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【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.30 】web3時代、デジタル資産はどう守る?webacyのCEO五十川舞香さんに伺う

五十川舞香さん(左)と伊藤穰一

五十川舞香さん(左)と伊藤穰一

 仮想通貨やNFTなどのデジタル資産は、登場してからまだ歴史が浅いため、対処が必要な問題が次々と現れてくるはずだ。すでに表面化している問題では、セキュリティーのリスク、詐欺やハッキングなどの問題だ。また、個人の資産としても機能するため、死後、保有しているデジタル資産をどう処分するのかという問題も重要なポイントとなってきた。ブロックチェーンを基盤とするweb3時代に、デジタル資産とどう向き合い、どう守っていくべきなのか?

 今週のポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST  ―変革への道― 」では、アメリカでスタートアップを立ち上げたwebacyの共同創業者でCEOの五十川舞香さんが出演し、デジタル資産を守る方法などについて語った。

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伊藤穰一(以下、伊藤):実は最近、ツイッターで岸田総理がweb3に関する演説をしたことをつぶやいたら、海外にいる僕の元仲間たちが「web3はあんまりにも危険なので、すぐやめろ」みたいな、長老みたいなコメントが結構多くて。で、特にネットワークインフラとか、セキュリティーやってる人たちがweb3について、すごくネガティブな意見を持っていたんです。舞香さんはセキュリティーをずっと専門にしてきましたが、今はweb3をどう見ていますか?

五十川舞香(以下、五十川):そうですね。ネットで挑発的な発言をする人間はいつでもいるものですが、web3は未踏の地ではあるのは確かです。安全性が問題になる可能性は高いですよね。安全性は確保されていない、けれども機会とポテンシャルがものすごく高い場所、というのが今のブロックチェーンなんだと思います。

伊藤:なるほど。これまで、スパムメールが流行した時は、規制を敷いてスパムを食い止めようというムーブメントがありました。もしかすると舞香さんは、まだ生まれてなかったかもしれないんですが、一時期は迷惑メールが受信箱の9割以上を占めていた時期があったんです。しかも、ただの嫌がらせメールではなく、詐欺に関連したものが多くて。ご高齢の方々がそういうメールに引っかかって被害が出たりしていました。だけどスパムフィルターやSPF(Sender Policy Framework)、DCOMなどさまざまなスパム防止のプロトコルやツールを活用することで、スパムは普段の日常的なメールの生活の中であんまり気にならないようになりましたよね。やっぱり仮想通貨などの資産の方が詐欺のインパクトは大きいので、ちょっとスパムとは違う部分もあるとは思いますが、舞香さんからするとこういう技術のツールがキャッチアップすることで、今後リスクは軽減することはできると思いますか?

五十川:web3でもスパムみたいなものは、たくさん登場していますよね。欲しくないのにAirdropされてくるとか、OpenSeaのhiddenフォルダーに1000以上のNFTが入っているのも見たことがあります。こうした問題は、どんどん解決しなければいけない状況になっていますよね。ハッキングに関しては、自分でルールを立てて、そのルールを守っていくことで自分自身を守ることができます。またそれ以上に、企業やインフラが皆さんのためにその安全性を高めていくことが重要だと思います。

 五十川さんが運営するwebacyでは、ウォレットにアクセスできなかくなってしまった事態に備えて、代替ウォレットに資産を移すことができるバックアップウォレットのサービスや、アカウントがハッキングされたことがわかった時点で、ワンクリックで資産を移動できる「キル・スイッチ」など、デジタル資産を守るためのサポートツールを提供するべく準備を進めているという。

伊藤:webacyとしてはweb3のセキュリティにどのように貢献しているんですか。

五十川:webacyは、皆さんのセキュリティシステムの一部のみを提供するかたちですね。弊社では、ブロックチェーンのセキュリティに対してのインフラやツールを立てています。しかしながら、現在仮想通貨の世界では、ユーザーは自分のセキュリティーを管理しなければいけません。webacyのツールだけで全てをカバーすることは結構難しいことだと思います。

伊藤:そういう意味で、いろんなツールがavailableになって、そしてそれを組み合わせていろんなサービスもできてきて、それとリテラシーが上がっていくっていうのが多分、僕はメーンのセキュリティな部分で、それを見ながらレギュレーションで可能なものは規制するのは多少は必要だと思います。アーキテクチャーをちゃんとわかってないレギュレーションができると、せっかくいいセキュリティーのツールの開発ができてきているのに、少しそれネガティブに圧迫すると思いますので、ぜひいろんなレギュレーターと話をしながら、何かエコシステムを作っていってくれるといいなと思います。

 番組では、故人のデジタル資産をどうマネジメントして引き継ぐのか、さらに五十川さん自身が仮想通貨の世界に入ったきっかけや、キャリアについて話す場面もあった。詳しくは番組をお聴きいただきたい。

【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】

 番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。

https://joi.ito.com/jp/archives/2022/05/23/005790.html

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#30 web3時代、デジタル資産はどう守る?webacyのCEO五十川舞香さんに伺う

https://joi.ito.com/links/

五十川さんの会社Webacyについてはこちらでも詳しく語られています(「Earthshot Catalog Stratups」より)
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