことだ。

 その他に多いのは、30~50代のファミリー層のお父さんたちで、単身赴任マーケットに近いという。首都圏でのプロジェクトに従事するためなどで、数ヶ月の単身生活をするといった人たちだ。これが約4割。あとは二拠点居住など新しい暮らしをしたい人たちが「都心の拠点」として選ぶ場合。これが残り2割ということだ。

 こうした利用者層から見ると、直接の競合はマンスリーマンションになる。しかしホテルが滞在先になるunitoでは、その居住性や設備、アメニティ充実などで優位性は高い。また冒頭に述べた「使わない日は家賃が下がる」というシステムはユニークだ。契約期間中は、部屋を使わない日も、決まった収納スペースに荷物を置いておける、郵便が届くなどunitoの優位性は高いだろうと近藤氏は述べた。

 現在ユニットは、既存のホテルとのプラットフォーム事業(unito)と直営施設での事業を展開している。

 近藤氏によると、「直営事業は売上が稼げる手堅い部分」。一方、「プラットフォーム事業は空中戦。伸びるか伸びないか。これを両方やっていくことに意味があるとぼくは思っています」

 ベンチャーキャピタル(VC)などの投資家からは「どっちかに絞ったら」とアドバイスされることが多いが、「OMO(Online Merges with Offline、オンラインとオフラインが融合した世界)という考え方が好きなので」と近藤氏。ただし、それがとても難しいことだとも分かっていると話した。バランスを取ってやっていきたいということだ。

まず営業とシステムの充実、そして認知度アップを

 そんなユニットは、これからどうしていくのか? 「足元のキャッシュはけっこうあります。うちは初年度2.5億円ぐらいの流通総額なんですけど、今期4.6億円をめざしています。これを次期には年間8億ぐらいまで成長させたい。それが見えたタイミング、来年6~9月ぐらいに次ラウンドの資金調達をやっていきたい。5億ぐらい調達できれば」と資金面について近藤氏は話した。

 課題は、施設がまだ少ないこととシステムが構築中のところだとした上で、「営業とシステム開発に今回調達した資金をあてたい」と話した。そして、次ラウンドで資金調達が成功すれば、広告などに投下して認知度を上げたいと抱負を述べた。

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