デンマーク領グリーンランド北部のカプ・コベンハブン堆積層で調査を行う研究者(撮影日不明、2022年12月6日提供)。(c)AFP PHOTO : SVEND FUNDER
【AFP=時事】デンマーク領グリーンランド(Greenland)最北端の氷河期の堆積層から、これまで採取された中で最古となる200万年前のDNAが見つかった。コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)などの研究チームが7日、発表した。古遺伝学の新たな扉を開く発見だ。
英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文を共同執筆したコペンハーゲン大のミッケル・ウィンザー・ペデルセン(Mikkel Winther Pedersen)氏は、「遺伝子研究における壁を打ち破りつつある」「DNA生存の境界は100万年だと長年思われていたが、その倍に延びた」とAFPに語った。
現在は極砂漠となっている人里離れた無人地帯で凍結保存されていたDNAの状態は非常に良く、研究チームは最新技術によって、41個の断片が、これまで最古とされていたシベリア(Siberia)のマンモスから採取されたDNAより100万年以上古いことを突き止めた。
2006年に始まった研究では、102種の植物を発見。200万年前のグリーンランド北部の生態系を再構築することに成功した。それは「マストドンやトナカイ、ノウサギが駆け回り、多種多様な植物の生い茂る森林風景」だという。 ゾウの祖先に当たる大型哺乳類マストドンの存在がこれほど北方で確認されたのは初めてで、特に注目に値する。この発見により、種の適応性についてより多くの知見が得られた。
200万年前のグリーンランドは、現在と比べて気温が11~17度高かった。しかも緯度が高いため、夏は太陽が沈まず、冬は昇ることがない。
「このような環境、このような種の混在は、現在の地球上ではどこにも見当たらない」とウィンザー・ペデルセン氏は指摘。
「種の可塑性、つまり種が実際にさまざまな気候タイプにどのように適応できるかは、これまで考えられていたものとは異なるかもしれない」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件