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web3スタートアップ必見!web3の技術は日常生活へどのように溶け込むか?

web3スタートアップ必見!web3の技術は日常生活へどのように溶け込むか?

web3スタートアップ必見!web3の技術は日常生活へどのように溶け込むか?

(この記事は、デジタルガレージのYouTubeチャンネル向けに行われた対談を要約、一部追記して記事にしたものです。)

清原三雅(以下、Mitsu):はじめまして、「onlab web3」プログラムのリードを務めています、Mitsuです。今日は、本日開催されました「onlab web3」のBorn in JapanのセッションでプレゼンをしていただいたwelockのHiroさんと、Macro web3エンジニアのインキュベーションプログラムのコア・コントリビューターのTimさんを招いたパネルディスカッションです。それでは早速、HiroさんとTimさんの自己紹介から入っていきたいと思います。Hiroさんよろしくお願いいたします。

Hiro:はじめまして、橘博之です。わたしたちはいまweb3スマートロックのwelockをつくっています。今日はよろしくお願いいたします。

Tim:こんにちは、Timです。Macroで、熟練のWeb2エンジニアをweb3エンジニアにするための指導をしており、さらに、セキュリティに強いweb3エンジニアも育成しています。セキュリティに非常に重点を置いたプログラムです。また、web3プロトコルのスマートコントラクトのセキュリティ監査も行っています。

Mitsu:ありがとうございます。では、welockから、いろいろと深堀りしていければと思っています。今回、(onlab web3の)プレゼンで色々ご紹介いただいたと思うんですが、もう少し詳しく、どんなサービスなのか、どのようなユースケースで活用されるかお聞かせください。

Hiro:まずwelockはスマートコントラクトと接続して、たとえば特定のNFTを持っているだとか、特定の権利がスマートコントラクトで表現されていたのを確認して、それが確認できれば、実世界の鍵があいたり、ゲートがあいたり、実世界の認証システムとスマートコントラクトをつなぐものです。

(ユースケースについては)今はスマートロックだけですが、これからはさまざまなハードウェアと連携して、実生活で自分たちが使っているサービスを、web3に置き換えて、かつそれが、welockと接続することができれば。例えば、家の鍵をあけるのもNFTであけられるし、そのNFTをもっていれば、カフェとかに行って、IRLのSWAG(編注:リアルなノベルティやギフト)を取れたりとか。web3のパーミッションレスを活かしながら、現実世界でweb3が交わる体験をつくれるプロダクトになっています。

Mitsu:現状、まだサービスをローンチされて間もないと思いますが、実際いまどのようなところでつかわれているかお伺いしてもいいですか

Hiro:今は、東京の銀座にある「CryptobarP2P」で使われていて、そこでは箱があるんですけど、その中に、少し高めのお酒が入っていて、そのP2Pの特定のNFTを持っている人だけが、箱を開けることができて、その高級なお酒を飲むことが出来るといった使われかたですとか、最近ですと、NFTによる地方創生プロジェクトの山古志DAOでも使われ始めていて、そこではwelockで山古志DAOのNFTを持っていると、welockが動作して、さらにそこはハードウェア連携して、おかえりなさいといってもらえるといったシステムが動いています。

Mitsu:Timさん自身は、web3だけじゃなく、web2を含め、エンジニアの観点から色んな企業を助けてきたりとか、技術がどう社会で使われていくかをみてきたかと思います。その中で、スマートコントラクトを活用したweb3の認証システムについて、思うことや、彼らに対して聞いてみたいこと、アドバイスがあれば教えて下さい。

Tim:まずお聞きしたいのは、今日のプレゼンテーションの中で、何百万というスマートロックが存在し、御社のシステムがそれらのシステムと相互作用できるとおっしゃっていましたね。具体的にどうやってその連携を実装していくイメージなんでしょうか。例えば、私が(警備会社の)セコムの重役だとしたら、(悩みますよね)現実世界とweb3のセキュリティが、それぞれどのように作用するかわからないからです。それらをどのようにバッティングさせないようにするんですか。

Hiro:おそらく、いきなり分散型(decentlized)のセキュリティを、web2のセキュリティにマージするのは、概念も全く違うので難しいです。最初のステップとして、例えば、web2の人たちが親しみやすいようなかたち、たとえばAPI経由で提供すると、彼らもスムーズに「APIを使えば、NFTの認証機能を使えるんだ」とか段階的にweb3のシステムを、web2のシステムとインテグレートしていくことができると思います。

世の中のほとんどのユーザーは、より便利なほうが使いやすいし、使い始めてくれる。私たちは、完全な分散型(completely decentralized)っていうわけではなく、中央集権的(centlized)なところもあるけど、web3というものが実世界で使うと、こういう体験が出来るということを、スマートロックから体験してもらえるようにプロダクトを作っています。

Tim:言うまでもなく、日本の実際の改札を考えてみると、とても速くて、誰でもどんどん通れますよね。一方、スマートロック(を実際に開けるにはいろんな手続きがあって)少し時間がかかります。 この技術を現実的に利用するために、スピードアップの可能性についてどう思われますか?

Hiro:そうですね。ふつうの人たちにとっては、「メタマスクって何なんだ?」「デジタル署名って?」などの色んなハードルがあります。なので、welockに関しては、web2ユーザーが親しみやすいように、例えば自宅であらかじめメタマスクでQRを作成しておく。そうすれば「QRを持ち歩き、それをかざす」とこれまでと変わらない方式でいくことも可能だと思っています。

あとは、スピードでいうと、どのレベルの認証をするかという話になります。例えば、チェックインした時に、そのアドレスが特定の権利をもっているかどうかを確認しなければいけないものもあれば、過去にもっていればいいみたいなものもある。確認する側がオフラインで認証できるというケースもセキュリティのレベルによってはあり得る。オフライン認証機能を作ることによって、わざわざノードに確認しに行かなくても権利の確認ができるとかいったことは考えています。

Tim:使いやすいインターフェースを提供するのであれば、QRコードもAPIの一種と言えるでしょう。また、システムとの連携を考えると、既存の錠前システムやチケットシステムにはQRコードが使われていることが多いので、既存のシステムとの連携が容易にできる可能性がありますね。Cool!

Mitsu:エンジニア同士の対談ということで、「認証のスピード」というのは、今後社会実装をすすめていくにあたって、クリティカルな質問だったのかなと思います。

* * *

――対談が始まってしばらくしてから、この場にwelockのセキュリティボックスが持ち込まれた。

Mitsu:可能であれば、デモをみせていただければ嬉しいのですけれど。

Hiro:そうですね。welockにはWi-Fi経由でつながるものと、あとは、BLE(Bluetooth Low Energy)経由でつながるものがあります。まだBLE経由のものはできてないんですけど、今後インターネット経由ではなくて、アプリを立ち上げてBLE経由で施錠解錠するものを作っていきます。

Mitsu:ここでもう少し深堀りしたいのが、今日のプレゼンテーションの中で、「パーミッションレス」で「コンポーザブル」な、web3スマートロックシステムを作っているとおっしゃっていたかと思います。なんでパーミッションレスとかコンポーザブルなスマートロックシステムがいいのか、実際それが、現状のスマートロックシステムとどう違った良さを出せるのか、さらにお伺いできればと思います。

Hiro:現状では、事業者ごとにスマートロックを作って、それぞれにアカウントを作らなければいけない。たとえば、家と会社ではそれぞれ別のスマートロックを使っていて、アカウントを作るだけでめちゃくちゃ大変な作業になってきます。web3のサービスだと、(コンポーザブルなプロダクトは)パーミッションレスで、それぞれレゴブロックをつなげるように連携させることが出来ます。例えば、このスマートロックのために利用しているNFTが、別のカフェに行ったら、そこでドリンク1杯もらえるようなチケットになっていたり、一方でそれがコワーキングスペースの権利になったりとか。スマートロックに限らず、実生活で使うさまざまなウェブサービスが、web3の上に載って、かつそれがパーミッションレスで連携すると、こういった面白いコラボレーションがどんどん生まれてくると思います。welockはそのパーツの1つにすぎないんですけど、ウェブの上では、DeFiとか、いろんな(web3的なサービスが)コンポサビリティを生かして(つながっている)というのがあるけど、それが(welockなどのフィジカルなweb3ツールで)実世界でも使えるようになってくればおもしろいと思います。

Tim:例えば、Meredickというスタートアップ企業があるのですが、これは普通のサブスクリプションをポータブルにしようと考えています。例えば、ジムのメンバーシップがあるとして、東京に行ったときにジムに行きたいけど、申し込むのは嫌だ、メンバーシップを1週間レンタルしたい、そういうことをやりたいんです。 さらに、Welockと組み合わせたら、Airbnbのようなスタイルであなたの家を貸し出すこともできます。Meredickの契約とWelockの契約を組み合わせることで、Meredickに新しい機能を持たせることができるかもしれませんね。このような例が、将来的に御社のエコシステムの中にたくさん出てくるといいですね。

Mitsu:ここまでは、welockのことについて伺ってきたんですけど、ここからは話をweb3全体に広げて、お伺いしたいなと思います。いま、web1、2ときて、web3が日本国内だけじゃなくて、世界でも盛り上がっている中、実際にぼくらいままで、フェイスブックやグーグル使っていたとき、web2なんて言葉を意識したことはありませんでした。今は、web3という言葉をつかっていますが、どうやったらweb3という言葉がなくなっていくか、日常生活になじんでいくのか、web3がなじむというのはどういうことなのでしょうか。

Hiro:web2とweb3ってわかりやすいから、言葉をつかって明確にわけている。技術者としては、テクノロジーは地続きなので、言葉だけで分けてしまうと建設的な議論にならないなと感じています。

web3という言葉がどのように馴染んでいくか、今考えているのは、いま自分たちが今日この動画を撮影して、それが裏側でこういうテクノロジーをつかって動画をアップしていって、ってこと特に意識せずに撮ってもらっているし、たとえば今朝電車で来るときに、電車で流れている映像が裏側でどういうテクノロジーが使われているかって普段は意識しない。そういうことと同じように、web3の技術が裏で使われていることを全く意識せずに人々に、なにかしら便利なものを提供していくという段階になってくると、web3という言葉はなくなって、単純に便利なもの、面白いものを使っているという感覚になってくるんじゃないかなと個人的には思います。

Tim:今、サイバースペースとかメタバースとかの考え方は、実際にはあまり使われていないと思います。日常生活の中で接することはあまりないですよね。しかし、将来についてはどうかということを知りたいと思っているのではないでしょうか。3年後、5年後、絶対にARやVRはもっともっと普及しているでしょう。仮想現実における所有の概念と、現実世界における所有の概念が入り混じってくるかもしれません。web3とWeb2.0は融合し、何が違うのか、誰が見ても分かるようになるでしょう。Web1.0は発信、Web2.0は創造、web3は所有です。Web2.0はフェイスブックのようなもので、ツイッターを投稿するようなものです。しかし、今はソフトウェアの世界だけです。ですから、あなた(Hiro)の会社で非常に興味深い点は、現実の世界とweb3のつなげ方です。将来とても自然なものになるはずです。

Mitsu:そろそろ時間となってきました。最後にwelockがつくっていきたい世界観、今後の意気込み、どんな人に注目してほしいか、どんな人と一緒に手を組んで働きたいかをみなさんにお伝え下さい。

Hiro:まず大前提として、web3というのは実験段階のものです。なので、わたしたちも色んな方々と一緒に、さまざまな実験をしていきたいと考えています。welockは、既存のハードウェアやスマートロックなどに、web3機能の追加を進めていくので、現実世界で場所を提供している方や、ハードウェアを提供してくれている方々とともに、タッグをくみながら、実世界でwelockをつかって、さまざまなweb3の実験をしていけたらなと考えています。

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「onlab web3」のプログラムでは、web3の社会実装に取り組んでいるスタートアップと、web3の最前線ですでにプレーヤーとして活躍しているメンターを繋ぎ、スタートアップの成長の支援をしています。さらに、日本のスタートアップの海外への事業展開や、海外のスタートアップの日本へのエントリーを支援していく予定です。web3スタートアップの皆さんの「onlab web3」へのご応募をお待ちしています。

※「onlab web3」は株式会社デジタルガレージが主催するプログラムです。

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