ダミアン・ハースト氏の「The Currency」展。作家初のNFTを利用したプロジェクト。英ロンドンのニューポート・ストリート・ギャラリーで(2022年9月22日撮影)。(c)Isabel Infantes / AFP
【AFP=時事】英国の現代美術作家ダミアン・ハースト(Damien Hirst)氏(57)が、非代替性トークン(NFT)を利用した自身初の作品を英ロンドンのギャラリーで展示している。
ニューポート・ストリート・ギャラリー(Newport Street Gallery)で開催されている「The Currency(通貨)」展。カラフルなドットがぎっしり描かれたA4サイズの紙作品1万枚で構成される巨大パネルが並んでいる。
一枚一枚の裏には、ハースト氏お気に入りの曲の歌詞から引用した言葉が手書きでつづられ、署名が入っている。2016年に作品をある種の通貨にできないかと考えて制作を始め、その2年後に現在の方向性が決まった。
NFT作品とは、ブロックチェーン(分散型台帳)技術によって、唯一無二のものとしての価値が保証されたデジタル作品だ。買い手はデジタル化された作品の所有権を証明するNFTを購入できる。The Currencyの作品1万点はそれぞれがNFT化され、買い手はNFTを受け取る。昨年7月のプロジェクト開始から1年間、買い手は作品をNFTとして保持するか、物理的な作品と交換するかの選択権を与えられた。
約半数 (5149 人) の買い手は紙の作品と交換し、残りの買い手はNFTの保持を選んだ。NFTとして保持されることになった4851点の紙のオリジナル作品は、今月11日にギャラリーで行われるイベントで焼却される。
紙の作品は2000ドル(約29万円)で販売されたが、セカンダリーマーケットでは、17万2239ドル(約2490万円)の値が付いたものもあった。「これは実験です(中略)買い手に選択を迫っているのです」とハースト氏は動画で語った。「60年代や70年代のコンセプチュアルアーティストたちは、アートは作品の中に存在するのではない、見る人の意識の中に存在するのだと言いました。私のプロジェクトも同じです」とハースト氏。「アートは物理的世界だけに存在する必要はなく、ブロックチェーンによってデジタル世界にも存在できるのです。それは作品の所有権についても同じです」 【翻訳編集】 AFPBB New|使用条件