自撮りをする子ども連れの女性。インド・デリーで(2022年4月3日撮影、資料写真)。(c)Money SHARMA : AFP
【AFP=時事】インスタグラム(Instagram)やフェイスブック(Facebook)にあふれるパーティーや休日、豪華な食事や完璧な風景とはまったく違う、ありのままの日常の一コマを投稿する新しいSNSアプリ「BeReal」が米国で若者を中心に人気を集めている。
BeRealは1日に1回、全ユーザーに対して写真の投稿を促す通知を一斉送信する。通知が届くタイミングは不定期で、ユーザーは2分以内に写真を撮ってアップするよう求められる。
このアプリは携帯端末のフロントカメラとバックカメラの両方を使用するため、投稿では自分が今いる場所と「自撮り」がシェアされる。写真が公開されるのは友人間のみだ。
フィルターを使って「映える」ように写真を加工することはできない。「BeRealが理想とするのは、利用者の今を見せること。今どこにいて、今何をしているかです」と、米シラキュース大学(Syracuse University)情報学部のジェニファー・ストレーマーギャレー(Jennifer Stromer-Galley)教授は言う。
「最高の場面ではなく、リアルな日常。(中略)犬の散歩中かもしれないし、パジャマ姿でシリアルを食べている時かもしれません」
アプリ誕生のきっかけとなったエピソードが、BeRealに投資したフランスのベンチャーキャピタリストのブログで紹介されている。それによると、アプリの開発者、アレクシス・バレヤ(Alexis Barreyat)氏はマウンテンバイクのイベントを訪れた際、観客や多くのインフルエンサーがSNS投稿に夢中になるあまり、目の前のショーを完全に見逃している様子を見て衝撃を受けたという。
「多くのインフルエンサーが写真を撮ったり、ストーリーを投稿したり、いろいろなフィルター加工で自分の生活を演出することに夢中で、みんな、イベントそっちのけだった」
モバイル市場分析会社Data.aiによると、2年前にリリースされたBeRealは、これまでに世界で3500万回近くダウンロードされ、9月初旬には米国でダウンロード数トップに躍り出た。
BeReal人気は、実際の生活とは懸け離れた写真を投稿する「映え疲れ」があると、コンサルティング会社クリエーティブ・ストラテジーズ(Creative Strategies)のアナリスト、キャロライナ・ミラネージ(Carolina Milanesi)氏はAFPに語った。
BeRealは特にZ世代(1990年代後半~2010年前後生まれ)に人気がある。「若い世代は、フェイクで完璧なものに飽き飽きしているのだと思います」とミラネージ氏。「Z世代はありのままの自分らしさを好み、リアルな生活の中で自分たちがどう生きているのかを示したいと思っているのです」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件