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北米市場を狙うEVが勢ぞろい アメリカにもEV化の流れが〜ニューヨーク国際オートショー

3年ぶりに開催されたニューヨーク国際オートショー(写真撮影は全て・新垣謙太郎)

3年ぶりに開催されたニューヨーク国際オートショー(写真撮影は全て・新垣謙太郎)

見本市では各メーカーが電気自動車(EV)をアピールした

 北米有数の自動車展示会ニューヨーク国際オートショーが、4月15日から24日まで開催された。新型コロナウィルスの感染拡大の影響で2020年と21年の開催は見送られ3年ぶりとなる今回は、各社とも電気自動車(EV)を全面に押し出したものとなった。

 「私達は2035年までに、NY州内で販売されるすべての車をゼロ・エミッションにします。我々の州が全米を引っ張っていくのです」

 キャシー・ホークルNY州知事は、展示会に先駆けて行われた記者会見でそう語った。ホークル知事は昨年9月、2035年までにガソリン車(ハイブリッド車も含む乗用車とトラック)の新車販売を同州内で禁止する法案に署名したが、会場内にはNY州のEV化の取り組みを説明するブースも設けられており、意気込みが感じられた。

■存在感を示すアジア勢

初参加のベトナムのビンファストは3タイプのEVを展示

 EVの普及ということで言えば、先行するのは中国だ。EVの量産においても中国メーカーが先行し、それを欧州が追うというのが現状だが、中国の製造業と距離をおく米国から見たEVマーケットには異なる景色がある。

 NY州のブースの横にはEV専用の試乗コースが設置され、多くの人が列をなしていたが、その中でもひときわ注目を集めていたのが、今回初参加となるベトナムの自動車メーカー「ビンファスト(VinFast)」である。

 ベトナム複合企業最大手ビングループの傘化にあるビンファストは、2019年に自動車生産を母国ベトナムで開始したばかりだが、今年1月には年内にガソリン車の生産を中止し、EV生産に特化する方針を表明。北米市場への進出にも強い意欲を見せており、3月には20億ドル(約2600億円)を投じて米南部ノースカロライナ州に電気自動車と電動バス、そしてEV用バッテリーを生産する新工場を、2024年7月の稼働を目指し建設すると発表した。年間15万台を生産予定である。

 4月13日に報道陣向けに行われた発表会では、スポーツ用多目的車(SUV)型のEVである「VF 9」を前にして、エマニュエル・ブレ副CEOが「この米国において、ビンファストのEVを生産できることを大変楽しみにしています」と北米市場参入への意気込みを語っている。

ビンファストはEVの価格を抑えるために、バッテリーのサブスク制を導入した

 ジェフ・ホーランド広報部長に話を聞くと、ビンファストの特徴として、EV販売価格にバッテリー代は含まれておらず、月額料金を支払うサブスク方式を採用しているところにあるという。

 サブスクは定額制の「Fixed Package(定額パッケージ)」と、一定の走行距離を超えると追加料金が加算される「Flexible Package(フレキシブル・パッケージ)」を選ぶことが可能である。車本体の販売価格とバッテリー価格設定を分離することにより、全体の値段を下げることが狙いだ。さらに、バッテリーのメンテナンス代は無料であり、充電性能が70%を下回ると、新品と交換ができるサービスを提供する予定であるという。

 「我が社は東南アジアでは知られていますが、(北米市場では)まだまだ認知度が低いので、お手頃な値段と非常に高い価値を顧客に提供することによって、他社と同等に競争していくことができると確信しています」(ホーランド広報部長)

 会場内ではベトナムのビンファスト以外にも、「2022ワールドカーオブザイヤー」に加え「2022ワールドEVオブザイヤー」も受賞した韓国の現代(ヒョンデ)自動車のSUVのEV「アイオニック5」や、起亜(キア)自動車が今秋アメリカで発売予定SUVの新型「ニロ」のEVモデルなど、韓国勢も注目を集めていた。

 日本のメーカーも日産自動車の「アリア」、トヨタ自動車の「bZ4X」、SUBARU(スバル)の「ソルテラ」を展示し、EVにおけるアジア勢の存在感を印象づけていた。

■テスラが70%のアメリカEV市場

 一方で、米自動車大手メーカーも自社のEVを全面に押し出して、アピールに必死であった。

 米最大手のゼネラル・モーターズ(GM)は、シボレーブランドのピックアップトラックの中で初のEVとなる「シルバラードEV」を披露した。また、フォード・モーターも、全米ベストセラーのピックアップトラックのEV仕様「F150ライトニング」を掲げ、ブースの横には自社のEVに試乗できるコーナーを設けていた。

 EV戦略では遅れをとっているステランティス傘下のクライスラーは、同ブランドのCEOであるクリスティーン・フューエル氏を送り込み、EVの試作車である「エアフロー」を会場で披露。ガソリン車が優勢であった北米市場にもEV化の波が押し寄せてきていることを感じさせた。

会場内にはEV専用の試乗コースが設けられた

 その転機となったのは、環境政策を重視するバイデン大統領が、昨年8月に2030年までに新車販売の50%を、EVなどの二酸化酸素(CO2)を排出しない「ゼロ・エミッション車」とする目標を定めた大統領に署名をしたことだ。それに合わせてGM、フォード、ステランティス3社もEV販売比率を2030年までに40〜50%とする目標を連名で発表した。

 しかし、国際エネルギー機関が今年1月に発表した報告書によると、2021年のアメリカ市場の新車販売台数におけるEVの占める割合は、わずか4.5%となっている。さらに、調査会社エクスペリアンによると、2021年のアメリカEV市場におけるシェアはテスラが69.95%、それに続く日産が8.51%、GMのシボレーが7.15%を占めている。

 2030年までに50%の目標を達成するには、米国内にある自動車メーカーは急ピッチで、EV生産を進めていかなければならないのが現状である。

■「クリーン」に加え「コネクティビティー」も

EVスタートアップ「INDI EV」のボビー・ブシェル氏

 「我が社の考えは、電気自動車が世界中に普及するにつれて、コネクティビティーと(車載)コンピューター機能に対する需要も、同時に高まっていくということです」

 そう語るのは、EVスタートアップINDI EV(インディEV)の営業を担当するボビー・ブシェル氏である。同社は2017年にカリフォルニア州で設立され、今回が初出展となる。「スマート電気自動車」と銘打ったINDI ONE(インディ・ワン)を披露した。

 車内の助手席側のインパネには、モニターが2つ並んで備え付けられている。運転手側にあるモニターはグーグルの車両搭載型システム「アンドロイド・オートモーティブOS」を使用し、ナビや音楽の再生などが可能。助手席前のモニターはウィンドウズを使用し、走行中でも映画をストリーミングで観たり、オンラインゲームで遊んだり、さらにはビデオ編集なども可能で、まるで「動くリビング」のようである。

「INDI ONE」モニターでゲームや映画なども

 ブシェル氏によると、この5人乗りのINDI ONEは業界初、車とコンピューターを統合した機能(VIC=Vehicle Integrated Computer)を持つEVとのことであるが、オープンソースを使用し、ドライバーが好きな音楽や車内温度などを学んでいくAI機能も備えているという。後部座席用のモニターの取り付けも可能で、2023年の発売を予定していると語った。

 5G時代に突入し、電気自動車は環境に優しいだけではなく、まわりの世界とも常につながることができる機能も求められているが、どのような形になって行くにせよ、このEV化の流れは止められないだろう。

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