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​​【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.33 】NFTで過疎地域を救え!山古志NFTプロジェクト

林篤志氏(左上)竹内春華氏(右上)高瀬俊明氏(左下)伊藤穰一(右下)

林篤志氏(左上)竹内春華氏(右上)高瀬俊明氏(左下)伊藤穰一(右下)

 NFTを使って地域を活性化しようという試みが行われている。2004年の新潟県中越地震で甚大な被害を受けた新潟県の旧山古志村(現・長岡市山古志地域)。高齢化が進み、人口が800人にまで減少したこの村が、NFTを使って新たなステージへと進もうとしている。

 今回の「JOI ITO’S PODCAST  ―変革への道― 」では、錦鯉をモチーフにしたNFTアートを発行し、村の活性化に挑戦しているプロジェクトチームのメンバーが出演。伊藤穰一が、メンバーの思いや開発までの経緯などを聞いた。

 今回番組に登場したのは、NFTプロジェクトを進めた山古志住民会議代表の竹内春華氏、プロジェクトアドバイザー林篤志氏、プロジェクトアドバイザー / 技術支援 株式会社TART CEOの高瀬俊明氏の3人だ。

* * *

伊藤穰一(以下、伊藤):実は、私も山古志村のNFTを結構早い時に購入しています。このNFTはどういうものなのか、もう一度説明いただいてもいいですか?

林篤志(以下、林):山古志村は、人口800人の村で高齢化率も深刻化しています。その村が人口が減っていく中、リアルな世界だけでなく、デジタルな空間に広がっていくにはどうしたらいいかと考えた時に、NFTというテクノロジーに出会いました。そこで、デジタル住民票という概念を作って、それをデジタルと組み合わせながらNFTとして発行して。今世界中の人たちにデジタル村民としてジョインしていただいてる、そういう取り組みをちょうど始めたばかりです。

伊藤:プロジェクトは、どのようなきっかけでスタートしたんですか?

竹内春華:ちょうど3年前ぐらいから、山古志住民会議の中で住民の皆さんと企画書を作り始めました。そして、広告代理店やシステム系の会社、制作会社などを回ったんです。ゲーム会社に、山古志を擬似体験できる空間が作れないかと提案に行ったりしたんですが、なかなかマッチングできずにいましたね。どうしても諦めきれずに、山古志ならではの仲間の証とか、私たちなりの憲法だったり、私たちなりの貨幣だったりっていうものをどうしても作りたいっていうので、林さんに相談を始めたのが、ちょうど今から2年前ぐらいでした。

林:竹内さんから、久しぶりに連絡があって「もうこのままじゃ駄目だ」と。「もっと新しい段階に行かなきゃいけないんで、なんか一緒にできないですか?」っておっしゃてたんです。その時に、NFT使って何かできないかなと思ったんです。でも、僕だけじゃ技術的にも限界があるので高瀬さんの顔が思い浮かんだんですね。高瀬さん、こういう話があるんだけどできないかな?っていうことをこうなんかだんだん繋がっていって、このチームでやってみようかっていう感じになりました。

伊藤:みなさんは、すごく重要なコンビだと思います。やっぱり、どうしてもまだNFTをただ発行して、売上金で何かしようとか、NFTを発行して寄付を募るみたいな単純な発想になるんだけども、ここにデジタル村民という要素を入れ込むことで、ちゃんとひねりがあるプロジェクトになっていますよね。錦鯉のアートを作っていくプロセスの話で、実際の村民も含めてプロジェクトは進んでいるんですか?

高瀬俊明(以下、高瀬):もともと山古志という地域が、錦鯉の発祥の地ということもあり、グローバルで見てもすごく錦鯉っていうものはすごく日本の象徴的なモチーフだし、人気のあるものなので、今回の取り組みの象徴にしていこうとみんなで相談して決めました。そこからクリプトの中でも人気のあるで「ジェネレイティブアート」という技術を使って、アーティストさんと錦鯉をモチーフとしたアートワークの制作を進めていきました。

林:「デジタルアートって何だ?」っていうところから始まりました。でも彼らにとって錦鯉は、ある種地域のアイデンティティーなんですよね。それが新しいものに昇華されていく中で地域の人たちも「いや錦鯉の形はこうだ」とか、そういう意見が入り、いい意味での衝突とか、お互いの学び合いみたいなありながら生まれました。

伊藤:実際どれくらい売れたんですか?

高瀬:1500ぐらいです。第一弾と第二弾と二回に分けてNFTを販売をして、アートワークでも全く違うので、買って頂いてる方たちにも違いがありますね。

林:ホルダー数で言うと870以上になります。面白いのが、リアルに山古志村に今住んでいる住民が800人なんですよね。デジタル村民の数が、リアルの人口を超えてしまったんですよね。

伊藤:リアルな村民の反応はどんな感じなんですか?

林:ちょうどリアルの山古志村に「デジタル村民です。帰省しました」なんて言う人がここ最近ちらっおられて、その人たちとリアルな住民の方が「デジタル村民って何?」って言いながらも、「ああ、おかえり、おかえり。ありがとう山古志来てくれて、ありがとう」っ感じで。それまでは、「デジタル村民ってなんぞや」っていうおじいちゃんおばあちゃんが多かったんですけど、実際にリアルに足を運んできてくださる方が多くなって、体感しながら僕たちの私たちの仲間なんだっていうのが最近は少しずつ増えていますね。

 この後は、DAO(分散型自立組織)や、日本の規制に関する話題などが議論された。詳しくは番組をお聴きください。

【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】

 番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

 伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。

https://joi.ito.com/jp/archives/2022/06/13/005797.html

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―
JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#33 NFTで過疎地域を救え!山古志NFTプロジェクト

https://joi.ito.com/links/

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