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遺伝子操作はサンゴを気候変動から救えるか 米マイアミ大学で研究

顕微鏡にセットされたサンゴ。米マイアミ大学ローゼンスティール海洋大気科学学校で(2021年10月27日撮影)。(c)CHANDAN KHANNA : AFP

顕微鏡にセットされたサンゴ。米マイアミ大学ローゼンスティール海洋大気科学学校で(2021年10月27日撮影)。(c)CHANDAN KHANNA : AFP

【AFP=時事】米フロリダ州の研究所で金色に輝く小さなサンゴ。ここでは気候変動からサンゴを守るための緊急手段が試されている。

 科学者らは、気候の影響を受けにくい種から取り出した幹細胞を、影響を受けやすい種に移植することで、海水の温度上昇や酸性化からサンゴを救えるかどうかを見極めようとしている。つまり地球温暖化問題は、ある生命体を存続させるためにその遺伝子に手を加えようとする段階にまで達したのだ。

 米マイアミ大学(University of Miami)の研究チームを率いるニッキー・トレイラー・ノウルズ(Nikki Traylor-Knowles)氏は「サンゴ礁は驚異的な速さで死んでいます。気候変動についていけないのです」とAFPに語った。 この研究はサンフランシスコ近郊を拠点に活動する米環境保護NPO「リバイブ・アンド・リストア(Revive and Restore)」の支援を受けている。動植物を絶滅から救う上で、遺伝子操作は有効な手段だというのが同NPOの見解だ。

 共同創始者のライアン・フェラン(Ryan Phelan)氏は「生物種が進化によって適応するのを手助けしているような時間的猶予はありません」と訴える。「私たちが介入せざるを得ません。さもなければ(危機にひんした種を)失うことになります」

 とりわけサンゴの救出は緊急を要している。温室効果ガス排出で生じる熱の90%以上を吸収するのは海だからだ。その結果、陸上は熱波から保護されるが、より強大で長期にわたる海洋熱波が生じる。これによって、生物多様性に富み「海の熱帯雨林」とも呼ばれるサンゴの多くの種が耐えられなくなる。

■「私たちが試みるべきこと」

「地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)」が行った過去最大の調査によると、地球温暖化に加えて環境汚染やダイナマイト漁の影響もあり、2009年~2018年にかけて世界のサンゴ礁の14%が消滅した。

 リバイブ・アンド・リストアでは、環境保護におけるバイオテクノロジーツールの開発支援用に800万ドル(約9億円)の基金を準備したが、その半分以上がサンゴ関連プロジェクトに投入された。

 同NPOのコーディネーターを務めるブリジット・バウムガートナー(Bridget Baumgartner)氏は「サンゴ用に開発されたツールは、他のさまざまな海洋生物向けにも汎用(はんよう)化できると私たちは考えています」と説明する。「ツールを簡単に調節して、海藻類やカキ、ヒトデなどの問題にも対処できればと願っています」

 もちろん遺伝子操作に対する懸念はある。米スタンフォード大学(Stanford University)・法とバイオサイエンスセンター(Center for Law and the Biosciences)所長のヘンリー・グリーリー(Henry Greely)氏は、遺伝子操作による奇形のリスクや、変異した動植物が自然界で予期せぬ結果を引き起こす可能性を指摘する。

 それでも生物種を滅亡から救うためには、この技術を使う価値があると同氏は考えている。「私はこのアプローチのファンです。ただし注意深く行うこと、適切な規制や慎重さが必要でしょう」

 米国の生命倫理研究所「ヘイスティングスセンター(Hastings Center)」の研究員、グレゴリー・ケブニック(Gregory Kaebnick)氏も、生物を守るための遺伝子操作を支持している。

 同氏は遺伝子操作によって生物に異常が起きる可能性よりも、持続的で効果的な変化を全く起こせない可能性の方が高いと指摘する。「操作によってサンゴが生き延びる見込みについてはそれほど期待しませんが、これは私たちが試みるべきことではないでしょうか」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件