Open Innovation Platform
FOLLOW US

自宅で、街角でトレーニング 中国で広がるフィットネスブーム

オンラインでトレーニング指導を提供するジム(2020年8月8日撮影、資料写真)。(c)CNS:楊華峰

オンラインでトレーニング指導を提供するジム(2020年8月8日撮影、資料写真)。(c)CNS:楊華峰

【東方新報】中国で若者を中心にフィットネスブームが続いている。オンラインでトレーニングプログラムを提供する企業が次々と増え、街角では24時間型セルフ式スポーツジムも登場している。

 中国で「おうちフィットネス」の火付け役となったのが、フィットネス愛好家の王寧(Wang Ning)氏が2014年に設立した「Keep」だ。筋トレ、ダイエットなど目的に応じて専門家が考えたプログラムをスマホの専用アプリで体験し、友人らと記録を共有しながら互いに鼓舞してトレーニングを継続することもできる。

 元陸上選手で元モデルという経歴を持つ呉岳駿(Wu Yuejun)さんがKeepのアプリで行っているトレーニングには、250万人のフォロワーがいる。抜群のスタイルを誇る呉さんの丁寧な指導が人気だ。有料トレーニングコースは28回で39.9元(約715円)という格安コースなどの6種類があり、それぞれ約1万人が会員となっている。利用者からは「高い金を払ってスポーツジムに行かずに済む」と評判で、呉さんも「自分で経営しているフィットネスクラブの収入とオンラインの収入が同じくらいになった」という。

 Keepのユーザー数は2億人を突破。2020年には企業価値評価額が10億ドル(約1141億円)を超え、創業から6年でユニコーン企業(創業10年以内で評価額10億ドル以上の未上場テクノロジー企業)の仲間入りを果たした。他にも、「野小獣(YESOUL)」などオンラインでフィットネスを提供する企業は増えている。

 中国では急激な経済成長に伴い市民の可処分所得が増え、健康意識も高まっている。勤務先の残業や外食、娯楽も増え、短い時間で健康をキープするためフィットネスクラブが人気となった。ただ、「1万元(約18万円)のフィットネスクラブの会員券を買ったけど、2回しか行ってない」などと長続きしない人も少なくない。また、「スポーツジムに行くと、インストラクターから『別料金でプライベートレッスンはいかが?』と勧誘されてウザい」という声も。各地の消費者相談機関にはフィットネスクラブに関する苦情が増えており、さらに2020年からはコロナ禍が拡大。フィットネスクラブ離れが進み、オンラインによる「おうちフィットネス」が加速化した。

 鏡に向き合うだけで双方向のエクササイズができる2020年発売の「魔鏡」も人気だ。スタートアップ企業の成都擬合未来科技公司(Fiture)が開発し、43インチの4Kスクリーンに表示されるインストラクターの映像を見ながらエクササイズができる。さらに人工知能(AI)カメラと人体認識システムにより、利用者の改善すべき動きを細かく指導する。エアロビクスからヨガ、ストレッチ、年代別コースなど多彩で、ミラーには運動時間や達成度なども表示される。価格は通常タイプが8000元(約14万3517円)と安くはないが、購入者の満足度は高いという。他のIT企業やフィットネス器具メーカーらも参入し、廉価版のスマートミラーが次々と登場している。

 一方で、フィットネスクラブ離れに歯止めをかける役割を担っているのが、24時間営業のセルフ式トレーニングジムだ。専用アプリで会員登録をしておけば、1回ごとの料金で利用が可能。仕事帰りの深夜にジムに立ち寄り、ランニングマシンやバーベルを使って思い思いのトレーニングに励む人が増えている。通常の施設より3分の1程度のコンパクトさで、コンテナに器具だけを入れたタイプもあり、経営側から見てコストパフォーマンスに適している。

「超級猩猩(Supermonkey)」「楽刻運動(Lefit)」「Liking Fit」などのフィットネスチェーンが全国の都市に施設を増やしている。

 中国では少子高齢が急速に進み、今後は社会保障費が増加していく見込み。経済成長にブレーキをかける要因となるため、政府は国民に定期的な運動を奨励しており、フィットネスブームは今後、新たな生活スタイルとして定着していきそうだ。【翻訳編集】 東方新報/AFPBB News|使用条件