ツイッターのロゴと、同社を買収した米実業家イーロン・マスク氏を映し出したスマートフォンの画面(2022年10月4日撮影)。(c)OLIVIER DOULIERY : AFP
【AFP=時事】米実業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏によるツイッター(Twitter)買収に反発するユーザーたちが、乗り換え先のSNSを模索している。
米宇宙開発企業スペースX(SpaceX)と同電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)を率いるマスク氏が、買収からわずか1週間後に着手した改革は波紋を呼んだ。ツイッターの全従業員7500人のうち約半数の解雇を発表し、過激な投稿を理由に利用を禁じられたユーザーのアカウント凍結解除を約束。さらに、アカウント認証の有料化も打ち出した。
マスク氏新体制の方向性を懸念するユーザーの移行先として、急速に人気を集めているのがマストドン(Mastodon)だ。ドイツ人のオイゲン・ロッコ(Eugen Rochko)氏が2016年に開設した短文投稿サービスで、最近まで知名度は低かったが、プライバシーの保護を重視し、広告がなく、権力を集中させない「分散型SNS」であることを売りにしている。
マスク氏のツイッター買収交渉が発表された今年4月、マストドンは「あなたのオンラインコミュニケーション能力が、一営利企業の気まぐれに左右されていいはずがない!」とツイートした。
ロッコ氏の個人アカウントによると、マスク氏によるツイッター買収が完了した10月27日以降、マストドンの新規ユーザーは49万人近くに上り、今月7日には月間アクティブユーザーが100万人を超えた。ただし、6月末時点でデーリーアクティブユーザーが2億3800万人に迫っていたツイッターに比べれば、規模ははるかに小さい。さらに、多くの新規ユーザーが、分かりにくいインターフェースや、アカウント作成が容易ではないこと、IT大手の運営サイトのような対応が得られにくい問題などに不満を漏らしている。マストドンは多数のサーバーで運用され、コンテンツのチェックは各サーバーの管理者の裁量に任されているため、不適切なコンテンツに対する監視機能にも大きな疑問符が付いている。
ツイッターからの移行ユーザー獲得を狙う他のサイトは発展途上にある。
ツイッターの創業者の一人で、昨年、最高経営責任者(CEO)を退任したジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏の新プロジェクト、ブルースカイ(BlueSky)もその一つ。10月に登録受け付け開始からわずか48時間で待機リストに3万人を集めた。新興サービスの一つ、コーホスト(Cohost)はユーザーの個人情報を絶対に販売しない点をアピール。カウンターソーシャル(Counter Social)やトリベル(Tribel)などのSNSも注目されている。
既存のプラットフォームでも、マイクロブログサービスのタンブラー(Tumblr)や音声チャットアプリのクラブハウス(Clubhouse)が人気を取り戻している。
一方、マスク氏買収のずっと以前から、ツイッターに代わる保守系SNSとして位置付けられているのがパーラー(Parler)やギャブ(Gab)、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が自ら立ち上げたトゥルース・ソーシャル(Truth Social)だ。ただし、トランプ氏はツイッターへの復帰も予想されている(11月8日時点)。
今のところ、こうした代替サービスが、マスク氏率いる新体制のツイッターに対抗できるほど勢いづいている様子はない。だが、セレブやスポーツ選手、政治家といった著名人がツイッターにとどまるのか、それともさらにユーザーの多いフェイスブック(Facebook)やインスタグラム(Instagram)、ティックトック(TikTok)などへ移行するのかが注目される。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件