マサチューセッツ工科大学のメディアラボ元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、ナビゲーターを努めるポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― 」。先週に引き続き、お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが出演した。
絵本の分業制作や、文字を通貨にするサービス「レターポット」など、西野さんはこれまでさまざまなアイデアを、最新テクノロジーを活用しながら実現してきた。web3にも、多くの可能性を感じているようだ。
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西野亮廣(以下、西野):NFTって、皆あの手この手で価値を付けようとしていて、全部クリエイティブで「おもろいな」って思うんですよね。先々月、ニューヨークで開催されていたNFTのイベントに行ったんです。そこで、街の片隅で行われているDJのキャラクターのNFTのイベントに行ったんです。入った時点では「これ(キャラクターのNFT)、要らないな」と思ったんです。そのイベントでは、DJのキャラクターとライブペイントする人がタッグを組んで、DJバトルをしつつライブペインティングをやり始めたんです。それで最後にお客さんが、どっちが良かったかっていうのを投票するんですが、やってるうちに、なんか応援して、すっかりこのNFTが欲しくなっちゃったんですよね。上手いなと。よく考えたなと思って。何かあれって”OpenSeaにただ出てるだけ”ではいらないじゃないですか。
伊藤穰一(以下、伊藤):リアルの体験の思い出っていうのは、重要なんですよね。こういうのを、POAP(Proof of Attendance Protocol)って言うんです。例えば、セックスピストルズが行った有名なライブハウスのイベントがあるんだけど、ありえないくらいの数の人が「俺は、あのコンサート行った」って吹聴してるらしいんです。でも、本当に行った人はやっぱり証明したいじゃない?だから「私はここにいました」っていう、そこでしかもらえないNFTっていうのは結構重要だと思うんですよね。
西野:行かないと貰えないとか、そのへんは面白いですよね。「みんながそうやって価値作ろうとしとしてんだ」と思いますもん。
伊藤:面白いよね。でも、今後は今、想像できてない工夫がいっぱい出てくると思うんだよね。
西野:今はやっぱ面白いですね。何か失敗もいっぱいあるでしょうけど。
伊藤:今、皆がどのNFT持ってるかっていうのもわかるんだよね。例えば、「このイベントに来てる人たちで、何々NFT持ってる人たち。みんな手を上げろ」と言ったら確認できちゃうんだよね。で、その人たちだけに「この人とこの人のコラボレーションのNFT」が発行できるとか、そういうのが結構できるんです。すると、優待券みたいなことも可能になります。 西野さんのサロンのメンバーが僕のイベントに来ると、特別な飲み物がもらえるっていうのも、これ全部NFTでチェックできる。来た人たちは、特別なNFTがまた貰えたりして、それを持ってる人は違うことができるとか、ちょっとゲームみたいにもなるんです。そうすると、人の行動を少し誘導もできちゃう。PokemonGoみたいなのもできるわけ。今、ここに来るとNFTがもらえる。このNFT持ってる人は、来年タダだよっていう。そういうマーケティング的にも使えるんだよね。
西野:そうですよね。しかも自分なんかは、やっぱリアルのイベントを結構やるんですよ。大きな会場でイベントをやったり、あと絵を描くのでその個展とかもやるんで。せっかくリアルの場所を持ってる人間だったら、そこを絡めない手はないですよね。
伊藤:だから、リアルな絵を見た人はタッチするとNFTがもらえるとか、その辺のツールはもうどんどんできているんです。それを絵に張り付けておけば、NFTを発行することもできますよ。
西野:いやー、面白いですね。いや、ちゃんと勉強しなきゃですわ。
ーー伊藤穰一はこれまで、番組内でたびたびJPGを貼り付けただけでないNFTの活用方法を呼びかけてきた。西野さんのアイデアと、コンテンツを絡めることで新しいテクノロジーやフォーマットが生まれることを期待しているという。また、西野さん自身もさまざまなプロジェクトをお金儲けではなく、面白いからという理由で進めていることがほとんどだという。
伊藤:ニューヨークとかに行ったのはすごくよかったと思います。あそこにこれを持ってきたら、みんな乗ってくれるかをNFTで実験してみると、面白いと思います。あとはやっぱりひねりだよね。せっかくそういうの上手なんで。ただの絵じゃなくて、藤幡正樹さんがやったNFTがあるんですが、それは、人が買えば買うほど安くなるNFTなんです。100万で売り始めて、買いたい人が2人になると50万になって。なんか変ですよね。それがアートだったりするので、だから普通のNFTと違うプログラミングで何かひねるっていうのは面白いと思います。
西野:面白いですね。そういうのを考えるの楽しそうですよね。
伊藤:そうなんだよね。ゲームでもそうだと思うんですが、前のゲームを真似するのは簡単だけど、新しいフォーマットが出ると、みんな覚えてくれるじゃない?やっぱり、まだこういうNFTの使い方したことないっていうのを作ると、名前も残るし、結構大きくなると思うんだよね。
番組では、さまざまなサービスでのブレインストーミングが続いた。詳しくは番組をお聴きいただきたい。
【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】
番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。
https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0
【編集ノート】
伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。
https://joi.ito.com/jp/archives/2022/09/19/005824.html
■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」
#46 続・西野亮廣さんと考えるNFTとDAO〜金儲けだけじゃない、面白い活用方法ってなんだろう?〜