Open Innovation Platform
FOLLOW US

中国のオンライン診療 稼働率は10%未満 報酬低く医師ら不満

オンラインで問診を行う内モンゴル自治区の医師(2021年1月21日撮影)。(c)CNS:張玮

オンラインで問診を行う内モンゴル自治区の医師(2021年1月21日撮影)。(c)CNS:張玮

【CNS】コロナ禍が起きて以降、中国では医師が遠隔から患者を診察するオンライン診療が広まった。医師と患者を結ぶ新たな架け橋となっているが、多くの病院が積極的ではないのが実態だ。

「2021年中国インターネット病院発展報告書」によると、各医療機関が取り組む「インターネット病院」のうち、継続的に運営しているのは10%に満たない。安定した労働時間の確保が難しい上、診療費の価格設定が低く、医師の意欲が高まっていないのが要因という。

 遼寧省(Liaoning)瀋陽市(Shenyang)にある大型病院の周雯(Zhou Wen)医師は「オンライン診療は一般診療より手間がかかる上、医師の能力に関係なく診療費は一律9.6元(約191円)に設定されている」と不満を語る。

 中国では医師のランクによって初診料が異なるほか、診療内容や使用する医療機材、薬によって医療費が変わることが一般的。「2021年中国インターネット病院発展報告書」によると、有名な医師の一般診療は一回100元(約1990円)、特別診療は300元(約5972円)の一方、オンラインの再診費用は北京で1回50元(約995円)にとどまっている。

 周氏は「オンライン診療の価格設定は不合理で、レベルの高い医療スタッフの熱意が低くなっている」と明かす。また、「オンラインでは患者の状態を判断し、治療するのに通常より20%ほど多く時間を費やす。さらに患者と連絡を取るのに時間がかかる場合があるのに、ほとんどの事前相談は無料です」と実情を語る。

 北京大学(Peking University)深セン病院の趙永勝(Zhao Yongsheng)副院長は「インターネット病院の最大の困難は、どうやって医師の積極性を引き出すかにある」と指摘。同病院では医師らとインターネット病院の会合を定期的に開くと同時に、診察料を医師の業績報酬にしているという。【翻訳編集】 CNS/AFPBB News|使用条件