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NFTアートをふるさと納税の返礼品などに web3で地方創生の後押しなるか

余市町の返礼品NFTアートの一例(左)山古志のNFTアートサンプル(右)

余市町の返礼品NFTアートの一例(左)山古志のNFTアートサンプル(右)

 「NFTアート」がふるさと納税の返礼品として登場した。採用したのは北海道の余市町で、5月7日よりふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」にて受付を開始している。寄付金額は1枚12万円、NFTアートの制作や技術提供は、「NFTによる地方創生」を推進する株式会社あるやうむ(本社:北海道札幌市)が行っている。

 返礼品として用意されたアート作品は、NFTクリエイターのPoki氏が描いたもの。北海道余市町はニッカウイスキーの余市蒸溜所があることでよく知られているが、気候風土がワイン用のブドウ栽培に適していることから、近年ワインの製造も盛んで、国内でも注目のワイン産地となっている。今回のNFTアート作品は、そのワインがモチーフとなっており、種類(白・赤・スパークリング)や背景、登場人物などが異なる54種類が返礼品として用意された。返礼品はPolygonチェーン上で発行され、受け取りや閲覧は、メタマスクなどPolygonに対応したウォレットなどで可能となっている。

 農海産物や食品などリアルな返礼品とは異なり、受け渡しの方法などは少々複雑で、技術的な側面への理解も必要となるNFTアートの返礼品。他に先駆けて採用するにあたって問題はなかったのだろうか。この企画を推進した余市町の企画政策課によると、町長をはじめとしてNFTには一定の理解があり、「NFTの分野が多大な可能性にかねてから注目していたところに、あるやうむさんから『地方創生+NFT』の提案があった」こと。それに対して「先行した取組であり、その題材が余市町のワインであることで町のPRへとつながる」と判断したことが今回の実施につながったという。

 寄附金額は1枚12万円に設定されているが、この金額は、他の謝礼品と同用「謝礼品の提供事業者が決定した商品金額に合わせて寄付金額を決めている」(余市町企画政策課)とのこと。また、作品には1ヶ月の譲渡制限がかけられており、投機的な購入を抑制する配慮もなされている。

 ふるさと納税にNFTアートをという取り組みは、同じ北海道の上士幌町でも実施されている(返礼品は「クリスマスドローンショー2021 in 上士幌」の映像コンテンツ)。

 また、ふるさと納税ではないが、新潟県長岡市の山古志地域(旧山古志村)では、特産の錦鯉をシンボルにしたNFTアート「Colored Carp」発行。収益を地域づくりの資金源とすると同時に、そこに電子住民票としての役割も付加し、このNFTアートを購入した人たちが、地域の活性化する議論に参加できる仕組みとなっている。このようにNFTを使ったWeb3の取り組みは、自治体にも徐々に広がりつつある。金銭的価値に加えて、人の輪を作り、積極的な参加を促す機能も上手く活用できれば、NFTは地方創生のツールとしてより注目を集めるかもしれない。

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朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。